158 自己判断で
一応、事後処理的な話し
指摘を受けて一部改善しました
・・・・エーゼット王国の滅亡を見届けた後、静かに小さくその報道が世界のギルドを通して流された。
「誰が聞いても愚かだとわかる行為で、公認モンスターの怒りをかって滅ぼされた国」としてエーゼット王国の名は歴史に刻まれた。
反面教師と言うか、こういうのを載せておくことできちんと公認モンスターの恐ろしさと言うか、その影響力を理解させるらしい。
一応どんな愚かな行為をしたかの事細かな詳細を載せたついでに、エーゼット王国の汚職に関わっていた商会などが商人ギルドによって処分されていった。
そんな中に・・・・奴隷を扱う商会があったけど、違法なのがばれたのでつぶれたというのもあった。
「これが、あの大馬鹿野郎が利用していた奴隷商会か」
「ハイ、顧客リストから販売していた奴隷の詳細までもすべてさらけ出され、またいくつかの商会がつぶれたようデス」
ファーストから諜報部隊が集めた資料をアルは読み、机の上に置く。
エーゼット王国滅亡の前に、諜報部隊の手によってその違法に扱われていた奴隷とかを一応自身の意思で逃げるか逃げないかを聞いて、逃げる人は国から出して言ったんタウンの一角にいてもらい、その身元が特定次第帰れるようにしてはいるんだけどね。
「人数多いな・・・」
「やっと6割ほどの人達は帰還できたのですが、まだまだ多いデス」
まだ4割の奴隷の人達が帰ることができていない。
そもそも、奴隷になった経緯とかが・・・・
「犯罪奴隷の人たちはエーゼット王国内で冤罪を着せられて落とされたようで、その落とした貴族家による策略であるのが分かっています。もともと無実なのですが・・・エーゼット王国が滅びたときにはその親類たちはとうの昔に後始末されてしまったようです」
「腐っていたというか、とんでもないことしているよな・・・」
どれだけエーゼット王国の闇は深いんだよ。
「また、奴隷の子供で気がついたらされていたという方もいて、こちらの場合は親が・・・・」
「年を取って捨てられていなくなった・・・・か」
深すぎる、深すぎる上に重いよエーゼット王国の闇は。
「攫われて違法に奴隷をされた方々の方はもうほとんどが帰還できたのですが、これらの様な奴隷たちは行く宛がないのですヨ」
「うーん・・・でもこのままにしておけないしな・・・」
帰るところがなく、家族も自身が産んだ子しかいない人もいる。
とはいえ、俺は奴隷を持つつもりはない。
違法でなければまあいんだけど、やっぱりそこは前世の人間の心があるからかなぁ。
「あと、問題としては・・・・奴隷たちの中の大半の貴族たちの用途は己の欲望を満たすためで、心の傷が癒えにくいのがありマス」
どれだけひどい扱いを受けたのかがよくわかる。身体が欠損していた奴隷もいたし、義足や義手はゴーレムたちの技術を応用してある程度までならなんとかなるが・・・心の方は時間がかかるな。
「アリス姫やラン王女たちが率先して彼女たちのカウンセラーをやってくれるのは助かるけど、一応一国の王女様が働くのはちょっと心苦しいかな」
「自ら進んでやっていますからネ。・・・・・まあ、奴隷の大半が女性でしたので危機管理を目的としているのでしょうガ」
「危機管理?」
「ストレスによる自虐とかを防ぐためですネ。・・・・あと、まあマスターが天然と言うべきか・・・」
何やら最後の方ぽつりとつぶやいていないか?
念のために、カウンセリングとか出来るようなゴーレムも配備してPTSDとかそういう対策もしておこう。
心のバックアップ・・・じゃなくて、心の修復が彼女たちには必要だ。
「タウンで引き取って暮らしてもらう・・・と言うのもあるけど、出来れば幸せに生きていけるところがあってほしいけどな」
「婚活させるのはどうでしょうカ?各都市で未婚の男性を集わせ、家庭を築き上げさせるのデス」
「なるほど、その手もあるのか」
「生まれてまだ8歳とか12歳とかの子もいますけど・・・・紳士な方もいるでしょうし、養子として養ってくれる人もいるかもしれません」
「ちょっと待て、今何か変な言葉が混じっていたような?」
とにもかくにも、何とか解決策を出せそうだ。
・・・数日後、首都の方で婚活パーティとして、結婚を望む元奴隷の女性たちが出て、独身の男性たちと一緒になる人ができたようである。
一応、親がいなかった人の中には養子として引き取ってくれる人もいて、きちんとそれぞれ調査して、虐待とかがないか確認したうえで、引き取ってもらえたよ。
冒険者として活躍しようとするパワフルな人たちもいて、先輩冒険者としてラン王女が張り切って指導していたし、侍女として城仕えになる人もいたようで、アリス姫もできるだけ世話しますと言っていたな。
まあ、何とか奴隷たちが全員行く当てが見つかってよかったよ。
「・・・・でも、称号に『崇められし者』って付いているのはなんでだろうか」
ちょっとふと思って鑑定して見たら、自分にそんな称号が付いていた。
「救いの対象として、感謝されているからでショウ」
念のために調べてみたところ、助かった奴隷たちの大半に「神龍帝の信者」となっていたけど、宗教じゃないんですがなんで?
・・・後に、このことがきっかけで新たな騒動が起きるのはまた別のお話。
善人にはハッピーエンド、悪人にはバッドエンドを心掛けております。
なお、元奴隷たちが独身男性たちと付き合って、数年後には結婚ラッシュが起き、結婚式会場が足りなくなるという事態が起きたのも、また別のお話。