014 主人公以外の人視点1
今回主人公不在
「あー・・・・・金がないっすよ・・」
「そりゃそうだ、依頼で低いランクしか受けていないからな」
ルンデバラート国の首都の東地区にて、屋台で愚痴を言っている二人組がいた。
彼らの名前はゲバルトとラスラン。最近首都に来て冒険者登録をしたばかりの新人であった。
「しょうがないよ、僕らのランクはまだFだし」
「俺っちとしては、もっと稼げたよかったっすよ」
「冒険者としては、もう少し稼げるものかと思ったけど・・・」
「月々平均金貨1~2枚ほどっすからねぇ」
冒険者たちにもランクはあり、そのランクによって稼ぐ額は変わるのだが、基本高ランクな冒険者ほど月収は高額な傾向にあった。
冒険者たちのランクは低い順にH、G、F、E、D、C、B、A、Sとあり、彼らはどうやら下から3番目のランクの冒険者の様である。
冒険者ランクが上がるには、依頼数を多くこなしていくか、もしくはなにかしらの功績を残すなどの方法があるのだが、ランクが高くなればなるほど難しくなってくるのであった。まあ、基本的には実力がものをいうが。
なお、あがりやすいのはDランクまでで、そこから本当に緩やかになってくる。
なので、問題を起こすようなやつらが多いのがDランクからCランクに集中するのがギルドの悩みでもあるのだ。
ちなみに、モンスターには正確なランク付けはされてはいない。なぜなら、時と場合と状況によってその強さがまちまちだからだ。
「そういえばラスラン、最近ギルドで新たに公認モンスターができたそうだよ」
「へー、珍しいことっすねゲバルトっち」
お互いソロ活動なのだが、互いに仲が良く、こうして屋台で話し合いをして情報交換をしていたが、最近公認モンスターが出たことに関しての話題に切り替わった。
「なんでも、『神龍帝のアル』とかいうモンスターだってさ」
「ドラゴン系統のモンスターっすよね。確か住処はこの近くの『開けぬ森』の湖近くで、めちゃ強いらしいっすよ」
「近くにそんなモンスターが住み着くとはな・・・・どうも物凄い奴らしくて、そいつが原因で森からモンスターが逃げ出してきて戦闘になったぽいんだよね」
「俺っちたちじゃかなわない相手っすよね」
強さの壁では越えられないものがあると、心底思う二人。
「ギルドからも厳重注意で出来るだけ刺激をするなとも言われているそうだしさー。まあ、公認モンスターを狙う阿呆はでないだろうな」
「ドラゴン系統って時点でもう無理っすよね。そもそもそんなんしたらやばいことになりそうっすよ」
ドラゴンという分類にはいる時点で、もう相当な強さを誇ることになる。
其のため、たまに国からの勲章授与の際にはドラゴンの名前が付いた勲章が渡されることがあるのだ。
「でもさー、するなって言われたらしたくなるのが人のさがだよね?どう考えてもしそうな馬鹿が出そうなんだけど」
「あー・・・・Cランク冒険者のレバータカっすよね。あいつが一番やらかしそうっすよ」
ギルドで現在問題児として扱われているCランク冒険者レバータカ。彼は新人潰しの称号を持つほど陰険な奴だった。
「あれでも昔はすごいいい人だったらしいけど、ランクが上がらなくなってああなったんすよね」
「・・・・そうっすよ。いいこと思いついたっす」
ふと、ラスランは何かを思いついたかのように言った。
「なんか思いついたのか?」
「あのレバータカは絶対に今回の公認モンスターの神龍帝とやらを考え無しで討伐して、これでランクを上げてやろうとか考えっつくっすよ」
「まあ、確かにあり得なくはないか」
公認モンスターの討伐は厳禁である。彼らの力は大抵強大なものであり、国一つが滅ぼされかねないほどなので機嫌を損ねないように冒険者たちに近づかないように警告する制度でもあるのだ。
だが、それでも万が一倒すことができるのならば、それだけの実力を持っていることになるので処罰しにくくなるのだ。
今まで問題を起こしてきたレバータカにとって、公認モンスターの討伐は免罪符に使えそうなものだと思いそうだった。
「そこででっすよ、あらかじめその公認モンスターの神龍帝とやらに教えに行くっスよ」
「なるほど、あらかじめ教えておくってことか」
「そして、実際来てもわかっているのであるならば落ち着いて対処できるでしょうっすし、機嫌を損ねることはないので国が滅ぼされる可能性もなくなるっすよ」
「で、未然に知らせたとしてうまいこと行けそうになるか・・・・いいんじゃないかな?」
というわけで、レバータカが何か行動を起こす前に二人は開けぬ森の奥の方の湖に目指すのであった。
この二人、アルに会ったらどういう反応するかな?
なお、先に言っておきますけどこの二人は他にもちょくちょく出す予定