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175 直接手を下す?間接的に下す?

 エーゼット王国の王族と預言者の者たちが起こしているとかいう騒動の解決のため、アルはその現場へと向かった。


 人化を解除し、神龍帝の姿で飛行して向かう。


 エーゼット王国自体は「転移魔法(テレポート)」で行くことが可能だが、滅ぼす際に天変地異を起こしたから地形がちょっとばかし変わっていて、転移先が危険な可能性があるからね。


 うん、ここはもう少し考えるべきだったか。




 もうすでに滅びたエーゼット王国の跡地は現在、各国が取り決めをしてすでに配分が決まってきているらしい。


 最終調整をしていたところで、その跡地にその者たちが現れて、不法占拠しているのだと詳しい説明をザップリンさんに受けたけど・・・・こういう事ってあるんだな。



 今更感があるし、滅びた国の者たちだから、その所有権は我々にあるって・・・めんどくさそうな問題である。



「やっぱり限界はあるか・・・」


 エーゼット王国を滅ぼす際に、きちんと悪人とかは逃げられないように細工はしており、国外に逃亡してまた後で面倒ごとを引き起こさないようにはしていた。


 ただ、国外に最初からいたという方までは気が回らなかったな。ここは甘かったと批判されても可笑しくはない。


 なぜなら、ずっとその場に一族とかが一緒の場所にいるわけでもないし、分家とかで別れて国外にいるとか、何か用事でということも考えられたはずだ。



 ・・・・まあ、国を滅ぼすのは初めてだったし、次回の反省点として改善すればいいだろう。


 って、次回があってほしくないよ!!いやそりゃまぁ都合とかもあるけどさ!!



 心の中で一人ツッコミを入れつつ、ザップリンさんから聞いたその場所の付近へと俺は着陸し、人化した。


 ここからは「光学迷彩魔法(カモフラージュ)」で姿を隠し、その現場へ徒歩で向かう。



 どのような状況なのかその目で直接見るのだ。


 ゴーレム諜報部隊・・・最近やっと『陰忍』という部隊名を付けた者たちに情報を集めてもらうということもできたが、やっぱり自分の目で確かめたほうがいいからね。


 百聞は一見に如かず、こういう重大事はトップが向かった方がいいだろう。






「・・・・なんじゃありゃ」


 目的地に近くなってきたところで、何か大きな建物が作られているみたいなことにアルは気がつく。


 城のような物だけど、建築センスがないのかそれとも材料がないのか、プレハブのぼろっぼろのお城みたいになっているけど・・・・うん、この時点で呆れてきたような気がする。



 近くまで行くと、壁とかが一部木の皮で出来ているみたいで、その建築までの苦労が目に見て取れた。


 ある意味涙ぐましい努力をして築城したのだろう。



 周囲には衛兵のつもりなのか、ばらっばらの鎧を着たおっさんたちがいて、どう見ても左遷されたような雰囲気である。


 床がぶち抜けそうな城の内部に慎重に侵入して見ると、きちんと謁見の部屋みたいなのは作ってあるようだった。


・・・明かりはロウソク、壁の飾りは折り紙で作ったかのような、それでいて無駄に凝っている物である。



 玉座・・・みたいな木製の椅子には、おっさんが一人と、その隣には太ったおばさんが一人それぞれ座っていた。


 おっさんの方はこってこての、ここにきて無駄に大きな宝石のような物がはめられた王冠をしており、おばさんの方はぎっちぎちの修道服のような物を着ていた。


 多分、国王と預言者というつもりなんだろうな。


 ちょっとここまで来ると茶番のようにも見えてくる。



「遅い!!まだ我々を新生エーゼット王国の一員だと世界は認めないのか!!」


 どうやら現在、目の前で膝まづいている家臣のような人たちに対して叱責をしているようである。


「はっ・・・どうもこの地はすでに他国のものになっているようでして、我々の物だと各国に説明しても無視され・・・」

「言い訳をするな!!ここは我々の一族が代々所有し、支配してきた王国だぞ!!ここに寄生していたうるさい叔父とか叔母とかそういうやつらがいなくなった後、所有権があるのはこのわたぁしではないか!!」


