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165 まずこっちを解決しないと

ごまかしはいつまでも持つわけではない。

エルフが森に住み着いているのかもしれないという話はいったん保留しておくことにした。


 面倒ごとになっても困るし、サイトウ曰く極端な感じらしいからな。



 とりあえず今は・・・・・



「あー・・・・なんというか、お疲れ」

「バ・・・フォ・・・・・ン・・・」



 目の前でからっからに干からびて、まるで燃え尽きたかのように真っ白になっているバッホーンのボルドを目の前にして、アルはなんて言葉をかけるべきか、わからなかった。



 一応薬とかで元気になってしまうようにしたりなどと対策は施したが、所詮薬物であり、一時期のごまかしだ。


 ちょうどいまメスたちの方は満足しているようで何とか全員こなしたようだけど・・・・真っ白になって燃え尽きているよ。


 ちゃっかりユニコーンのプラチナがその横に寄り添ってはいるが・・・・・ううむ、やはりこのオス不足の問題を解消せねばいけないよな。



「そういえば、バッホーンの繁殖期って秋だけど、子供が生まれるのはいつ頃になるんだ?」

「調べによると春ごろには出産するようデスネ。本来であれば、その出産の時期まで周囲のオスたちが守りにつくのですが、この牧場であるならば空からの強襲がない限り、ほぼ安全でショウ」


 周囲の他のバッホーンのメスたちの様子を見てつぶやくと、ファーストが返答してくれた。


「ちなみに、ユニコーンの本来の繁殖期は春デス。今のこの秋の季節に混じっていたのは異例のような物で、要観察が必要と思われマス」

「むしろ全員一度で済んだのはよかったような・・・」


 ユニコーンって、その角が万能薬で清楚なイメージってあるけど、繁殖期にはこの世界のやつだと物凄いような状態となるらしい。


 シーホースとかもいるけどさ、その辺の馬以上に色々とすごいようで、ある意味春にそのような事態を迎えずに済んで、命は助かったのかもしれないなぁ。



「まともなバッホーンのオスが増えないとな・・・・これで子供が生まれたとしたら、オスの方が割合が多いんだっけか」


 以前に彼らの「鑑定」でそのことはわかっているのだ。


「従来だとそのようになるはずですが、少々懸念がありマス」

「懸念?」


 ファーストのその言葉に、どことなく嫌な予感を覚えたのはアルだけではなく、ぎょっとしたかのようにボルドも思ったようである。



「マスター・・・・・神龍帝の周囲に与える影響デス。マスターが住んでいらっしゃる『開けぬ森』ですが、調査によるとマスターが住み着く以前に比べて生態系がやや変化し、周囲の動植物が生き生きとして、まるで力ある者の影響を受けているかのようなんですヨ」



 力が強い生物がその場に住み着くことによって、その周辺にも何らかの影響力が出るらしい。


 ましてや、このタウンには神龍帝・・・・俺の影響がたっぷりと出るそうだ。


「なので、常識外なことが起きる可能性も・・・・・」

「つまり、メスばかりが生まれる可能性が?」

「その通りデス」

「バフォォンッ!?」


 ファーストの断定的な言葉に、ボルドがぎょっとする。


 それはつまり・・・・将来的に物凄い負担増大の予感が・・・・



「・・・ファースト、ゴーレムたちに重点的にバッホーンの他のオスの居場所調査及び、捕獲が可能ならしておいてくれ。ボルドが下手すりゃあの世に行ってしまうぞ」

「了解いたしましタ。最優先事項として・・・・・・・・・・・出来るだけ頑張りまショウ」

「なんか妙な間があったような」

「バッホーンって、結構臆病なものもいるようでして、ぶっちゃけボルドのようなやつは珍しいみたいデス」



・・・つまり、警戒心がものすごく高いのが多そうだってことか?


「ここで整いましタ」

「何が?」

「バッホーンのオスを発見及び捕獲できる可能性とかけまして、断る返答の仕方とときマス」

「その心は」

「どちらも不可能(不可かNO)でショウ」

「・・・・座布団抜いとくな。あと、不可能って言うなよ」



 とにもかくにも、他のオスを何とか見つけないとボルドが逝ってしまうよ。


 不安を覚えつつも、何とか見つかるように祈るのであった・・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDE ???


「ううむ、何者だったのだろうか・・・」

「人ではないようでしたが、エルフでもないですし・・」


 アルが祈っていたその頃、とある森の奥深くに出来ていたエルフの集落では会議が行われていた。


 森に侵入者がいて、すぐに消えていなくなったことについて話し合われていたのである。


「危害を加えないと言ってましたし、また来たら今度はこちらが招待をしてみるのはいかがでしょう?」

「そーそ、フレンドリーに宴会でもして歓迎してみたほうがいいだろ」

「いやいやいやいや、うかつに関わればまた過去の愚かな国の二の舞になるだろうし、慎重に行くべきですじゃ」

「我々のような高貴な種族がわざわざ人のような者たちに歓迎をする必要はないのではないか?」

「頭固いなー」

「ふん、鉄の鎧でも頭突きで砕いたことはあるからな!!」

「そういう意味じゃねぇよ!!」

「でもそれはそれですごいなそれ!?」



・・・・極端な者同士が混じっているせいか、会議は平行線をたどっていくのであった・・・・





 

・・・・後日、ギルドに依頼が出された。

「バッホーンの群れの情報提供を求む。虚偽の場合はいろいろと(・・・・・)罰を受けてもらいますが、信ぴょう性が高い、もしくは確認できた場合達成報酬を正式に支払わせていただきます」


書かれていた報酬額を見て、殺到して情報が集まるまで、さほど時間はかからなかった・・・・

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