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157 エーゼット王国:滅亡

今回はちょっとシリアスです

SIDEエーゼット王国:国王の弟ブリーンデ=エーゼット



「・・・・・な!?」


 エーゼット王国、国王の弟であるブーリンデは絶句していた。


 彼がいるのは自身の屋敷の地下にある奴隷専用の部屋だ。


 違法に攫ってきた奴隷を買い取り、自身の性欲を満たすために違法な奴隷の扱いをしていて、この頃王国での危ない局面を見て、国内から出られないことを悟り色欲の日々を過ごしていた。


 

 だが今朝、目覚めると昨晩隣にいた奴隷たちが忽然と姿を消していた。


 いやな予感がして地下の方へ行くと、そこに幽閉していた奴隷たちがすべて消え去っていたのである。


「な、な、ななんでだぁぁぁぁあ!?」


 奴隷の突然の消失に、ブーリンデは叫んだ。


 

「ブーリンデ様!!屋敷中を散策してみたところ誰もいません!!」

「侵入者の形跡もなくまるでその場で蒸発して消えたかのようなことになっています!!」


 ブーリンデの部下たちが報告をしてきたが、奴隷たちの行方は知れない。


 

「それと大変なことが起きました!!」

「なんだ!!」

「屋敷の周囲を平民たちが取り囲み、火を放とうとしているのです!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 まさかの民主の暴動が押し寄せてきたことに、ブーリンデは素っ頓狂な悲鳴を上げた。



 外を見ると、怒りで顔を震わせる民衆たちの顔があった。


「おい!!ここが違法に亜人たちを連れ込んでいたことは知れ渡っているんだぞ!!」

「この国では人間以外は汚らわしいもなのになんで貴様が大量に連れ込んできているんだ!!」

「この国が悪化しているのも貴様の性だろうが!!」


「な、な、な!?」


 どうやら民衆たちに、奴隷を屋敷に大量に連れ込んでいたことがばれたようで、しかもこの人族至上主義の国ではNGとされているような亜人たちも多くいることが知れ渡ったようである。


 

