134 夏祭りセカンド 3日目
面倒ごとは忘れましょう
ザップリンさんからの説明を受けた翌日、普通にアルは街中でアリス姫とラン王女との待ち合わせをしていた。
事前に渡していた携帯で連絡を取り、待ち合わせ場所を決めたのである。
まあ、ザップリンさんから聞くに土地の浄化終了までが時間はかかるが、アル自身が聖属性の魔法・・・というかブレスを使えることを言ったので、この夏祭りが終わった後に、案内してもらってその穢れた大地に「|セブンズブレス(聖)」を浴びせる予定である。
すぐにやらないのは、流石に広範囲だから時間もかかるし、今のところまだ大丈夫そうだから今日だけはと言うことで、そのめんどくさい仕事を後回しにしているのであった。
なお、ガッバーナもその時に同伴してもらい、万が一に備えて公認モンスター2体構えで対処の予定である。
そのため、今日は夏祭り最後と言うこともあり、めいいっぱい楽しむ予定であった。
アリス姫とラン王女と合流し、3日目の屋台巡りを開始する。
一応、祭り後の予定を話すと、2人とも心配してくれた。
「そんな場所へ行って大丈夫ですか・・・?」
「万が一があったら怖いんですからね」
とりあえず安全祈願として、屋台で売られていたお守りを購入しました。
それぞれのおそろいと言うことで、三色セットの物を分けて買ったんだよね。
ゴーレムたちが作ったものではなく、普通に作られていたお守りであったが、流石魔法があるこの世界と言うか、そこそこの保証がされているやつだった。
念のために「鑑定」で確認はしたのだよ。
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「安全祈願のお守り」
過去に転生者がいて、その人が広めたのが始まりとされるものである。
聖属性の魔法で育てられた木を削り、代々受け継いで丁寧に心を込めて削られた、人の手によって本当に安全を願われた心がこもったお守りである。
効力は流石に薄いのだが、それでも人の為に作られた心温まるものである。
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・・・過去の転生者は一体何やっているんだろうか。でも、一応効果はあるようだし良いのかな。
ちなみに、隣の方で売られていた物はただのおしゃれなお守りで効果なし。
たまーにこういう本物が混じっているようだけど、それはそれですごいような気がする。ゴーレムのスキルに取り入れて販売・・・・は辞めておこう。怪しい宗教団体になりかねん。
「おそろいだね」
「ええ、アルとおそろいですわ」
「ふふふ・・これでみんな一緒よね」
三人そろってにこりと笑えた。
やっぱり、彼女たちには笑顔が似合うけど、ちょっとドキッとするんだよね。
そんでもって、去年はアリス姫にネックレスをこの時プレゼントしていたけど、今年はどうしようかと悩んだ末に俺お手製のそれぞれに合わせた物をプレゼントすることにしました。
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「神龍帝の髪飾り」
星5クラスの魔道具と化した髪を結ぶのに使える綺麗な髪飾り。
元々あるネックレスの効果を増幅し、さらに安全対策として「武器の無効化」が可能になるように様々な工夫が詰め込まれた逸品である。剣で刺されようが、槍が飛んでこようが、「危害を加える物」だとこの髪飾りが判断すれば、その物を転移魔法で飛ばしたり、「神龍帝の威圧(限定版)」が発動して、ひるませるどころか泡吹いて倒れさせるレベルの物を自動的にその相手にかける。
・・・「どこと戦う気ですか」by「鑑定」
「神龍帝の小刀」
星5クラスの魔道具でもあり、魔剣と言うモノに分類も可能な小刀。
神龍帝の鱗をアルが魔法で圧縮し、加工できるようにしたのち、ゴーレムの鍛冶師たちが丹精を込めて鍛えあげ、武器にしてさらに素晴らしい細工を施したとんでもない力を持つ武器。
この武器を装備している間は身体能力が向上し、身軽に動けて戦いやすくなって病気にもなりにくい。
魔石が取り付けられており、起動用のボタンが付いている。そのボタンを押すと、鉄すらも切り裂けるかの有名な斬○剣以上の切れ味を誇り、投げてもすぐに使用者の手許へと戻ってきてくれる小刀である。
・・・「だから本気でどこよ」by「鑑定」
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・・・「鑑定」にツッコミを入れられるほどの代物となっている。
「鑑定」や。あなた最近もう完全に自我持っていませんかね?しかも呆れたかのようなコメントだよこれ。
「鑑定」を「鑑定」してみたが、なんと鑑定不可能。というか、「鑑定」そのものが拒否しているようだし、なんだこれ?
ともかく、謎が深まったがアリス姫とラン王女に渡すとどちらも喜んでくれた。
念のために鑑定結果を伝えると、ちょっと驚かれたけど・・・・慣れたようである。
夏祭り最終日ともあり、花火の時間となる。
今年はゴーレムたちが混じって作成していたようで、去年よりも多く打ちあがるらしい。
「・・・と言うわけで、去年同様に二人とも乗ってもらっているけど大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。アルなら安心できますからね」
「確かにここなら特等席よね・・・・」
上空を人化を解いた神龍帝の姿でホバリングし、念のために光学迷彩魔法で下から見られないようにして花火を見ることにした。
ひゅぅるるるるるるるるるるるる・・・・・・どぉぉぉぉぉん!!
花火が撃ちあがり始め、俺達は花火が止むまで上空の特等席で、楽しんだのであった・・・・・。
・・・さてと、浄化の仕事が待ち受けていると考えるとなぁ。
どの世界でも、休みの後の仕事は辛いものです。
・・・次回のこの裏サイドは誰に焦点が当たるでしょう?