怪物と変態と小学生と
もう四月!?時間の流れは速いなぁ
完全に気力を失った小鳥を近くのベンチに座らせ、俺は今持つ能力と相対する能力を調べる為肩幅に足を開く。
「空…青いなあ」
気力を失った小鳥から言葉が漏れる。
空を眺めるその目には光がない、それほど精神的ダメージが大きかったのだろう。
普段見ないようなはしゃぎ方をして見事に空振りだったからなあ、慣れないことをした分ダメージが大きかったのか。
「ははは…ゆっくり気分をリフレッシュしとけよ。落ち込みすぎて歩けないなんて言われても今の俺の身体じゃ背負って帰れないからな」
「おーけい…」
大丈夫か?
この身体で背負うことができたとしても小鳥に向けられる周囲の目がある。
客観的に見ると俺の身体は小学生ぐらいの女の子だ。それに担がれている高校生となるとなかなか恥ずかしいはず。
何としてでも気力を回復してもらわないと…。
その心配を頭の隅に追いやり、俺は能力を調べることに集中する。
右手を持ち上げイメージしながら唱える。
「俺の能力は『斬撃』と考え、相反する能力を『打撃』と考える!いでよ、ハン」
「「「きゃぁぁぁああああああああああああ」」」
マー!と唱える寸前、公園の反対側から子供の叫び声が届いたことで『マー!』は口の中に留まってしまった。
「マァ?」
と、口に留まってしまった『マ』を外に吐き出しながらそちらの方を向くと、小学生らしき子どもが3人泣きながらこちらに向かって走ってきた。
「マァ…」
よっぽど怖いことがあったのだろう。見ず知らずの小鳥のところまで走ると三人一緒に小鳥に抱き着いていった。
「………よっ、ほ、ええ!?」
放心状態だった小鳥もその摩訶不思議な出来事に心が戻ってきて驚いていた。
それを見ながら俺は「マァマァ…」と言葉を漏らす。
「どどどどど、どうしたの!!?」
「えぐっ……うぐっ…茶色い…大きな…ぐす…ばけもの…と、………うぅ…おじさん…みたい………な…えぐっ、おねー…さん…が…………」
背中を擦ってあやしながら小鳥が聞くと泣いている子供の一人が話し始めた。
「……ひぐ……あた…し…えぐっ………たちを…うぐっ……見つけ……る…なりこっち…に…むぐっ……きて……」
「そうかー、そうだったのー。怖かったよねー、よしよーし。」
大きな化け物…、恐らくあの竜と同じ類だろう。
でも…おじさんのようなおねーさん、少し前に会った宗谷さんを直ぐに連想してったが、彼?…彼女以外でそのような人物の話は聞かない為…まあ彼女のことを指すと思われる。
性欲を抑える為に性転換したのにも関わらず小学生?を襲うとは、あれで本当に下がっているのなら本来の性欲が恐ろしい…。
引き攣った顔をしつつ小学生たちが逃げてきた方向を眺める。戦闘音などは聞こえないので単に怪物コスプレイヤーとおっさん系女子が小学生前に現れただけだったのだろうか。
疑問符を頭に思い浮かべたとき眺めていた方向から何やら黒い物体が上空に飛び出してきた。
ソレはローブを羽織り、だんだんこちらに近づいて来ている。この位置からは翼のようなものは見当たらないので大跳躍をしたのだろう。
パッと見る限りでは人間のような姿をしている。
龍のような怪物かもしれないと身構えたところでソレが俺の5~7メートル程先に着地し、その着地音に驚いて小学生たちがそちらの方を向く。
「可愛い可愛い小学生のお嬢さんたち…。ケガはなかったかい?」
立ち上がりながら放った台詞と仮面をつけていないその顔ですぐに判った。
—―空からが宗谷が降ってきた。




