131 夏祭りセカンド 2日目
なんか綿あめ食べたくなった。あれって最後らへんでべたべたして甘ったるくなるけど、作るのは面白いんだよね。
夏祭り2日目である。
昨日はアリス姫とラン王女と一緒にアルは見て回ったが、今日は二人と都合が合わないらしくアルは一人で祭りの屋台をめぐることにした。
屋台も場所を入れ替えられており、3日間でまんべんなくどの屋台も皆が回れるように配慮されているので昨日とはまた違った光景がそこにあった。
「ん?あれは・・・ゲバルトとラスランか」
歩いていると、知り合いを見かけたのだが・・・・ちょっと手前の方でアルは声をかけるのを止めた。
みれば、二人とも彼女らしき人と一緒であり、周囲の独身と思われる男性たちから嫉妬の目線で見られながらも楽しんでいる様子が見えたからだ。
そういえば、あの二人彼女ができていたというのは聞いたことがあったけど・・・よく堂々とまぁ気にしないで屋台を見て回れるな。
・・・愛故と言う言葉もありそうだが、実は平然としている原因はアルにもあった。
神龍帝であるアルに他の冒険者たち以上に接触の機会が多く、公認モンスターを相手にしているという緊張感が最初はあったのだが、徐々に精神面がアルの影響を受けていたのか鍛えられていたのである。
そのため依頼での戦闘中でも落ち着いて判断をしたりなどがすることができ、この程度の嫉妬の目線は気にもしなくなったのであった。
それを考えると、彼らの彼女の方はアルとの接触はないのに耐えられていることを考えるとかなりの度胸がありそうだが・・・・・将来、尻に敷かれていそうだ。
そんな二人をそっとアルは声をかけずにその場から離れ、別の方向へ向かって歩いて邪魔をしないという判断を取ったのであった。
「お、ゴーレム屋台の方でも変わり者が多いものがある場所だな」
屋台をある程度進むと、ゴーレムたちが営業をしている屋台が多い場所へ来た。
既存の店と被らないよう・・・・というか、かぶることができないだろうと言えるものを出しているのが多い。
アル直属とでもいうべきか、ゴーレムたちで行っている商売で使用している転移板を利用し、各地に散らばっているゴーレムたち、もしくはゴーレムタウンから産地直送の食べ物を使った料理をしているなどと幅広い。
一応今では転移板も改良されており、生きた者を転送できるようにはなっている。
ただ、一応許可証を作製し、これが付いていないと転送されないようにしているのだ。
悪人とかがゴーレムタウンに潜り込まれても困るからね。ゴーレムたちを殺し・・・壊して奪おうとしても、一応それぞれちょっとした実力者になっているぞ。スキルさまさまというか、職業訓練だけではなく護身用の訓練もファーストは取り入れているらしいからな。
一応アルとその関係者しか使用できないし、ゴーレムたちでほぼ転移板を独占している状態である。
まあ、そのうち卸売業者なども兼ねて各商会ともパイプを持つ計画は現在作成されているそうだ。
ゴーレムを輸送の担い手にして経由し、遠隔地へと輸送して商売をする。
まさに商業革命となるだろうけど、その影響などを考えてまだまだ先は長そうである。
面倒な話になりそうなので、とりあえずアルは考えるのをいったん止めた。こういうのを考えるのはファーストに任せよう。
そういえば去年はガッバーナにこの時期会っていたけど、他の公認モンスターってどこにどれだけいるのかよく知らないな。
今度ザップリンさんに聞いてみようかな。気になることでもあるし、公認モンスター同士の挨拶としてもやっておいたほうが良さそうだからね。
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「うおっ!?」
「どうしたんですかねギルドマスター?」
「いや、何かまた面倒ごとがありそうな予感がしたのじゃよ・・・・」
ギルドの執務室にて、ザップリンさんは何かまた面倒ごとの予感を感じさせられるのであった。
別に「危険予知」等のスキルがあるわけではないが、長年の勘である。
後日、その勘が当たっていたことを知るのはまた別のお話。
裏サイドはだーれーにーしーよーうーかーなー?