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147 それぞれの騒動3

珍しくちょっとシリアス

SIDEラン



「もうそろそろアルの家ね」



『開けぬ森』・・・最近では神龍帝の住みかであるため『神龍帝の森』とすべきかと議論されてい森の中、ラン王女はアルの家を目指して歩いていた。


 森の中はいつも通りに木々が生い茂っており、秋となりつつあるので紅葉化してきている木々もある。


 モンスターなどはほとんど出現せず、凶暴な獣なども見かけない。



 神龍帝がほとんどここに常駐しているせいでその影響力が及んでいるのか、平和そのものであった。


 というか、木々の生命力が増強されているのかかなり生き生きとした印象を与えるのである。



「にしても、今日はいるのかしらね?」


 携帯を渡されているので連絡をしようと思えばいつでも可能である。


 ただ、今回はサプライズ的なというか、驚かせたい気持ちで向かっているのだ。



・・・いなかったらいなかったらで家に泊まらせてもらう許可は得ていたりもする。

 

 アルの家に住んでいるピヨ吉たちとも顔なじみだし、出迎えてくれるだろう。


 ドランは・・・・どうだろうか?ゴーレムタウンの農園区画に最近入り浸っているらしく、なかなか会えなかったりする。畑の世話とかはしっかりしているから別にいいらしいが。


 

 なお、今回アルの家に行くことはアリス姫の方には伝えていない。一応恋のライバルでもあるし、こういう機会にこそぐいぐいいかねばとラン王女は思う。


 まあ、流石にぐいぐい攻めすぎたら確実に前会った時のような恐怖を味わうだろうからある程度わきまえるが。


 


「もーすぐ家ね♪ やーっと家ね♪ そーこに住んでいるのっわー♪」


 ついつい適当に自作した歌をラン王女は機嫌よく歌ってしまっていた。


 きかれていたら恥ずかしいだろうが、アルの住みかの家がある周辺まではめったに誰も対寄らない。



 そのためのびのびとご機嫌よくラン王女が歩んでいた時であった。


「・・・!?」


 ここで気がつけたのはラン王女の勘の良さがあったであろう。


 ここまでは全く気がつかなかったが、空気を斬るような音がして、耳にその音が伝わる。


 すばやく勘に流されるまま体をそらすと、何かがわきを通っていき、木に突き刺さる。



 見ると、細長い小さな針のような物が木に刺さっていた。



「誰かしら?」


 警戒しながらその飛んできた方向を見るが誰もいない。


 いや、気配を消しており、ラン王女でも捕らえられないほどの者達であろう。



 よくない感じがして、ラン王女は一気にその場を駆けだす。


 アルの家の方へ走り、そこへ向かおうという考えである。


 いくらなんでも公認モンスターの住みかへ逃げ込まれるのはまずいのか、針のようなものが次々飛んでくる。


 すばやくかすかに聞こえる音だけを頼りに、ラン王女は木々を蹴り上げて縦横無尽に動いて回避する。


 立体移動方法・・・・アルがそう言いながらなんとなく遊びでやった時の事を思い出す。


 前にちょっと教えてもらった方法で、こういう森の中だとかなり強くなれるかもしれないという戦い方の一つらしい。


 なぜか巨人系のやつにやったほうがいいかもと強く言っていたが・・・・まさかこういう時に役に立つとは思っていなかった。


 森の木々を利用していくラン王女の立体的な動きに、襲撃者たちはなかなかとらえられないのであろう。


 そのうちなりふり構わなくなってきたのか、姿を現してきた。




 着ている者は黒い服だが、以前に遭遇したことがある黒衣とかいう奴らとは別の衣服のようである。


 どこかからの刺客なのだろうが・・・・人数は6人ほどで、どれも相当な腕の持ち主である可能性がある。


 

 己の実力を知っているからこそ、ラン王女は今は逃げなければいけないと理解してアルの家へと向かう。



・・・だが、ここで運が悪いことに、ラン王女が飛び乗った木の枝が折れた。


「っ!?」



 バランスを崩し、ラン王女は地面に落下する。


 慌てて体勢を立て直して受け身はとれたが、今ので完全に追いつかれて囲まれたことを悟った。



 周囲は6人の襲撃者で囲まれており、全員吹き矢のような物を構えている。


 おそらく、何かしらの薬が塗られた針を飛ばしてくるのだろう。


 いくらラン王女と言えども、この状況は不利である。




・・・しかし、こういう時にこそアルの贈り物が役に立った。



「グォォォォォォォォォォゥゥゥウ!!」

「「「「「!?」」」」


 上空から突如、何かの叫び声が聞こえた。


 襲撃者たちが驚き、上空を見ると・・・・そこには、純白のドラゴンが確実に怒りの目で彼らを見ていた・・・・・・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEアル



うん、敵だな。


 アルは下の方に見えるラン王女を囲むようにして立つ奴らを見てそう判断をした。



 アリス姫同様、ラン王女の身の危機を(・・・・・)その腰につけていた収納袋(・・・)からアルに知らされていた。


 親しい人の為にと思って、アルが好意でつけていたのだが役に立つとは・・・・。



 一応感じ取れたのは良いが、転移魔法(テレポート)はあくまで行ったことがある(・・・・・・・・)場所へ(・・・)しか行けず、その目的の人物の目の前に行けるわけではない。



・・・GPSモドキを付けていてよかった。本当によかった!!


 それぞれの携帯の位置発信システムであり、大体のポイントを特定できるように改造しているのである。


 一応これはアルの携帯のみの機能だが、こういう時に本当に役に立つ。衛星はないけど、そこは魔法でごり押しした。


 そのため、大体のポイントを特定して森へと帰り、急いで人化を解除してその場所へと向かう。


 すでに先ほど叫んだ時に「神龍帝の威圧」は発動済みであり、どうやらラン王女を襲おうとしたやつらは全員ひるんで動けないようだ。


 失神とか気絶をしていなところを見る限り、そこそこの訓練とかしていてある程度の気絶耐性があるのだろう。


 だが、彼らはもはや逃れることはできない。


 すでにファーストの方にも連絡を取って、ゴーレム(特殊部隊)を転送してもらい、全員を包囲している。


・・・・チェックメイトであった。

襲撃者たちはいったいどこの差し金であろうか・・・・公認モンスターの住みかで、縄張りでもある森で、一国の王女を狙うとは・・・・・


というか、久し振りに神龍帝の姿で「神龍帝の威圧」を使用したような気がする。たまにドラゴンだと忘れそうになるから怖い。

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