・・・エーゼット王国は現在、暴動などの混乱が広がり地獄絵図と化していた。


 亜人の仕業だと唱える人も出てきて、差別的言動がより大きくなり、奴隷として蓄えていた貴族たちの情報がすべて知れ渡り、ブーリンデのところにも押し寄せてきたのである。


 国から出られなくなった民衆は、彼らの仕業だと思い込んでこうして次々と潰していくように動いていく。



「特に!!もう貴様らのアノ情報が入っているんだぞぉ!!」

「なんでも獣人国の王女を攫おうとして、それで失敗しても王位継承争いに火種をより燃えあがらせようとしていたこともなぁ!!」

「なぜその情報が!!」


 すべての情報がさらけ出され、次々とブーリンデのこれまでの悪事なども日の下にさらされてゆく。


 民衆の怒りが頂点まで達し、もはや止めようがないほどある。



「黙れ黙れ黙れ!!情報に惑わされるな愚民共がぁ!!」


 慌てて民衆の怒りを鎮めるかのように怒鳴り込むブーリンデ。


 まさに一触即発のその時であった・・・・・




『グォォォォォォォォォオ!!』

「「「「!?」」」」


 突如として、物凄い大きな方向が聞こえて大気が震えた。



 影が差し、あたりが暗くなっていく。


「な・・・・なんだあれは・・・・!?」

「も、モンスター!?」



 上空を見て見ると、もはや薄暗く見える太陽背にして、純白の神々しい巨大なドラゴンがそこにいた。



「な・・・・なんだよあの圧倒的存在感・・」

「やばいたばいやばいやばいやばいやばい!!」


 怒りを忘れ、その場にいた全員の恐怖が高まっていく。


 ブーリンデもその威圧に押され、恐怖のあまり腰を抜かして、染みが床に広がっていた・・・。



『グォォォォォォォォォウ!!』


 再びその純白のドラゴンが吠えると同時に、その場にいた全員の体に痺れるような感覚が走り、あっという間に意識を失う。


 ただ、ブーリンデだけは意識を失えず、恐怖のあまりガタガタと震えることしかできない。


「な、なんだよお前は!!なんなんだいったい!!」



 じっとその純白のドラゴンの目がブーリンデを見たが、その目の中にある色は・・・裁きを下すかのような厳しい目。


『・・・お前に名乗るほどの価値はあるのか?』

「なに!?」

『お前のような輩には何も言うまい。いや、言っても無駄だろう』


 いきなり心の中に直接話しかけて来たかのような声に、ブーリンデは気がつく。


 この声の主は目の前にいるドラゴンであり、格が違い過ぎるということに。



『ただ、これだけは言わせてもらおうと思い、今日ここに来たのだ』


 ガタガタと震え、そのドラゴンの全身から来る威圧感にブーリンデは気絶することすら許されない。


『お前はやってしまったのだ。してはならない過ちを犯してしまったのだ』


『すべての愚行はすでに知っている。だが、それ以上にお前はやってはならないことを・・・・滅びという結末を招いてしまったのだ』


 

 響くような声で目の前のドラゴンが語ることに、無理やり聞かされるブーリンデ。


 髪は真っ白となり、あっという間にしわができ、歯が抜け、老いていく。


 恐怖のあまり体の時が進み、まるで寿命を削り取られていくかのように。


「や、やってしまった過ちとはいったい何だ!!ただ好きなように気味を、奴隷を扱って何が悪い!!」


『・・・逆ギレか、なんというか、もはや人ではなくただの腐れ外道だな』


 恐怖に押されながらもブーリンデは叫ぶが、ドラゴンは呆れたかのような声を出すだけだった。



『・・・このエーゼット王国は今日この時を持って終わりを告げる。滅びを招いたのは、ブーリンデ=エーゼットお前だ!!やってはならないことを犯し、すべてを巻き込んだ最低最悪のモノとして後世に語り継がれてしまうだろう。未来永劫、輪廻転生しても、貴様はその罪を背負い続ける・・・・』


 そう言い残し、ドラゴンは背を向けて空へ飛び立つ。


 まるで興味が無くなったかのように振り返ることもなく、大空へと消え去っていく。



 その姿を見た後、ブーリンデははっと我に返る。


 周囲にいるのは気絶した民衆たち。


 この隙に逃げればもしかしたら助かるのかもしれないと。



・・・・ただ、気がついてはいなかった。


 なぜ、あのドラゴンがブーリンデを気絶させなかったかを。


 そして、その場で殺さずに去ったのかを。



 理解できていれば、気絶させできていればましだったのかもしれないのに・・・・・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEアル


・・・・うん、ちょっと恥ずかしかったかもしれない。録画されていないよねコレ?



 神龍帝・・・・アルはエーゼット王国の上空を飛翔しながらそう考えていた。


 先ほどまでのあの腐れ外道大馬鹿野郎に向けて話してはいたけど、あの話方だが実はアルが考えたモノではなかった。



ーーーーーーーーーーーー

『エーゼット王国滅亡のシナリオ』

脚本:アル&ゼノ&ファースト

主演:アル

キャスト:哀れなエーゼット王国の一同

セリフ担当:アリス姫、ラン王女、ファースト、あとその関係のスキルに特化したゴーレムたち

ーーーーーーーーーーーーー


 こういう感じで進めてきたけど、この先ほどまでの向けていたセリフ・・・・任せなきゃよかった。


 尊厳ある感じで・・・と考えていたところで、アリス姫たちが加わって、彼女たちにとってと言う意味でどんどん脚色されて、編集されてああなったんだよ!!


