161 秋深まりて
本日2話目
ちょこっと生態の説明
今日もゴーレムタウンには牧場からの悲鳴が響き渡っていた。
とはいえ、ゴーレムタウンに住まうゴーレムたちにとってはもはや慣れた音である。
「バッホォォォォォォォン!!バッホオォォォォォン!!」
「・・・・すんごい鳴き声が聞こえるなぁ」
「現在、20頭プラスαのメスたちに追い回されていますからネ。牧場の管理担当によると、薬の効果で何とかなりそうなのを分かったメスたちが奪い、口にくわえて投与してそのどさくさに紛れて子孫繁栄に励もうとして、さらに凶暴化しているようデス」
唯一のオスのバッホーンはボルドだけだしなぁ・・・・プラチナはユニコーンで種が違うはずなのに、なぜか追いかけていくしね。
「あ、そのことですが、マスターに報告ガ」
「ん?」
「ユニコーンの生態の方も調べてみたのですが・・・・」
ファーストはどうやら、ちょっとこの種族が違う恋に興味を持って調べたらしい。
で、ユニコーンとバッホーンで子供が作れるか否かで言えば・・・・・可能らしい。
「え?本当に可能なのか?」
「はい」
詳しい説明は難しいが、この場合両方の種族・・・ユニコーンとバッホーンはモンスターでもあることがその根拠になるそうだ。
基本的に動物に限らず、モンスターにしてもできるだけ同種との間に子を成すような本能がきちんとあるらしい。
だが、オークやゴブリンといった定番ともいえるモンスターのように、他種族の力を借りて子孫を残すモンスターもいる。
そのことに関してだが、どうやらモンスターの場合はどの種族でも大抵他種族と子をなすことが可能なようである。
そのため、モンスター同士でもあるユニコーンとバッホーンの間にも子をなすことが不可能ではないようで・・・。
「ただ、その生まれる子は何になるかは不明。オークたちの場合はきちんと生まれてもオークと言うことになるようですが、シーホースと普通の馬で両種族のどちらの子も出ることと、そのハーフの場合、もしくは全く違う種族が生まれてしまうことだってあるそうデス」
両親のどちらかの種族、ハーフの種族、全く別の新しい種族の3通りってことのようだ。
「つまり、ユニコーンのプラチナは、バッホーンであるボルドとの間に子がなせる可能性はあるけど、どんな子供が生まれるのかまではよくわからないということか」
「生命の不思議と言うか、モンスターの7不思議の一つとしても数えられるそうですヨ」
え、何その7不思議って。あと6つがすごい気になるんだけど・・・・。
まあ、とにもかくにも実らない恋とはならなさそうなので、内心ちょっと安心した。
とはいえ、ボルドの状況が変わるというわけでもないが。下手すりゃこのことを本能的にプラチナが知ってさらに悪化する可能性もある。
「その手の話は牧場でするなよ」
「わかっていマス」
その事実に対する話は牧場で禁止しておくとして、ボルドのやつに何とか大丈夫になるようなものでも作ってあげときますかね。
「負担を減らすにはオスを連れてきた方がいいだろうし、この際探しに行って見ようかな・・・」
人化を解除し、大空へと俺はとんだ。
探し物は足で探す・・・・というか、翼で探したほうがいいだろう。
空から見れば群れがあればわかるだろうし、この際適当に飛んでみて他の新たな国へと向かってみるのも面白い。
「あ、そういえばあの森はどうなっているのかな・・?」
ふと、以前ザップリンさん同行で「セブンズブレス(木)」によって砂漠地帯から密林になった場所を思い出した。
森になっているということは隠れるところが多いという事にもなる。
つまり、そこに何かの群れが隠れて過ごしている可能性もあり、バッホーンのオスたちもいる可能性があるのだ。
「転移魔法」でそこに向かうという手段もあるけど、飛んでその道中で見つかるかもしれないので使用せずに俺はその森へと向かうのであった。
モンスターの繁殖方法について今回少し触れたけど、修正が後日入るかもしれません。
その日までボルドが持つのかもわかりませんが・・・・・。
ボルドの寿命はどのぐらいになるだろうか。