125 ザップリンさんの驚き
本日2話目
「・・・そういえば、今年も夏祭りの時期か」
海へ行った翌日、ふとアルはそう思いだしてつぶやく。
毎年ルンデバラート国では夏祭りが開催されるようで、去年は客側として楽しんでいた。
アリス姫と一緒に回っていたが、今年はラン王女も誘おうかなと考える。
・・・ここで、二人っきりで過ごしたいと考える乙女の気持ちを考えていなかったのは鈍感なのか、天然なのか・・・。
「夏祭りですカ。ゴーレムたちでも出店を出す予定デス」
ゴーレムタウンに赴いてファーストに尋ねてみると、こっちでも出店予定があるようだ。
というか、最近俺のの知らないところで結構な事業にゴーレムたちが出ているような気がする。
ファーストが仕切っているけど、本当に生きて自由に動いているかのような印象が出始めたよなぁ。
商人ギルドとの関係も良好であり、諜報部隊のおかげで悪徳商人とかを次々社会的にも抹殺をしていて、だいぶ清廉潔白な商売がやりやすいのだとか。
・・・「も」?え、物理的にとかは流石に怖いけどやってないよね?
そして、魔道ギルドの方でも魔道具に分類されるものでゴーレムたちでも製作可能なものを見本として渡したりしてこちらとも関係が良好のようである。
まあ、偉そうにする人とかは排除し始めて、さらに諜報部隊による情報収集で汚職をしている人たちとかも握りまして、派閥争いを消極的なものへと変化させたらしい。
諜報部隊、本当に優秀すぎて怖いな。そういえば前に「黒衣」とかいうやつらがいたけど、こちらはまだ所在がつかめないそうだ。
各地に散らばっており、王女誘拐未遂などの容疑もあるのでこちらからも探してみているが・・・・やはりそう簡単にはいかないな。
うん、諜報部隊の強化とかもやっておこうかな?
「あ、忘れそうだったけど例のアレってどうなった?」
「ええ、一応ご命令通り完成したのですが、4台しか作っていません」
「一応他にも数台ほど作っておいてくれ。アレがあると便利なこともあるからね」
「了解」
前から作製をして、改良を頼んでいた魔道具ができているようなので、その出来たやつを収納した。
夏祭りの時にでもアリス姫とラン王女に渡すか。
そんでもって、そのうちの1台をザップリンさんのところに持っていくことにした。
「ザップリンさん、いますか」
「おお、アルか」
執務室に転移魔法ではいり、ザップリンさんが俺に気が付いた。
「なんのようじゃ?」
「えっとですね、こう俺が行きなり来るとザップリンさんの方でも困ることがありますよね」
「まあそうじゃが・・・・基本的にあまり文句はないのぅ」
いきなり俺が来ても慌てた様子がないザップリンさん。慣れって怖いね。
「そこで、以前見せてもらったギルド間での通信をする魔道具を参考にこれを作ってみました」
「へ?」
俺のその言葉にザップリンさんがぽかんとする。
目の前で、亜空間収納からその出来立てほやほやの魔道具を俺はとりだした。
なお、ただいまこちらだす時の音を演出してくれる魔道具も製作中である。某猫ロボみたいなことはやってみたいからね。
取り出したのは、薄くて透明なガラスの板の様なものだが、よく見ると色のついた半分埋め込まれたガラス玉がボタンのように取り付けられていた。
「えっと・・なんじゃこれは?」
「立体映像通信魔道具、『お手軽携帯電話~』」
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「お手軽携帯電話:正式名称『MSG』」
ギルド間の通信に使われていた魔道具を参考に、神龍帝とその配下であるゴーレムたちが創り上げた星5クラスのオーバーテクノロジーと言っても過言ではない魔道具。
下にあるボタンで対象となる同種の電話と接続して通話が可能であり、また立体映像としても見て通話をすることが可能である。通話をしている者達の間に入り込むことも可能で、最大10人までなら同時通話が可能である。
その他にも、録画・録音機能、目覚まし機能、など各種機能が取りそろえられている。
魔道電池は必要とせず、太陽光のみで稼働であり、いつでもどこでもつながることができる。
ただし、猛吹雪とかのような極度の悪天候には弱いのが欠点。
普段はピンポン玉ぐらいのサイズの小ささで形態が可能であり、使用時には所有者が扱いやすいサイズになるというサイズ変更機能付きでもある。
・・・やり過ぎでしょby「鑑定」
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「・・・なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
その説明を聞き終えたザップリンさんの驚きの声は、首都中に聞こえるほどだったという・・・・・
というか、「鑑定」のスキルってやっぱ人格形成されてきてないか?そのコメントがあるのはどうなのだろうか。
人の声って最大どこまで聞こえるものだろうか。
というか、ザップリンさんってこの話で今のところ最高齢の人物でもあったりする。
そして神龍帝、また何かやらかしたような気がするなぁ。