 滅亡させるという点に関しては、すでにギルドとか国にも通達されてはいて、滅亡後に小さく発表される予定である。

 

 なので、ラン王女も今回の件で迷惑をこうむった国なので、この際徹底的にと言うことで嬉々として協力してくれていたけど・・・・めっちゃ恥ずかしい。


 

・・・・あのブーリンデとかいう国王の弟、本当ならば拷問部隊にぎったぎたにさせてやろうかと思ったけど、それじゃ手ぬるいと判断したんだよね。


 だがら、あえてあの場で恐怖を与えるだけで気絶させず、醜態をさらさせた後に無駄なあがきをさせることにした。




 今日、この日エーゼット王国は終焉を迎える。


 なので、一応あの大きな大馬鹿腐れ外道野郎以外は情けで気絶させるだけにとどめた。


 気絶している合間に、完全に何もかも滅びるからなぁ・・・・






 しばらく飛翔し、エーゼット王国の領域をきちんと確認する。


 下手に他国へ被害が出ないように念のために「防壁(シールド)」という魔法の付与をした魔道具(マジックアイテム)で囲っておいて、余波が出ないようにゴーレムたちにすでに設置させておいた。


 天変地異が、このエーゼット王国内だけで行われるのだ。


 王城の方も何も分かっていないように国民そっちのけで権力争いのようなことになっているしね。



・・・あの大馬鹿野郎同様、城内にも絶対に気絶ができなくなる『気絶不可』という魔法を創造魔法で作り上げてかけてある。ついでに気が狂ってしまうようなことも防ぐ効果付き。


 正気を保ったまま、意識を保ったまま天変地異におびえて滅びるがいいさ。



「・・・・・・あー、準備はいいか?」


 携帯で、この日のために各所に仕掛けを置き、そのスイッチを担うファーストに連絡を取る。

 

 本当はそこで押せばいいだけの話だけど、やっぱり自分でやったことはきちんと見届けなきゃと思い、この場に俺は残っている。


『準備完了デス。ついでにマスターの先ほどのあのセリフ等も録音していますガ』

「それは消せよ!!」


 めっちゃ恥ずかしい黒歴史になるからやめて!!なんで録音しているの!!



・・・・気を取り直しまして、


「・・・さてと、エーゼット王国は今日で終わりか。念のために、残った領土とかの区分をすでに話を付けることができるか?」

 

こういう国が滅びた後の土地は争いの原因になるからね。きちんと滅ぼすならそのあたりの事後処理をしておかないとな。


『ハイ、各国にすでに通達し、こちらの方で調整させていただきましタ。帝国の方はミッドナイト帝国の領地争いの事があるのでまだ情報を流していないですがネ』

「それでいいだろう。あっちはあっち、こっちはこっちで勝手にやればいいしな。・・・それじゃ、スイッチを押してくれ」

『ポチッとな~』


 すっごい軽い感じでスイッチが押された音が聞こえてきた。


 それと同時に、エーゼット王国内の各所に設置してあった仕掛けが最初で最後の稼働を始める。


地響きがし始め、大気が震え、大地が割れていく。


ドカァァァアン!!と火山ができて噴火していき、マグマがあたりに飛び散り噴石も飛んでくる。


 さすがに津波は距離的に無理だったので、河川に仕掛けをして反乱させていく。ちょっとそこが残念だ。



・・・ここで隕石とかも落ちてくればよかったのかもしれないな。オーバーキルかもしれないけど。



 悲鳴が聞こえてくるが、これは気絶できない様にされた者たちの者だろう。


 逃げ出そうにもこの最後の瞬間までこの国からは逃れられない。



「・・・・あ、やべっ!!ちょっと火力が強すぎた!!」


 危うく近くにあった噴火に巻き込まれそうになって、慌ててアルは転移魔法(テレポート)で逃げたのであった。

 





最後の最後でかっこが付かなかったことが悔やまれる。

地盤の固さなどの計算をミスしたようだった。危うく焼きドラゴンがいっちょ出来上がるところだったよ。神龍帝のこの身体が燃えるかはわからないけどね。

なお、奴隷たちとかは・・・・・・

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