099 たまにはね
こういう話もあっていいかな。
本日連続投稿
職人ゴーレムたちが稼働していくのを見届けたアルは、しばらくゴーレムたちをほおっておくことにしてみた。
自身の干渉を減らし、出来るだけ自立したかのような環境の方がスキルを伸ばしやすいかもと考えたためである。
「まあ、1週間後にまた見に行くか」
雲の上のゴーレムタウン・・・・現在海上にあり、誰も立ち寄ることはないだろう。
というか、直接中に入らない限り周囲から見ても何もないようにしか見えないからね。
魔法って便利だなぁ。
とりあえず、しばらく自動稼働させておくことにしたのち、アルは首都に転移した。
一応、スキル的に他にどういう物があるのか見て回るためである。
神龍帝であるアルが首都近くにある開けぬ森に住み着いた影響か、実は首都までの道のりにモンスターが出にくくなっていた。
アルのいつもの活動範囲とは離れており、アル自身「神龍帝の威圧」は発動させていないのだが、野生の動物やモンスターたちにはアルのその気配が分かるようで、いわば縄張りの様なものだと理解して凶暴なモンスターや動物が近寄らなくなっていたのである。
盗賊とかは出るが、こちらはまあどうにもならないであろう。
けれども、それ以外の面ではかなり無事な旅路になるため、首都へのモノの行き来が活発になっており、人の往来も多くなっているのだ。
そんな中に紛れ込めば、「鑑定」のスキルで誰がどのようなスキルを持っているのかが見やすく、多種多様でなかなか面白いと思っていた。
いや本当にね、人は見かけによらないようなものもあったんだよね。
冒険者区画では、冒険者で魔法使いぽい人が「拳闘士」とか、騎士っぽいが魔法使いなんていう見た目とスキルの詐欺みたいな感じのがあってね・・・。
「この串焼きおいしいな」
「最近試してみた野菜串焼きたれたっぷりバージョンだ!こいつで野菜が嫌いなお子様がいる主婦層へ向けて販売しているんだよ!!」
いや本当に結構うまい。
現在、商業区画にいるのだが、たまたま見つけた屋台で売られていた串焼きだけど・・・なかなかたれの甘みと、こんがり焼かれた野菜のマッチがすんごいよ。野菜嫌いの子供でも多分これはいけるって!!
・・・・20本ほど買って亜空間収納に仕舞った時点で目立ちそうだけどね。だっておいしかったのだから仕方がない。うん、不可抗力である。
ゴーレムたちに確か「料理人」のスキルを入れたやつがあったな・・・・このレベル以上の物を育て上げたのができたらいいな。
ゴーレムの目標にもいい例となりそうである。
「にしても、商業区画がずいぶん広くなっているな・・・」
店の数が多くなっており、以前の1.4倍ぐらいかな?
人の往来が多くなった分、店を構えるようになったのであろう。
スラム区画とかあったけど、その部分が削れてそこにどんどん人の流れができて、店もたてられているようだ。
・・・しかしなぁ、人が増えればその分問題も起きているようである。
「ひったくりだー!!」
「お、こういうのもあるのか」
ひったくりの声が聞こえたほうを見ると、柄悪そうなおっさんが走って手にカバンの様なものを持っていた。何やら物凄く必死な形相。
後ろの方には・・・・うわぁお。
「待ちやがれ今畜生がぁぁぁぁ!!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!」
・・・後ろの方から走ってきているのはおばさんって感じの人だけど、すんごい気迫。あ、背中になんかでっかい斧を背負っているから冒険者か?
目が血走っていて、鼻息歩くドスドスと猛スピードで追いかけている。
ひったくり犯の方がおびえて逃げているし、ひったくったものを返そうが返さまいがひどい目に合うのは目に見えているから必死である。
何を考えてひったくりしちゃったんだろうかあのおっさんは。
おそらく、周囲にいた全員が同じようなことを考えたのは言うまでもなかった。
・・・後日、聞いた話だと、あのおばさんはかなり凄腕の冒険者だったらしく、ちょうど依頼で金貨を手に入れたのを見たおっさんがつい出来心でひったくって、すんごい後悔をしているらしい。
どんな目に遭ったのかは、予想が付く・・・・・
数話ほどはこういう感じの日常ですかね。
と言うか元々はのんびりとした日常の話だったからね。
たまにはチートとかから抜けて話を書いてみたい。