・・・そこ、一人称変に伸ばすのかよ。


「ええ!!ここは王族と、このあてくしの預言者たちに所有権があると予言できますのよ!!」


こっちはこっちで超変なおばさんだな。



「予言者の予言は絶対!!そしてあてくしたちが愚かな人民共の頂点に立ち、この国を世界の頂点に導かせるべきだと予言できますのよ!!」



・・・愚かな人の頂点ということは、あなた達ってその愚かさのトップクラスな人たちということになりませんかね?


 やばい、ここまでコテコテの腐った人たちとは予想していなかった。


 むしろここまで来ると清々しいというか、ちょっと笑いをこらえたい。



念のため「鑑定」をかけて、その王族とか預言者の親戚筋なのか調べてみるか。



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種族名:『人間』

名前:ボンクライ=トントン(エーゼット王国王族ではありません)

性別:男性

HP:39

MP:4

スキル:「火事場泥棒」「(自主規制)」

称号:「王族詐称」「道化師」「娼館狂い」



種族名:『人間』

名前:デッブーン=オッバハーン(預言者ではありません)

性別:女性

HP:21

MP:16

スキル:「詐称補助」「(自主規制)」

称号:「詐欺師」「道化師」「予言者詐称」「男狂い」


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・・・思いっきり否定されているな。


 というか、初めて見るようなものがある。



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「火事場泥棒」・・・都合のいい時に現れることができるスキル。

「(自主規制)」・・・18禁。肉体的に18歳以上でないとモンスターでも閲覧不可能。とりあえずろくでもないスキル。

「詐称補助」・・・嘘を本当の事のように相手に思わせることができるスキル。

「王族詐称」・・・王族だと偽っている称号。

「道化師」・・・周囲からすでに飽きられている証。

「娼館狂い」・・・娼館に100回以上入り浸ったことを示す称号。

「詐欺師」・・・甘い汁をむさぼるような詐欺師につく称号。

「予言者詐称」・・・預言者という者を詐称しているものにつく称号。

「男狂い」・・・一時期見栄えが良い男たちを侍らせたものにつく称号。


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・・・ある意味すごいスキルと称号のオンパレードだな。


 というか、18禁ってモンスターにも適用されるのか。しかも、肉体的にってことは精神的に18越えしてもダメという事なのだろう。





 しかし、ダメダメすぎるというかこういう詐称するような大馬鹿野郎っているんだな。


 ここまで腐っていると、本当にエーゼット王国の者たちではないかと疑いたくなるよ。




 まあ、この鑑定の結果をきちんと記録し、神龍帝が調べたということで・・・・・これはしっかりと他の国の人達にも見せたほうがいいね。



 いったんギルドの方に向かってザップリンさんにこのことを話し、ついでにファーストに頼んで各国のお偉いさん方にそれとなく調べたらわかるようにその証拠の数々も流す。



 後日、問答無用で各国連合軍によってその者たちは捕らえられたようである。


 きちんと証拠の数々もわたって、処分待ちになったそうな。余罪もありそうで、こっちのほうが大変になったようだけど・・・いや本当に何がしたかったんだろうなこいつらは。



 なお、「詐称補助」とかいうスキルだけは「コピー」でとってゴーレムにつけました。


 一応このスキルだけはきちんといい方向性へ行かせそうな気がしたもので・・・・・いや本当に使い道を間違えさえしなければね。


 例えば、もう助からないとわかっている人でも、「かならず助かる」といって励ますことが出来たりとかいろいろ使い道はあるんだよ。



 とにもかくにも、この件はこれで解決しそうだけど、念には念を押して本当に王族や預言者の親戚とかがいないか調べた。


 その結果きちんと全滅が確認されて、ザップリンさんとアルはほっと一息つけるのであった。

励ます方向で使用可能出来そうなスキルである。

使い方は人次第ってところなのだろうな。

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