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短めかな
夏祭りが終わった翌日、本当ならば神龍帝であるアルはザップリンさんの案内によってその穢れた土地の浄化作業を行う予定であったのだが・・・・・
『すまんのぅ。ギルド間での連絡が来たのじゃが、今日は案内が出来んのじゃ』
「え?」
朝早く行く用意をしていたところで、携帯でザップリンさんからの連絡が来てそう告げられた。
「何か問題でもあったのですか?」
『いやぁ・・・それがどういえばいいのやら・・・・興味を持たれたようじゃよ』
「?」
何やら歯切れが悪い。
尋ねて見ると、どうも・・・・
「え?公認モンスターが俺の家に来るんですか」
『そうじゃよ。その公認モンスター・・・というか、その制度を初めて設立し、ギルドにとっても最重要人物とも言われるお方じゃ』
・・・・公認モンスターの制度はそもそも、そのモンスターが提唱したのが始まりらしい。
いや、正確には獣人やエルフのように亜人種族のようなもので、モンスターではないのだが、その人物自身がいつしかモンスターとして登録するようにしていたらしい。
長い歴史の中に常に影の方に立ち、冒険者として登録していた時期もあれば、戦争が起きていた地域で圧倒的な力を見せつけて沈めた、公認モンスターのなかでも圧倒的な別格の存在。
『種族名「吸血鬼」にしてその真祖、名前はゼノと呼ばれる・・・・ギルドでもかなりの影響力を誇るという、もはやどのくらい大昔からいたのかわからぬ者じゃ』
「・・・はい?」
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「吸血鬼」
この世界において、現在3人しか確認されていないモンスター。かつてはモンスターではなく亜人種族だったらしいが、公認モンスターの提唱のために自らモンスターと定義した者によって変更された。
とは言っても、オリジナルが真祖と呼ばれる「ゼノ」と呼ばれるもの一人だけであり、残りの二人はそのゼノの奥さんである。
その子供には吸血鬼の能力が受け継がれず、種族は「吸血鬼」になる前の奥さんたちの種族のまま、子孫繁栄をしていった。
「ゼノ」
「吸血鬼」の真祖であり、公認モンスターの考えを提唱した者である。
銀髪の髪をして、永遠に老いることもなくその時を過ごし、歴史に何かあるときにのみ自ら動きだすという伝説上の人物ともされている。
過去に冒険者として登録をしていた時があり、その時の最終ランクはSを突破していた。
圧倒的な力を持ち、囲い込みをしようとした国がその機嫌を損ねて、さらに彼が大切にしていたモノに手を出そうとして怒りを買い、滅ぼされたという記録が残っている。
現在はとある森の奥でひっそりと永遠の愛と生涯を共にすると誓った妻2人と生活をしているそうだが、彼の影響力は未だに健在であり、畏怖を持って恐れられている。
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・・・ザップリンさんの情報によるとそのような者らしい。
うん、この国を滅ぼすってこの時点で相当やばい奴だこれ。
そしてなんで俺のところに来るんだよそんな滅茶苦茶やばそうな人物が。
『・・・アル、お主の力も知っておるのじゃが、出来れば争わないでほしいのじゃ。戦闘されると周囲にどんな被害が出るのかわからんからのぅ』
「ザップリンさんが仲介役になってほしいんですけど・・・」
『・・・すまん』
通話が途切れ、声が聞こえなくなる。
「・・・・どうすんだこの状況」
明らかにこれまであってきた者とは別格の存在が来そうだよ。
不安があるが、とりあえず出迎えの用意をすることにしたのであった。
・・・面倒ごとの前に、それよりもさらに厄介そうな存在が来るのはひどいなおい。
設定上、この「ゼノ」が登場した作品とはやや変更がなされています。
亜人種族でもあり、モンスターとしても登録はされているけど・・・・・・影響力が本当にある、公認モンスター最大の実力者でもあるのかもしれない。