109 バッホーンたちをどうするか
本日2話目
相談役になっているようなザップリンさん。果たしてどうなるかな。
「なるほどのぅ、バッホーンのメスばかりの群れか」
「ええ、オスが1頭だけ、メスが20頭ほどの群れでした。現在はゴーレムタウンにて保護をしていますが、どうも人為的なものを感じたもので」
現在、アルは困ったときのギルドのザップリンさんのところに来ていた。
もはや相談役になってもらっている感じであるが、ザップリンさんの方が人生経験が豊富だからね。
亀の甲より年の劫、年寄りが一人いなくなることは1つの図書館が無くなることだとはよく言ったものだ。
「確かに、本来はその逆の方にならないとおかしい。バッホーンはメスの方が数が少なく、そのようなことが起きるのはほとんどないと言ってもいいじゃろう」
ザップリンさんからしてみても、おかしなことであるそうだ。
本来であるならば、バッホーンのオスばかりにメス1頭みたいな群れを形成するそうだが、今回のような馬頭が多数いるという状況はやはり人為的にそうなるようにされた可能性があるらしい。
「バッホーンのミルクは希少性があり高値で取引がされる。それを考えて集めたのものがいるかもしれぬが・・・・」
だが、そのようなことを過去に考え付かない人はいないらしく、誰もがその事に挑戦したことがあったらしい。
メスばかりを捕らえて、牧場のようにしてミルクを取り放題にするということはおかしなことではない。
しかし、その事はなかなか不可能に近いらしい。
「バッホーンはのほほんとしている穏やかなモンスターでもあるが、如何せん環境には敏感でな、閉塞感を感じるとあっという間に衰弱するのじゃよ。その上、その状態になってくるとストレスのせいか互にあばれ、傷つけあって、命を落としたりしてしまうようじゃな」
「となると・・・・怪我が多かったのは、その互いに暴れたのが原因と言う事か」
「恐らくは、どこかに輸送していて、その閉塞感から暴れて逃げ出した結果、アルに見つかったというところじゃろう」
要は、どこかに広いところに移して飼ってしまえばいいと考えたやつがいて、バッホーンたちをまとめて運んでいたところで、ストレスを感じて暴れた彼らに逃げだされたという感じかな。
オスが一頭だけいたのは、メスだけでもストレスを感じるだろうからせめてもの配慮みたいなものだったようである。
「ならば、その飼い主を見つけたほうが良いんですかね?」
「いや、それは別にいいじゃろう。バッホーンたちをすでにそうやって逃げ出させてしまった時点で、そ奴の技量は知れ渡っておる。もしかしたら、輸送依頼を受けた冒険者たちがいる可能性もあり、戻ってきたところでその証拠隠滅のために・・・・・という可能性も無きにしも非ずじゃ」
輸送依頼とかを受けていた人たちがいたとして、結局は失敗したようなものであり、信頼を失う位なら盗賊にでも襲われて逃げられたみたいな言い訳をするようなやつが結構いるようだ。
「だったら、バッホーンたちは俺が引き取っていたほうが良いんですか」
「そうじゃろうな。以前見せてもらったあの雲の上に彼らの農場みたいなものを作るのじゃろう?あそこなら、おそらくのびのびと出来るじゃろうしな」
とりあえず、バッホーンたちは俺の所有物としてもいいようである。
こうして、ゴーレムタウンに新たな牧場が出来上がったのであった。
これで牛乳飲み放題かな・・・・いや、それらを生かした料理も出来るだろうし、ゴーレムたちのスキルの成長にも役に立つな。
バッホーンたちも喜んでいるようで、すくすく元気に育っている。
最初に出会ったオス牛が少々疲れ気味の様だったけど・・・・頑張れ。秋頃が繁殖期らしいけどその時も頑張れ。
バッホーン牧場完成。・・・そのうち商業ギルドとかにも手を出してみようかな。ここで生産してばかりで、消費が追い付いていないというのも無駄だしな。