表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
160/260

156 一カ月後

この期間、安全のためにラン王女はゴーレムタウンのファーストの屋敷で過ごしており、アルがよくタウンへ行き様子を見ているので、乙女心からアリス姫も訪問を増やしています。

密かな恋の火花が散っているのはアルのあずかり知らぬところ・・・・鈍感とも言う。

SIDEエーゼット王国



・・・・エーゼット王国で異変が起きてから一カ月後、国内ではすでにまともな人はいないようであった。


預言者の座をめぐる争い。

 

物資の不足、河川や井戸水の毒性化。


天候不良によって作物が枯れていき、収穫が見込めなくなる。


対策しようにも、国外へ向かえず右往左往する悪徳商人や貴族達。


逃げ出そうと家財道具を一切持ちだす者たちがいたとしても、持ち出せるのはモノばかりで、なぜ各国外に出ることができる人はごくわずかのみ。


 

 王国の政治を担う王城内ではああでもないこうでもないと、進まない対策の無駄な話し合いが続き、どさくさに紛れて王位継承が同行などの話に切り替わってしまう。


 そして、この状況で不満を持たない者たちがいないだろうか?いや、超いるだろう。



 民衆は業を煮やし、次々と暴動が起きてゆく。



・・・そして、そこにとどめを刺すかのようにエーゼット国内で今まで行われていた貴族たちの不正などの情報が伝播していき、民衆に知れ渡っていき、怒りは頂点へと達した。


 悪徳貴族達のいる屋敷へと押しかける民たちや、悪徳商人たちの店舗へ略奪、放火などが行われ、強盗や殺人などと言った行為を行う者たちもどさくさに紛れて、ある意味世紀末に近いような状況と化していた。



 もはや国としての機能は失われ、収拾がつかないような状況となっていた・・・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEアル



「・・・・うわぁ、この状況を作り出したとはいえ、これひどすぎるな」


 神龍帝・・・・アルは上空からそのエーゼット王国内の様子を見て、ドン引きしていた。


 助け合おうという人もおらず、もはや欲望の赴くままに暴れまわり、色欲にふけり、狂ったように泣き叫ぶという光景・・・・・



 地獄でもここまでひどいような状況となるかな?


「ならないでしょウ。国民性がものの見事に濃く出ているようで・・・・いやもう、これゴーレムの私から見ても予想以上のひどさデス」


 ファーストが返答しながら、苦笑する。



 ゴーレムであっても、この光景は恐ろしくひどすぎると思えるようだ。というか、この光景って誰が見てももう世紀末だと思えるよ。



 なお、現在俺たちがいるのはゴーレムタウンであり、エーゼット王国の上空を覆っているのだ。



 不可視にしてある魔法を緩めて、少々日光を通りにくくしたんだけど、効果はてきめんである。


 植物は光合成が出来なくなって枯れていき、人々は暖かい日の光を浴びられないことから心がすさんでいき、体内時計とかも狂っているようだ。



・・・・まあ、この光景はこうなることが分かっていた自分でも超・ドン引きするレベルだね。


 

 こんな悲惨な状況なのに、王城の方を探ってみれば預言者や王位についての話ばかりでまともな対策すらたてられていないよ。いや、対策を立てようにもどうしようもなさすぎてもはや無意味としか言いようがない。


 頭をいくらひねっても無理だって。‥‥‥あ、誰かが物理的にやって首ちぎったな。




 王城の周囲は城壁や兵士たちがいて守っているようだけど、これもあと何日もつかな?


 もう暴動で城を狙う人たちが壁を破壊しようとしたりしていて、ちょっとリアルバイオ○ザードに近いような気がする。


 あ、本物のモンスターって方でのゾンビが混じっているぞ。誰か死んでモンスターになって生き返ったな。・・・・死んでいるのに生き返るとはこれいかに?そもそも生き返るというのか?




「で、最終的に狙う相手・・・元凶の国王の弟とか言う大馬鹿野郎はどうかな?」

「あー・・・諜報部隊の調査によると、こちらはもう完全現実逃避のようですネ。屋敷をガッチガチに固めていて、内部ではもう酒池肉林の色欲まみれだそうデス。泣き叫ぶ女性たちが多いのですが、もうストレスのはけ口にしているようですネ・・・・」


 このエーゼット王国の滅亡のきっかけを作った張本人だというのに、本人はもうこの光景から目を背けて、違法奴隷を扱っているのか・・・・・。


 うーん、その奴隷たちの方もどうにかして助けてあげたいけど、心の方がひどいダメージを受けていそうだしな、心を安定させる程度の魔法なら「創造魔法」で作れはするけど・・・物凄く深い心の傷に対処するのまではなぁ。


 魔法とて万能ではない。そのことをよく理解してしまうが・・・心苦しく思えるような気がする。


 まあ、なんとかしてすくってあげたいし、身元を念のために調べさせてあるので、本人の希望さえあれば戻してあげたい。



「というか、この大馬鹿野郎にはどんな処分を下せばいいんだろうか・・・」


 というか「処罰」と言うのはこいつにとっては軽い言い方のような気がする。


 価値がない、「処分」と言った方がすっきりしているのかもしれない。



・・・まあ、そろそろエーゼット王国に完全なトドメかな。


 オーバーキルになるかどうかも考えないと結構大変だし、国一つ滅ぼすのも大変だよ。


 ゼノに相談した時に、意外と大変だと言われた理由がよーくわかったな。

『「とどめの一撃」とかけまして「満塁ツーアウト最終回」ととく』

『その心は?』

『どちらも「最後にうつ」でしょう(逆転サヨナラホームラン)』


・・・・くだらないけどなんとなく思いついてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