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133 夏祭りセカンド3日目・・・・の前に忍び寄る影

ちょっとシリアス

 夏祭り2日目の時間も終わり、あたりが寝静まる深夜。


 首都内では明かりが消え、祭りの騒ぎはどこやらと言う空気となって静かになる。


 ギルドに併設されている酒場ではまだ起きて飲んだくれている者がいたり、酔っぱらて醜態をさらす者もいた。


 中には、奥さんが飛び込んできて引きずって帰らされている人が居たりする中、そこには二体のモンスターがいた。


 片方は、全身鎧で身をつつんでいるが、頭だけはさらされてテーブルに置かれているデュラハン。


 片方は、祭りの季節と言うことで浴衣を着こんで人化をしているドラゴン・・・神龍帝。



 ガッバーナと、アルである。


 もう深夜なので寝ようかと思っていた矢先、二人ともこの町にいるギルドマスターのザップリンからの連絡が来て、この酒場に居座っていた。


 ただし、ガッバーナはワインを少しだけ飲んで酔わないようにし、アルはジュースを飲む。


・・・酒は流石にまだ飲むのは早いかなとアルは考えているのであった。モンスターに飲酒制限年齢があるわけではないが、中身の方でなんとなく思ってしまうのである。



「すまん、すまん。遅くなったのぅ」


 と、あたふたとしてギルドマスターであるザップリンが酒場の中に入ってきた。


 一応ギルドでの書類や報告の確認を確認しており、二人へとあることを伝えるためにこの酒場の方で待ってくれるように頼んだのは良いが、仕事で遅くなったのである。


「いや、そんなに待っていないでありますよ」

「そうそう、そんなにかかっていないってば」


 ガッバーナとアルはそんなザップリンに対して平然とそういった。






 ザップリンが席に着き、机に3人が集合する。


「さてと、今回二人にお願いがあって、ここに来てもらったのじゃが・・・・いいのかのぅ」

「大丈夫でありますよ。どうせ我輩アンデッドだから夜の方が元気が出るのでありますし」

「俺としては早めに済む話題だといいけどな」



・・・アルとしては、明日アリス姫とラン王女と祭りを回るために早く寝たかったが、普段何かとお世話になっているザップリンに対しては無下にするわけにはいかなかった。


 ただ、二人ともザップリンが呼び出した理由については、並々ならぬものを感じていた。


 そもそも、公認モンスターが呼び出される理由としては、それ相応の厄介ごとがあるのだ。



「実はのぅ、とある公認モンスターの事じゃが・・・・公認を取り消し、討伐対象となった者が出たのじゃ」

「公認取り消し?」

「しかも討伐対象にでありますか?」



 重々しくザップリンが話し始めた。




 今いるこの国とは別の国に居る公認モンスターで、かなり昔に公認モンスターとして登録されたモンスターであった。


 その国・・・ミッドナイト王国とか言うのがあったらしい。位置していたのは、以前アルが砂漠を密林にした隣だという。


 そして、そのモンスターは種族が「グール」。名前は「デッド」とかいうひねくれもないような名前を持ち、知性があって人と会話が可能でもあった奴だという。


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「ミッドナイト王国」

・深夜になぜかハイテンションになる人物が多くいた王国。

・深夜テンションで某梨のようになっている人物が多くあり、翌朝に羞恥で悶える人が多く出た。

・その国に立ち寄るとなぜかそうなる人が多くなり、一説ではその土地の風紀に当てられたからと言う物があるが原因は不明。

・黒歴史生産国とも言われる。




「グール」

アンデッド型モンスター。死体がモンスターとなったアンデッド系のモンスターの中でもそこそこ力があり、スケルトンやゾンビと言った系統に近いものとされている。

本能的に生者を求め、その血肉を貪り食おうとする極めて危険なモンスターである。


しかし、「デッド」とかいう名前を名乗るものは知性があり、きちんと人を襲わず、また酒場などで人気があった変わり者のモンスターだったという。

生前が大道芸人だったというのも影響しているのではないかと言われている。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 今まではそのモンスターは特に何もしていなかったのだが・・・・・つい先ほどとんでもない情報が入ってきたのである。




