155 エーゼット国の混乱
再起動してやっと投稿できた・・・・・・
SIDEエーゼット王国:王城
・・・・・その日、エーゼット王国の城内にある議会室では混乱が生じていた。
国の政治の要である予言者が死に、その後継者が定まらないのである。
ただでさえ、今は現国王が床に臥せて次期国王の王位継承権争いにより派閥争いと、政治形態を巡る派閥争いの二つの問題があるのに、ここにきて予言者の死は議会を混乱へ陥れていた。
また、預言者が死の間際に残した「この国が滅びる」と言う預言に対してのパニックもあった。
予言者は世襲制なのだが、今回死んだ予言者は・・・・・・
「子供がいないだと?」
「はい、子をなしていなかったようで・・・・」
議会の議長をつとめるガルマリック=ボルスは報告に耳を疑った。
予言者は本来、妻をめとって子を必ずなすように言われている。
そして、予言者の周辺が腐敗した者たちばかりで固められてきた影響もあって、周囲には大勢の子をなすために送られてきた女性たちの影もあった。
だが、どうやらだれとも子を成せない身体だったようで、そのため予言者の直系の子供がいなかったのでらう。
「今予言者の地位に行けるものは誰だ?」
「それが・・・・分家と本家が多く、継承権利がある人はいることはいるのですが、『我こそが次期予言者であると予言を受けた』と言い張る人が多くて定まらないのです!!」
予言者の予言は国の政治をも左右することができる。
・・・もともと、この国が成り立った当初は、その予言によってよりいい方向へ国を動かしていこうという方針があった。
だが、現在腐敗し切った一族はその予言による権力と言う名の甘い蜜を吸おうとして、あちこちの分家や本家から次期予言者へと候補する人が多く出て、全く定まらないのであった。
また、ここへきて予言なんかに惑わされずに国王自らが行っていくべきだと唱える『改革派』の勢いが増し、それに対抗して予言者の方を優先しようと考える『予言派』の方が何とか自分たちの方にも権利があると言ってごり押しをかけてきており、余計に定まらあんかうなって混乱が生じていたのであった。
また、この「予言派」に属する第3王子と、「改革派」に属する第1王子との王位争いも激しくなって、さらに混沌と化していたのである。
「そのうえ問題が他にも・・・・」
「まだ何かあるのか!!」
報告がまだあるようであり、ガルマリックは声を荒げた。
報告によると、どうやら現国王の弟であるブリーンデ=エーゼットがこの争いにここぞとばかり両者に挑発してさらに活発化させようとしていたり・・・・
「最近、国内の物資が激減し、市民の暮らしが圧迫されているのです!!」
王国中の都市や村などで、急激に何か買い占めが行われたようで、金はあれども品物有らずの状態になって、買えない人たちが暴動を起こし始めているのだというのだ。
また、なぜか最近曇りがちとなり、日照が不足して今年の作物の実りが悪くなる予想が出ていた。
そして、ここにとどめを刺すかのように急激な河川の毒性化。
川の水が飲めたもんじゃないと言いたくなるほど激マズになり、毒性を帯びたのか植物が枯れ果てていくのだ。
そのうえ、なぜか王国内だけがそうなり、かなり離れた王国の領地でない部分の水は汚染されていないのであった。
「品不足、水不足に加えまして・・・」
「まだあるのかよ!?」
この国の現状の悪化に耐え切れなくなった人たちが出ていこうとしていたらしい。
だが、なぜか一部の人達を除いて全くこの国から出ることができなくなったのだという。
「そんな馬鹿な!?出ることができるやつがいるならば、出られるはずだろ!!」
「それが、どうも何か見えない障壁に阻まれているかの様らしくて原因が不明なんですよ!!」
つまり、その出られる一部の者たちを除いては、国内にいる者たちは閉じ込められたようなものであった。
「・・・・皆の者沈まれ!」
「ん!?・・・国王陛下!?」
混沌を極めていた議会の中、突如として響き渡る声があった。
そして、その方向を見たときに、その場を見ただれもが目をむいた。
なぜならそこにいたのは、今まさに病によって死にかけているはずの国王プリンゲストだった。
「国王陛下!!お身体は!!」
「ああ、だいぶ悪いのだが・・・・それでも、この国が滅びてほしくはないと持ってきたのげふぉぅ!!」
「誰か!!血を拭くものを!!」
いきなり吐血したプリンゲスト国王に、慌てて周囲の家臣たちは血を始末した。
「・・・・余の寿命は間もなくなくなるだろう。だが、せめてこの国が滅びるのがいやで、悩みぬいた決断があるのだ・・」
何とか体調が落ち着いたプリンゲスト国王は、議会内の全員に聞こえるように話し始めた。
「・・・実は、この国の根底を変えたいとごほっ・・・思う」
「根底を・・・ですか?」
「うむ・・・・実は・・・」
プリンゲスト国王は話す。
床に臥せているとある夜中に、死神を名乗るものが現れてこの国が滅びることを知らせてきたことを。
だが、ここで何かしらの対処をすればあるいは・・・と言うようなものであった。
なので、その対処として・・・
「この国の根底・・・腐れ切ってしまったその風習や考え方、その他もろもろを捨て去り、今一度周囲の各国と同調すべきだと・・・」
「考え方・・・ってまさか」
「ああ、人族至上主義のこの考え方を捨て去れというものだ」
国王のその言葉に、議会はざわっと騒がしくなった。
人間ではない物に対して、いままでエーゼット王国は汚らわしい物として対等に扱おうとせず、そのため国内からは亜人の種族がいなくなってしまっていた。
そのため、他国でうまい事付き合っている国々と比べて国内の発展が遅れてしまっていたが・・・
