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「あら、真咲ちゃんまたお出かけ?」
「ちょっと小鳥と一緒に近くの公園に行ってくる」
名前の文字表記が未だに違うのが気になるが、ツッコんだところで変わることは無いだろうな。
これが正解だって自分の間違えに疑いを持たなさそう…。
私が間違ってるんじゃない、世界が間違ってるんだとか言って。
「なるほど了解!小鳥の言うことはちゃんと守るんだよ」
「オネーチャンって…小鳥と俺は同い年だからね。ちっこい頃から一緒に居たよな!?」
「はいはい、真樹は今もちっこいからね。それじゃこの子の面倒しっかり見ときますから」
小鳥までぇぇぇぇぇえええええええ。
小鳥は悪乗りするような人じゃなかった、空気が読めなくて斜め上のような返答をするような子だった。
あわわ…今後小鳥がどのように変化したのか恐ろしいいいいいいいい。
「よろしくー。さっきニュースでここ近辺に竜のような生物が現れたって言ってたから気を付けてね」
竜、ドラゴン、体が鱗で覆われた爬虫類のような生物で、口から焔や毒ガスを吐く。背中に蝙蝠のような翼が生えて空を舞う竜が典型的だろうか。鋭い爪にすべてを嚙み砕くと言わんばかりの強靭なアギト、ひと睨みで生物の命を奪いそうな鋭い眼光を持つ伝説やファンタジー世界の…ん、竜が出た?
それって、今朝討伐したあの竜のことだろうか。
…まず、そんな物騒なのまた出現するかもしれないってのに外出を許可するのか、この母は。
「ファンタジーチックな生物が現れたってのに、ずいぶんと気楽に言ってるな」
「だって息子が娘になった後だったからそんなのが出ても驚きが少なかったし、近くにいた人が撮った映像を見る限り、なにやら太くて長い棒を持った幼子が竜を倒してたからもう大丈夫かなあと」
性転換ネタとファンタジー生物の乱入は別路線のような気がするんだがそれで驚きが減ったって、肝が据わってんなあ。
あと俺は息子です。
「へー、その幼子ってどんな感じだったんですか?」
小鳥が質問を投げ掛けた。
「どんな感じって聞かれても判らないんだなあ。なんだか映像でその幼子とその近くにいた二人が異常にぼやけてしまっていて判らなかったし、肉眼で見てもそこだけ涙で濡れた瞳の時のようにぼやけて見えなかったと。幼子ってのは雰囲気から何となく思ったことで実際は身長の低い二十代かもしれないってのも言ってたかな」
太くて長い棒(剣のことだろう)を持った幼子ってのは俺でその周辺にいた二人ってのは小鳥と宗谷さんか。
ぼやけていたのは宗谷さんの仕業のはずだ。その時そんなことしていると言っていた覚えはないが、今度電話でお礼の一言でも送っておこう。
「ということは誰かが竜を倒したってことしかわからないんですね」
「そゆこと~。それじゃあいってらしゃい」
「行ってきます。ほら、行くよ真樹」
「お姉ちゃん面はやめてくれ…」




