表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
181/260

176 ピヨ吉ピヨ美の

鼻水とかがひどくなってきた。

花粉症はマジで死ぬ。

このアルが住んでいるこの世界にはなさそうだし、移住したいと本気で思える。

「コケェェェェェェェェェェ!!」

「うおっ!?」


 早朝、いきなり飼っている雷鶏のピヨ吉の雄たけびが響き渡り、アルは驚いて目を覚ました。



 朝に鳴くのはまだいい。けれども、今の鳴き声は明らかにいつもとは違う。



「どうしたんだピヨ吉!」


 すばやく鳴き声のするところへ向かうと、ピヨ吉が早く早くと言っているかのようにアルを手招きする。


 いや、翼だから翼招きか?





 専用の小屋の中に入ると・・・・・


「「「「「ピヨピヨピヨ!!」」」」」



・・・・すんごい黄色一色で埋め尽くされていた。


「何があった!?」


 よく見れば全部がふわふわの可愛いヒヨコだらけであり、その数はかなり多い。


 一瞬ピヨ吉たちの子供かと思ったが、まだ有精卵は作っていなかったはずである。


 となれば、これだけのヒヨコの大群はどこから来たのだろうか?・・・可愛いけど、この数はちょっと怖いぞ。


「コ・・・コ・・・」

「うわぁぁ!!埋もれていたぁぁぁ!!」


 そのヒヨコたちの大群に、ピヨ美が埋もれており、慌てて引っこ抜く。





 とりあえず2羽ともそろったところで、その場に座ってもらい、謎の大量のヒヨコたちは小屋の中に待機してもらうことにした。


 幸いにして、ヒヨコたちは言うことを聞いてくれるようで、おとなしくしてくれるようだ。


「さてと、何があったんだお前ら?」

「コケ、コケケココ、コケーケッケ!!」

「ココーッ、ココーッコッコッコッコ!!」

「うん、わからん!!」


 何があったのか聞いてみても、鳴き声で言われたら会話が成り立たない。


 

 なので、地面に文字と絵をかいてもらって説明してもらうことに。


 文字が書けるように教えておいてよかったよ。見た目が鶏だけど中型犬ほどのサイズで棒を持って、地面に書いている姿って異様だけどな。細かいことは気にしない。




 説明をしてもらうと、彼らにも何が起きたのかはわからないらしい。


 昨夜、二羽寄り添って寝ていたそうで、互いの羽毛で温かかったそうだが、今朝起きるとあのヒヨコのやめに埋もれていて、驚いたピヨ吉が小屋を飛び出て知らせたらしい。


「つまり、お前らもわからないってことか」

「コケ!」

「ココ!」


 うなずくようにはっきりと肯定するピヨ吉たち。



「・・・・あ、鑑定して正体を確かめればいいのか」


 そこで思いつくのは、「鑑定」のスキルである。


 こいつでなら種族とかもわかるし、あのヒヨコたちが一体何なのかもわかるはずだ。



 とりあえず適当なヒヨコの一羽を手に取って・・・




ふわっ



・・・・すごいふわふわのもっこもこ。何この可愛い生き物。


 危うくその魔性の可愛さに当てられる前に「鑑定」をしてみた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「カッコーウーラー」

雛を他の親に育ててもらう習性をもつ鳥型のモンスター。

群れで行動し、子供が出来たら鳥系統のモンスター、もしくは普通の鳥たちに雛を一気に押しつけてその場を逃亡する。

その子供は育ててくれる親のひなそっくりになり、成長になると本来の姿となって飛び立つ。

実力至上主義でもあり、力の強い相手に自身の子供を任せるという意味も持つ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 なるほど、要は托卵ってことか。


 カッコウがハトに托卵して、自分のひなを育ててもらうようなあの習性が、この世界にもあったという事である。


 そしてどうも真夜中のうちにその群れがこのピヨ吉たちのところにこっそりと来て、この大量のひなを押しつけたという事か・・・・。


 いや、真夜中にそれだけ雛を押しつけられたのなら気がついてもよさそうなものだけど、もしかしてカッコーウーラーって物凄く隠密性に優れていたのか?



 とにもかくにも、育児を押しつけられたようなものである。


 ピヨ吉たちのひな時代にそっくりで可愛い雛たちとは言え、ここまで大量だと結構大変だぞ。


「というか、多すぎだろ!!」


 ピヨ吉たちの小屋は大きめなはずだが、その小屋一杯埋め尽くすほどの数である。


 かと言って、ピヨ吉たちの子供ではないからって数を減らすような行為はできないな。可愛いもん。



 そのため、大変そうだけど育てることに決めた。幸いにして、調べてみたところ一ヶ月ほどで成鳥になるという成長の早さを持つらしい。。




 まずはその住処確保のために、ゴーレムタウン牧場区画に全員引っ越してもらうことにした。


 大勢にヒヨコたちが一斉についてきて、新しい住みかへと入って喜びの鳴き声を上げるけど、すんごいうるさいな。


 エサは、ピヨ吉たちとは違って普通の鶏が喰うような穀物とかでも平気らしく、タウン内で栽培していた穀物をこちらへ回す。


一斉に食事をするから、その音はすごいぞ。食べている音がものすごくわかりやすい。


 そしてその食事風景だけど、可愛い雛が一生懸命食べているようで、余計可愛い。癒しだろ。


・・・・こうして、一ヶ月だけタウンの牧場区画にヒヨコの大群が住まうことになったのであった。


 見た目がかわいらしいし、さわり心地もいいから良しとしますか。

大量のヒヨコに囲まれてみたい夢、ここで叶える。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