「今一度、我々のその考え方を捨て去り、周辺諸国と同等なものに・・・」
「それができるのか!?」
「我々としては、いくら国王の命令でも・・・・それは流石に無理だ!!」
国王の言葉に対して、議会内では反対の声が立ち上がる。
それも全員であり、賛成の意を示す者は誰もいなかった。
・・・・仕方がない事である。そういう考え方を利用して、汚職をやっていたりする者たちもいたのだから。
そして、長い年月をかけて積み重ねられてしまったその考え方を、捨て去るのは容易ではなかった。
「・・・そうか、だめか」
どこか落胆したかのような顔を国王はした。
国を根底から変えるためとして考え決断したことだが、受け入れられるはずがないのはもうどこかで知っていた。
そして、この国がもう滅亡から免れられないことを国王は悟ってもいた・・・・・・
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SIDEアル
「結構疲れたなあ・・・」
「マスターにしかできないような作業がありましたからネ」
ぐったりといすにもたれかかるアルに対して、ファーストはそう返答した。
ここ最近、彼らはエーゼット王国で裏工作をしていたのである。
アルの「セブンズブレス」やゴーレムたちの商会。そしてゴーレムタウンそのものによるものを利用した工作によって、エーゼット王国では混乱が生じたのであった。
まず、タウンがある雲を動かしてわざわざエーゼット王国の上空へととどめて、不可視化している魔法をちょっと調節して、エーゼット王国全体を薄暗くして日光を減少させた。
日光が減少することによって植物の成長を阻害する目的があったのである。それにより、作物なども不作となり、国全体の税収を減らす。
次に、商会によって買い占めを行った。
国内の物資を減少させ、兵糧攻めに近い状況を生み出したのである。
幸いと言うか、商会の資金は潤沢であり、買い占めた品々は他の商会により安く売ったりしてほとんど損失はなかった。
あちこちの商会にも手をゴーレムたちが回したことによって、何処がどのようなことをしたのかたどるのは不可能に近い状況となった。
・・・・そして、ここから選別を開始し始める。
ゴーレム諜報部隊(部隊名検討中)によってエーゼット国内の国民の一斉調査を行い、どれだけ救いようがあるのかを調査する。
その結果・・・・いや本当にどうしようもないんだけど。
100人中1人ぐらいでしかまともな人いないじゃん。他汚職とかよくまみれとか・・・・上層部が腐ると、末端まで腐っていくのか。
また、今回の滅亡の決定打となった国王の弟とやらの調査も細かくやって、もう本当に救いようがなさ過ぎて呆れるほかになかったよ。
あと、人族至上主義ばかりなはずなのに、隠れて獣人などの亜人種族の奴隷を違法に購入して欲を解放するためのはけ口に利用している人の多さにも驚いたね。
国際的にみてもダメダメすぎてもうどうしようもない。奴隷制度は別にいいよ。でも違法性があるのはダメでしょ。
・・・まあ、そんなわけで腐れ切った国はどうしようもないと判断。
国民性でももう傲慢と言うか、七つの大罪とか言われている物を全部満たしてないかこれ?
色欲(まあ字のごとく)、
嫉妬(劣等感とかを抱えて人をねたむ人が多い)、
傲慢(ふんぞり返る貴族階級)、
憤怒(都合のいいようにいかない不満で暴力を)、
暴食(贅沢の結果である)、
強欲(濃い!!この国これがかなり濃い!!)、
怠惰(仕事を怠けるのもいるなぁ)・・・・・・・おお!!フルコンボだドン!!
「マスター、それってフルコンプでは?」
「あ、そう言うか」
もうなんといえばいいのか、よくこれまで存続しているのが不思議なぐらいである。
今まで結構迷惑も他国にかけているようだけど、何とか済ましていたようだ。
・・・だけど、この国はしてはいけないことをついにやってしまった。
人の・・・・俺にとってこの世界での大切な友人・・・・ラン王女を襲撃しようとしたり、其の日を認めずに逆にアリス姫を嫁によこせとかいうその物言い。
はっきり言って滅亡しかないねコレ。
なので、この時点ですでに最終決定をしていたのである。よく考えたらもう考える必要はなかったね。
一応、救いようかあった人の為に、「セブンズブレス(聖)」を・・・・さすがにそのままやると様々な意味でやりすぎるので、その性質を「創造魔法」で閉じ込めて薄めに薄めまくったものを国全体に覆ってやった。
『聖なる壁』とでも名付けようかなこの魔法。
其の名の通り、薄めているけど聖属性を帯びた膜を国の国境に覆って、ある程度までの善人であれば逃げることができるようにしたのである。
ただ、この魔法は・・・欲望に反応する。
そのため、腐っていた人とかは通行ができない。
善人にとってはむしろ健康促進効果をもたらす追加効果付きだけど、悪人にとっては鉄板よりも固い壁となる。
・・・でも、この魔法って維持が結構大変なんだよね。これって俺から魔力を出し続けてやっとできているので、供給を止めればあっという間に消えるのだ。
その辺は都合よくいかないのが、「創造魔法」の欠点であった。そもそも人を分別しようと細かく設定しすぎたのも原因だけどね。魔力は無限に近いけど、それでもごっそりと抜けていく感覚はキッツいものがある。
なので、期限としては1ヶ月だけとする。
1ヶ月経ったら・・・・・あとは、まあ適当な天変地異でも起こして完全滅亡ですよ。
ついでに色々と調査したことを国内の暴露しまくって広めて暴動も起こしたほうがいいかな?
特に、ラン王女に手を出そうとした国王の弟やらには特別にこちらへ招待して丁寧にじっくり・・・・ね。
「結構裏作業が大変である」と、国を滅ぼしたことがある公認モンスターたちは皆そう語るそうな。