変態降臨
「うわぁぁあああああああああああああああああ!ぎだぁぁああああああああああああああああ!!!!」
宗谷にいち早く反応したのは子供たちだった。
泣き止みかけていたその顔は再び泣きじゃくった顔に元通り、嵐に飛ばされないようにしているかの如く小鳥にしがみつく。
耳を指すような甲高い声で叫んだので驚いて反射的に両手で自分の耳を塞ぐ。
「おおっと、そんなに喜んでくれるなんておねーちゃん嬉しいな!」
子どもたちの叫び声を物ともせず、胸に手を当て歌うかのように喜んでいるが…、子供たちは宗谷を見て喜んで泣いているわけではないのは確実だ。変態を見て嬉々とする輩がどこに居よう、いたとしても少数派である。
嫌なもの、怖いものがやってきて恐れていると感じ取った方が適切だろう。
「黙れ変態ジジイ、子供たちが恐れて泣いてるじゃねーか」
そう喜んでいた宗谷に対して小鳥が毒舌を吐く。
…あ、丸くになりかけてた小鳥がとげとげしいものに戻ってしまった…!!
「………げぇぇえええええええええええ!?なぜここに!?もしかして自分たちの使命をしっかり認識してパトロールかい!いやーうれしいうれしい!!」
「……お姉ちゃんたちこのひととお友達なの?」
「お友達じゃないよ。ただちょっと…ね」
小鳥がゲテモノを見る顔で宗谷を見つつ、小学生の言葉に返答する。
にしても、宗谷さんのテンションがやけに高い。小学生が近くにいるからか、先ほどの勘違いからか。
「君たちが居るとは好都合!!ささ、あちらに新たな怪物が現れたんだけど君たちが狩ってくれるとありがたい!!私がその子たちを保護しとくからさ!」
原因はこれか?これを狙ってたからか?
「大丈夫、この子たちは私が見とくから。変態はその怪物のところに戻っときなさい」
「ははは、私が行ったところで倒せはしないさ。君らが言って早く倒した方が周囲の被害が出る前に収まると思うんだが。ほら、その子たちは保護しとくからさ!!ハァハァ!!」
「真樹!ホントにいるかどうかわからない怪物よりこの先にこの宗谷を駆逐しよ!!その方が全国の女子小学生の為になる!!それは私が死にはしないが二度と目覚めないようにじっくり殴るから!!!」
今ここに怪物が生まれようとしている。
小学生の前で一方的に人を殴り倒す行為は教育に悪い。いくら危険人物とはいえ、物事は暴力で解決すればいいなんて教えるのはマズイ。
小鳥の言葉を真横で聞いていた子供たちはそう言った小鳥に対しておびえている。
「わかった、この変態は俺が何とかするからとりあえずお前の言葉に怖がってる子供たちをあやしとけ!行くぞ宗谷!その怪物の居場所を教えるんだ!」
怒鳴り声を上げながら宗谷さんの顔を見ると、彼はこちらを見向きもせず空を眺めている。その彼の視線を辿った先には何やら巨体な何かが落ちてくるところだった…。
「あちらから来てくれたそうです」
その巨体で埋め尽くされる意識に彼の言葉がすんなりと入ってくるのを感じた。
同じ宗谷でもその時の捉え方がちゃんとした人か変態の権化なのかで「さん」付けかルビが「へんたい」かが決まる。




