145 それぞれの騒動
数話ほどそれぞれの視点での話となります
SIDEアル
アララン共和国に踏み入れて2時間ほど経ち、期待通りと言うか騒がしくなった。
なぜならば・・・・スイカン割りの決闘が行われるようである。
「スイカン割りだぁぁぁ!!」
「今回はどことどこの決闘だ!!」
「冒険者同士のだってよ!!」
ワイワイと明るい感じで、面白そう。
これ決闘のはずなのに周囲は完全にお祭り騒ぎだよな。
・・・そういえば、この国は他の決闘方法もあるらしい。
沖まで100メートル折り返し競泳、200メートル走、ヤシの木登り、ファイヤーダンス・・・ダンス?
それは決闘と言うのか、採点方法はどういうのだとツッコミを入れたいのが多いけど、やっぱりメジャーなのはスイカン割りだ。
面白そうなので、今回は野次馬気分でアルは見に行くことにしたのであった。
これだれかとやってみたいけど、ミランさんだっけ?ここのギルドマスターに言って見たら受けるとすれば公認モンスターぐらいでしょとツッコミをもらった。
楽そうだけどなー。ガッバーナあたりがやってくれないかな?
いやゼノはマジで勘弁。決闘どころかマジのバトルになりそうで怖い。そしてシャレにならなさそう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
SIDEラン王女
「・・・ふむ」
ギルドから出て、ラン王女は今泊っている宿屋へ向かっている途中、ふと感じた。
頭の上の方にあるキツネ耳をピコピコと動かし、音を拾う。
「あほなのかしらね・・・」
聞こえてくる内容は、ちょっと下卑た感じである。
大方ギルドでのラン王女の収入を見て、その有り金を狙おうとする腐れ冒険者たちが追跡しているようだ。
結構やばいモンスターも狩っているし、そもそもギルドでの買い取りの際にモンスターをだして見せつけているし、ランクも聞けば周囲の冒険者たちが教えてくれそうなものである。
だけど、それでもわかっていないのはよっぽどの大馬鹿のあほであろう。
ラン王女の見かけだけなら美しいから、その体を狙っている可能性もあるだろう。
そういう低能な考えの輩を思うと、ため息が出た。
というわけで、わざわざ路地裏の人通りが少ないところに入る。
ラン王女が路地裏に入ったところで、後に続けて数人ほどの荒くれたちが入った。
・・・・数分後、女性の悲鳴ではなく、男性たちの悲鳴が上がり、衛兵たちが駆け付けたところ・・・お見せできない惨状になっていたのは言うまでもない。
なお、ちょっと過剰防衛だと説教されはした。
・・ラン王女ってさ、アルにも挑戦して戦うほどだよ?
そんな人が生半可な実力じゃないのはわかりそうなものである。
綺麗なバラにはとげがある。まさにそれを具現化したような感じであった。