132 夏祭りセカンド 2日目の裏側
本日2話目
ゴーレムタウンの近況報告みたいなものかな。
SIDEファースト
「ふむ・・・初日は白金貨数枚分の利益が出てますネ」
ゴーレムタウンのとある一室で、ファーストは屋台の売り上げの精算をしていた。
ゴーレムたちで夏祭りの屋台で参加をしてみたのだが、なかなか好評のようである。
材料費などはこのゴーレムタウンで大半が確保できるので、実質利益しか出ないようなものだ。
とはいっても、流石に一部の材料などは商業ギルドを介して手に入れている物もあり、完全ではないのだが、それでも儲かっていることは儲かっていた。
この利益は後々ゴーレムタウンでの整備費、維持費、開発費などに回す予定である。
また、各地に商店を構えてそこをゴーレムではなく生きた人を雇用することによって雇用を生み出し、経済を活性化させてみようという狙いもあった。
全部がゴーレムで済めばいいのだが、やはり人と言うのは人が相手の方が安心し、接客業とかは人の方が向いているようなのである。
・・・まあ、試作してみた人にとっての美男美女ともいえるような姿をしたゴーレムたちを接客業に出してみたところ、相手がゴーレムでも顔やスタイルがよければいいのかとツッコミを入れたくなるぐらいの行列が出来たときがあった。
なお、余りにも行列ができて逆に経営に支障をきたしかねないのですぐにその試みは中止となったが。
そのゴーレムたちは現在ファッション方面に出てもらって、衣服などの方で活躍してもらうことにした。こっちの方ならそこまで支障は出ないからね。
適材適所とはどういう物なのか、この時ファーストはよく学んだのであった。
なお、衣服の繊維だが養蚕にも手を出してみたり、モンスターであるシープルンルンバとかいうものの羊毛や、アラクネから定期的な糸の取引を持ち掛けてみたりして賄えている。
アラクネの場合、一応見た目が麗しく、男を惑わして子を成そうとするものが多いので、マスターであるアルには近寄らせないようにときちんとファーストは管理をしていた。
・・・なお、取引に関して男を差し出してほしいというものもあり、交渉によって犯罪者の方々を引き渡してみた。数日ほどで返却されて干からびてしなびていたが、まあある意味刑罰にはなったであろう。
ラミアとかハーピーとか言ったモンスターもいることはいて、こちらも同様の様なので検討中。羽毛とかは結構価値があるからね。
犯罪者も死にかけるような目に遭いながらも一応は男冥利に尽きるだろうし、モンスター側からしても子孫を残す手段が確保できるから互いに損はない。
ゴーレムタウンだけではできないようなこともあるので、ここは交渉などを行ってしっかりと補うのがいいと考えられるのであった。
「現状、武器の作成もある程度までは販売できますしネ・・」
ゴーレムたちの中には、鍛冶屋・・・特に武器を作るもの体のスキルも向上しており、品質の良いものが量産できるようになってきた。
ただ、流石にこれは戦争のもとになったりする可能性もあるので慎重に見定めて限られた数だけの販売にしかできないのがもったいないところである。利用方法は現状検討中。
ただ、フライパンや包丁などと言った日用品の方は販売可能であるのだが・・・諜報部隊の調査によると、冒険者の中にその包丁を武器として扱う人が出てきているのだとか。
改善の余地がありそうだ。
ゴーレムタウンの農業区画では、こちらは成功を収めている。
各地の作物や果物を収穫・出荷、品種改良などを進めることができ、さらに地龍であるドランが定期的にあちこちの畑の土などを改善してくれるので、かなりの豊作となる。
一応いまドランはマスターの家の隣接する畑にいるが、最近改善された転移板によってこのタウンとの行き来と、完全な専用の住処を確保できるようになっている。
牧場区画では、今回の屋台の一部で使用されているミルクを出すバッホーンたちものびのびと暮らしている。
群れのリーダーであるバッホーンのボルドは今日も相変わらずシーホースの群れのリーダーであるはずの、ユニコーンのプラチナに恋慕されて追い回されているようであったが。
種族は違えど、愛は種を超えるとでも考えているのであろうか。まあ、モンスターの中には人と交配して・・・というものがいるので、このモンスターの組み合わせでも可能そうだが、まあ要観察である。
ワイバーンの方は、現在2頭目が来た模様。
カップルと化したようで、巣が作られました。子供が楽しみである。
なお、空飛ぶモンスターとしてガーゴイルとグリフォンが最近やっと1頭ずつではあるのだが仲間入りした。
空の上に浮かぶこのゴーレムタウン、次にここにどんなものが加わるのであろうか。
そう考えると、なんとなくワクワクしてしまうような感情をファーストは抱くのであった。
3日目・・・何事もなければいいけど、この辺でまたなにかしらのイベントを起こしたい。