表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/260

114 思いついて作成。そして後悔も学ぶ。

思いついてすぐにやる際には、きちんとよく考えましょうという警告のような話でもある。

・・・作者がこれを書いたのは、ちょっと訳あってだからね。

「久しぶりね。アル」

「お、久し振りですねラン王女」



 商業が軌道に乗り始めたようだという報告を受けて、そろそろ夏になりそうな今日、久し振りにラン王女がアルの家に遊びに来ていた。


 モフモフとした尻尾を持っているが、体つきは以前よりもすらっとしてきて鍛えられているような気がする。


 冒険者業を続けているらしく、今も好調なのだとか。・・・一国の王女が国に戻らなくてもいいのかよと言うツッコミを入れたいけどね。



 で、どうやら今日はたまにはと思っていた薬草採取の依頼ついでに、この家に遊びに来たらしい。




「冒険者としてソロでやっているのだけれども、今のところ結構順調なのよ」

「・・・武者修行とか言っていなかったけ?すでに冒険者業に染まっていない?」


 本当に一国の王女が冒険者をやっていていいのかよと思う。大事なことだから2回思ったよ。


 こっちも今日は特に予定がないし、話し込むことにした。


 町中から離れた森の中に住んでいるから、たまにこうしてやってくる人がいるというのはいいことである。・・・転移魔法(テレポート)でザップリンさんのところに行って相談してもらったりはしているけどね。



 一応ラン王女からもいろいろな話が聞けたけど、その中にはこっちのことに関するのがあったよ。


「へー、ゴーレムたちに商売をやらせていたのね。アルのところのゴーレムたちが作っただけあって、石鹸とか高品質よ」

「まあ、幅広いニーズにこたえるためにそういうことをし始めているんだよな」


・・・でも、石鹸って俺はそんなのを作るゴーレムを作った覚えはないんですけど。あ、ファーストのやつか。あいつならそういう関連のも作れるゴーレムも製作できるからな。


 ゴーレムを改良し、カートリッジも増加して新しいスキルを入れて成長させていっているから、そういう物が発現しても納得ができる。



 しかし・・・どうもゴーレムたちはゴーレムたちで勝手にジャンルを増やしちゃったようで、おそらくゴーレムタウンもそのうち拡張せねばならないだろう。でも、勝手にそうなるとは、改良を進めていくうちになんか意志でも持ったのかな?なんかそういう話を映画化小説で読んだこともあるし、恐ろしいことになる可能性は無さそうだけど、念のためにそのあたりは後日調べてみるか。



 ついでに、販売している商品の中にはさまざまな食料品もあったりする。野菜とかも実質取りまくっているし、余った分を売りに出せるからな。


 一応、既存の農家などの商売に支障が出ないように量の制限とか値段の調整もしているけどね。流石にそのあたりは考えないと危ない。季節外れの作物とかもやりようによっては販売できるから、その路線で行かせたほうが良いのかな。



「シャンプーとかもそこから買っているんだけど、はっきり言って城で使っていたやつよりも品質が良くて驚いたわ。・・・嗅いでみる?」


 と、ラン王女が何やら近づいてきたけど・・・・不審人物になりそうな気がしたのでやめておいた。


 さらっとした毛からは獣の臭いではなく、結構良い感じの匂いがしたと思ったのは内緒である。


不覚にもちょっとドッキリしたんだよなぁ・・・・・とりあえず、ゴーレムたちにはあとで何か褒美でもやっといたほうが良いのか?






「にしても、冒険者業をやって今のところ困ったところとかはないのか?」


 ふと、その事が気になった。


 こういうところでは冒険者はやってみたいけど、生憎俺は公認モンスターであり、冒険者にはなれない。


 いや、やってもいいんだろうけどさ、モンスターはモンスターだからやりにくいんだよな。


 ちょっと聞いた話によると、公認モンスターの中には冒険者に交じって生計を立てているやつがいるらしいけどね。実力はあるわけだし、大丈夫と言えば大丈夫なんだろうけど・・・・・まあ今の暮らしが安定しているからな。


