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141 有能過ぎてなんか怖い

ゼノの話はまた今度出るかな。

・・・浄化作業を行ってから1週間後、ゴーレムタウンのファーストから連絡が入り、アルはその報告を聞くためにタウンに入った。



「何かあったのか?」

「ハイ、この間マスターたちが浄化作業をしている間に、諜報部隊によってその穢れた土地についての調査を行っていたんデス。それから数日ほど情報を収集した結果、ある事が分かりましタ」


 ゴーレムタウンの諜報部隊はありとあらゆる情報を集めるエキスパートたちであり、どんどん性能が向上していっている、このタウンに欠かせない存在である。


 そんな彼らが、どうもこの間の穢れた土地についての情報を詳細に手に入れたようであった。


「今回、穢れた土地はミッドナイト王国の全土であり、その他の領域には穢れがありませんでしたよネ」

「ああ、綺麗に線分けされているように思えたなぁ」



 あの時、浄化する前に思ったのだが、穢れた土地とそうでない土地の線引きがきちんとされているように感じ取れた。例えで言うなれば、水と油の混じらない境界線の様なそんな感じに近いのかもしれない。



「穢れたのは、ミッドナイト王国の全域だけ(・・)で、綺麗に国境に沿ってだったようデス。国そのものだけであり、その国境線沿いには超えないようにと・・・・明らかな人為的痕跡が残っているようでしタ」


 穢れた土地は周辺に影響を及ぼすのだが、調査の結果穢れた土地は一歩もその国境から出て広がってはいなかったようである。



「そして、その王国の最後の状態について、詳細な情報が手に入りました」


 

 聞くと、ミッドナイト王国は当時かなりのやばい財政難に陥っていたらしい。


 深夜テンションになりやすい国だからか、朝になって冷静になれば不要だとわかっている事でもノリでついつい行い、そのせいで財政が圧迫されて借金が多い状態だったのだとか。


 なぜそこまで深夜テンションになりやすい状態だったかについては、そのような気分・・・というか、状態異常にさせる魔道具(マジックアイテム)が国全体に影響を及ぼしていたのだとか。


 いや、「深夜テンション」って状態異常あるのかよ。そこがすごく気になるんだが・・・。


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状態異常:深夜テンション

あくまで状態異常の深夜テンションであり、通常のモノは状態異常扱いではない。人為的なものでしか状態異常の扱いにならないのである。

魔道具(マジックアイテム)や魔法による精神への干渉によって引き起こされ、通常の深夜テンションとは違い、昼間でもなる状態異常でもある。

冷静な判断力が失われ、その場のノリで行動しやすくなり、後先考えずに無茶苦茶してしまう。

この状態異常時には、様々なことを思いつきやすくなるというメリットはあるのだが、後から考えると顔から火が出るほど恥ずかしくなったりしやすいものが多くなってしまうというデメリットがある。


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「その状態異常によって様々な人からアイディアを出させ、それを利用して国の発展を遂げさせようと大昔のその国の為政者が状態異常にさせる魔道具(マジックアイテム)を国の全域におき、そのために常に深夜テンションな人が多くなったようデス」


 そして、もくろみ通り様々な発展のアイディアが出されて、これまではぎりぎりのバランスを保ってきたらしい。


 だが、つい最近になってどこかでそのバランスが崩れたのか財政難に陥りやすくなって、そのために国の破産の危機を迎えたそうだ。



「そして、それを乗り越えようと考え出す人たちが出した結論が・・・・『異界召喚』とかいう無茶苦茶な魔法を使用し、他の世界の人を誰か呼び出してこの危機を乗り越えるアイディアを出してもらおうという事だったようデス」


 ・・・要は転移者の様なものを作ろうとしていたらしい。


 他の世界から人を呼び出し、その人から知恵を拝借する・・・・そういった考え方だったそうだ。


 いやそれって転生者の人が考えそうなものでもありそうだよね。普通他の世界があるって考える人って出なさそうだもの。



「って、そんなことは可能だったのか?」

「いえ、理論的に考えてまず確実に無理デス」


 そりゃ世界を超えて人を呼び出そうという行為自体が神の御業の様なものであり、チートの様な神龍帝の俺だって不可能なものだからね。


 それをその深夜テンションのノリで考えに考え抜き、どうにかできないかと模索した結果・・・



「安直に生贄という手段が選ばれたそうデス」

「かなり安直だな」


 生贄をささげればうまいことい行くのではと考えた馬鹿野郎がいるようで、その結論に達したようである。


 とはいえ、流石にこの世界でも生贄を出すという行為は忌避されるようなものであり、頭がよっぽど古い迷信で凝り固まっているような村とかでないとそんな行為は見られないそうだ。


 そして、生きた人を生贄に使うのは流石に抵抗があって・・・・



「・・・そこで、すでに死んでいる者なら大丈夫ではという結論が出たようなのですネ」

「そうか、そこでデッドなのか」


 アンデッドである彼を生贄に出そうと、当時の人達は考えたそうである、


 すでに死んでいるような物であり、生贄と言っていいのかはわからないがそこは深夜テンションのノリ。


 深く考えずにデッドを生贄・・・いや、この場合触媒と言った方が正しいのだろうけどそうしてその「異界召喚」とやらを執り行うことを決めたそうだ。


 デッド自身は公認モンスターであり、うかつにそういうことをやるとそれはそれでやばそうであるが、国のその事情を聴いたデッドが面白そうだと思って進んで自らなったそうである。


 アンデッドである彼は長年生きており、もう退屈な毎日を送っていたそうで、刺激が欲しかったそうである。



・・・というか、ここまで聞いて思ったけどなんでここまで詳細な情報があるんだ?うちの諜報部隊って本当に何者だと問い詰めたくなるよ。有能過ぎてなんか怖い。





 話は戻して、深夜テンションのノリで作り上げた魔法陣と、生贄としてデッドが自らささげられて準備は満タンとなり・・・・・





「そこからの情報は現在も不明デス。流石二、これ以上の調査は不可能でしタ」


 嫌もう十分すぎると思うんだけど。



 ・・・「異界召喚」自体はほとんど不可能なものなのに、深夜テンションでできるのではというようなものを作製し、生贄と言っていいのかアンデッドを触媒としてその儀式を発動させた。


 その結果、それらの要因が重なり合って・・・・・・・・今回の穢れた土地になったのであろう。


 というか、デッドもある意味責任があるよな。そんな怪しすぎる儀式に自ら進んでやったらそりゃなぁ・・・フォローできないな。



 そこまでの予測はファーストもできたようだ。


 とりあえず、この調査結果をザップリンさんに話してみようと俺は思うのであった。


 



「ゴーレム諜報部隊」

・現在約1万体が各国に潜入。

・スキルはどれもかなり成長した者が多く、すでに他の国に居るような諜報部隊の能力を凌駕している。

・改良されつつあり、スキルも用途に合わせたものへと分類分けされて適材適所へ

・ゴーレム以外の人員を募集予定。流石にゴーレムの能力だけでは限界もあり、ここは多種多様な種族の人々に入ってもらいたいところ。月給金貨3枚の予定。


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