「・・・そのモンスターじゃがな、ここ最近に至ってはその姿すら見かけられなかったようじゃ」


・・・だが、およそ2日前に異変が起きた。



「そのモンスターがいた国でな、突如として音信不通になったようなんじゃよ」


 商業ギルドからの連絡が早く、商人たちとの連絡がいきなり途絶えたらしい。


 そのため、その国がどうなったのかを探索に向かったところ・・・・


「その国があった・・・その領地などを含めすべてが穢れて(・・・)おったのじゃ」

「穢れて・・・って何ですか?」



 聞くと、アンデッドモンスターが生まれやすい状態の土地・・・・つまり、汚染されたかのようになってしまって生きとし生けるものが住めないような状態へと変化していたらしい。


 一応聖属性の魔法によって浄化は可能であるが、すべてを戻すにはかなりの時間がかかるとされる。



「・・・なんじゃそりゃ」


 その説明を聞き、アルは絶句する。


 ガッバーナの方も同様に、真剣な顔になっていた。


「『死霊使い』、『アンデッドマスター』といったスキルの持ち主だとそのような状態を引き起こせるのは来たことがありますが、国全体がと言う大規模なものはさすがにあり得ない話でありますよ」


 そのようなことをできるスキルとかは一応あるらしい。だが、魔力の消費とかを考えると精々4畳半ほどの土地しか穢せないらしい。


 微妙な気もするけど、つまりはそれだけの大規模なものはまず普通は無理と言う事である。


 そう。、「普通」であるならば。


「でじゃ、今回の一件じゃが・・・そのデッドが問題の元凶だという」



 調査をしているときに、調査団たちの前にいきなり大柄なアンデッドのモンスターが出たらしい。


 体長はおよそ5~6メートルほどであるのだが、死臭がしており、ところどころえぐれてその内面が見えたという。



「・・・そして、そのモンスターは自身を『デッド』と名乗ったそうじゃ。だが、グールは通常そのようなモンスターにはならぬ」


 モンスターに進化することはあるそうだが、グールがそのような異常な変化を遂げた例はないようである。




 そして、名乗った後にそのモンスターは・・・・


「有無を言わさずに突如暴れ出し、調査団を壊滅にまで追い込み、死者が出たそうじゃ」


 公認モンスターであるデッド本人かどうかは明確には不明だが、流石にこのような行為をされるとギルドと言えども黙ることはできない。


 また、そのような穢れの土地にした原因の可能性もあり、急きょ公認を取り消し、討伐をしたのだという。


「じゃが、公認モンスター登録を元々していただけあってな・・・・・本来のデッド自身の攻撃力もかなりのものじゃったそうじゃ」


 実力もあったので認められていたデッド。


 そして、さらにそのような変貌を遂げることによってさらに力を増したのだと推定された。



「公認モンスタークラスのモンスターを討伐できるのは公認モンスターぐらいじゃ。ギルドの公認モンスターの規定に従って、討伐をしてくれるように各公認モンスターにも同様の通達が来ておるはずじゃ」

「そして、ここにいる俺達にも討伐するようにその話を聞かせたというわけか・・・・」

「そうじゃ。まあ、今のところそこから動いてはおらぬようじゃし、一応討伐をしてほしい日時はまだ先じゃがな」




 公認モンスターを他の公認モンスターが討伐するように言われるのは別にかまわない。


「だけど、すぐにでもと言うわけではないのはなぜでありますかね?」

「穢れた土地の影響じゃ。穢れすぎておるのか、たまたま別のアンデッド系の公認モンスターが近くにおったので、通れるのか頼んでみたところ、そのモンスターでさえ、体調を崩して死ぬかと思ったという発言をした様じゃな」


 アンデッドが死ぬっていうのはどうなのかと言いたいが、とりあえずその土地が無茶苦茶やばいものとかしているようだ。


「その土地に入るため浄化の期間があるから今は通達だけでありますか・・・」

「その通りなのじゃよ」


 他の公認モンスターにも影響があるかもしれないし、下手するとデッドのようなことになる可能性もある。


 そのため、各国の聖属性の魔法の使い手たちが懸命に浄化作業をして・・・・・あれ?


 俺のブレスだと可能かな?「セブンズブレス(聖)」ってあるし、出来そうな気もするが・・・・・・




3日目までの日付をまたぐまでの間の話かな

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