 でも、気になると言えば気になんるので、せっかくなので親しみやすいラン王女に聞いてみたくなった。



「困ったところね・・・やっぱりお風呂かしらね」



 ものの持ち運びは、そういう関係の魔道具(マジックアイテム)があるから別にいいのだが、冒険者の大半が思うことは風呂らしい。


 なぜなら、物凄く臭くなりやすいのが嫌なのだとか。



「モンスターを倒した時の返り血とか肉片、汗のにおいなんかもしみついたりして、そのあたりが困る人が多いのよ」


 一応首都とかには共同銭湯や洗濯場などがあって、ある程度の清潔さは守れるらしい。


 だが、そこから離れる野宿の時とかは風呂に入れないのが嫌なのだとか。




・・・気持ち的にはわかるような気がするよ。某風呂好きの少女ほどではないけど、確かに毎日風呂は入りたいからね。清潔さとかよりも、疲れを癒すのが目的だが。



  まあ、俺の場合「創造魔法」で即席のお風呂を作れるけどな。水魔法と火魔法を組み合わせ、ついでに土魔法や木魔法などで効能付きの温泉モドキが作成可能で・・・・・あ、その手があったか。



「ふと思いついたけどさ、多分それを解決する魔道具(マジックアイテム)が出来るかも」

「本当ですか!?」


 その発言に驚いたのか、ぐぐぃっとラン王女が食いついて迫った。


 どれだけその風呂発言が気になるんですか。あと、ちょっとそのふわふわな尻尾が当てられていて、思った以上に触り心地がよかったのはありがとうございます。






 ともかく、思いついたが吉日と言う言葉もあるので、30分ほどで作成してみた。


「『インスタントお風呂~ォ~』」


 てーってってれー、とかいう某道具を出す瞬間の音が本当に欲しい。


 それっぽく言って見たけど、やはりこういう声と音は作成しないと今一つだな。



 作って見せたのは、水道の蛇口付きの管である。


「これが・・・・お風呂になるんですか?」


 ラン王女がそれを見て、半信半疑でそう尋ねた。


「まあ見てみればいいと思うよ」



 ぶっちゃけ、魔法付与でお風呂に必要なものを付けただけの魔道具(マジックアイテム)である。形は何でもよかったけど、やっぱお湯が出るならこういうのがいいかなと。



 とりあえずまずはその管を地面にぶっ刺します。


 次に、蛇口の栓をひねると・・・・・


ジョボボボボボボボボボボボ


「・・・!?お湯ですよ!?」


 出てきたのは、透明だけど湯気が出ており、触ると熱々のお湯が出て・・・・ん?


「「あっつ!!」」


 二人で触ってみてお湯と分かった数秒後、俺達はそろって悲鳴を上げた。




「・・・温度調整まで付けてなかったよ。ごめん」

「いえ、だいじょうぶですよ・・・・」


速攻で台所に行き、水で冷やした後念のために回復魔法(ヒール)で治療しました。


 人化したこの身体でも、きちんと熱さとかがよーくわかるのだが、人に近い状態ゆえかしっかり超高温のお湯に触れて火傷するところでした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「インスタントお風呂(試作品版)」

星3クラスで、単純に「水探知」「転移」「沸騰」という創造魔法で作った付与を付けただけの魔道具(マジックアイテム)。使用時に流された魔力によって稼働し、地下水を自動で探り出し、管の中に入れて沸騰させて蛇口から出すことができる。

しかし、上限を設定していなかったために神龍帝の魔力を適当な量で流したので、超高温になった状態で出してしまった(笑)。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おい「鑑定」のスキルよ、そこで「(笑)」ってなんで入っているんだよ。最近お前絶対中に人がいるだろうと言いたくなる状態じゃないか?



 とにもかくにも、まだ試作品だったけどものの見事に失敗であった。ものを作るときはもっとよく考えて作ったほうが良いと、身をもって知った瞬間である。



 これは魔力による調整とかもあるし、要改良が必要そうである。


あ、でもこれ利用すれば煮沸消毒のためのお湯が結構簡単に用意できるな。





 後日、改良を済ませたその魔道具(マジックアイテム)が、ゴーレムたちが作った商品たちのラインナップの一つに入り、女性冒険者たちにバカ売れしたのは言うまでない。結構お風呂関係に関して困る人が多かったのか。


 まあ、既存の浴場や温泉の宿を営む人たちが困らないように値段も高めにしているし、コスパを考えるならばそっちの方がお得かもしれないと思えるだろう。冒険者業って危険も隣り合わせなようなもんだし、なくしたり壊れる可能性もあるからな。


 なお、ラン王女にはこのアイディアのお礼として俺お手製の星4クラスにしちゃった奴を渡した。すごく喜んでくれたようだし、なんかうれしいな。


 一応、この魔道具(マジックアイテム)には覗き防止対策とかも施している。指定した範囲に入って覗こうとした場合、その覗きに来た人物を・・・・・やめておこう。


 



こういう異世界でのお風呂に関しての話ってあまり見かけないから作ってみたんだよね。あったとしても温泉とかサービス回だとかだし。

本当はロープにしようかと思ったけど、これは某猫ロボですでにあったからな・・・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