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俺に身長をくれっ!  作者: 968
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軽食

只今、日差しの届かぬショッピングセンターの中。

昼、というわけでもないが、この体になってから日差しがどことなく刺さってくるようで痛かった。

夏場はどうなるのやら。

男の身の時は…違う今も男の身。

女性のほうが痛みに弱いなんて聞いたことがあるし、その影きょ…いや俺男だし。

肌も白くきめ細かくなっているようで…女性のような肌…男だけどね!

ちょっと紫外線対策しないとな。

「——そいや真樹」

「ん?」

ふと何か思いついた小鳥が俺を呼んだ。

「私の能力で減るもの、温厚な性格じゃなくてバストサイズってのも考えられるよね?」

「まぁ、そんなに萎んでたら可能性はあるだろうな」

返答を聞いた小鳥は少し固まってから言葉を返す。

「能力でバストサイズが変わる可能性があるなら買ってもすぐに無駄になるんじゃ…」

「はっ!!?」

結果、大きさの変動にある程度耐えれるようにサラシで済ませることとなった。

念の為にとスポーツブラも少々。

よく動くからね。

「今度、あの変態に胸の変動にもしっかり対応できるブラでも作ってもらえよ。」

「アイツが作ったものを着用するのは納得できないけど仕方ない…」

思いを形にするブレスレットや性別を変える機械を作った程だ、きっとできるはず。

小鳥の拳が強く握られているからそれほど嫌であることがうかがえる。

「さて、私の用事は済んだ。今度は真樹の買いましょ」

というわけで今度は俺の服を買うことに。

母に任せるってのも手だが、絶対女の子用しか買わないのが目に見えてるから自分で買うしかない。

店内の人通りは休日ということもあって少なくはない。

昼食時となると更に増えるだろう。

先の件の影響で腹が空いているため、早めに食うのもアリだが夕食まで持つかが問題となってくる。

早めに買ってさっさと帰ろうか、そうしよう。

あんな事があったのだ、長く外にいるのも危なっかしい。

……そう思うと外に出てる人の数が多い。

まだこの異変の初日で午前中、先の竜の件から一時間経ったかどうか……、異変について知らない人が多くてもおかしくないわけだ。

腹が「く~…」と、お腹空いたよーという意を込めてどこか可愛らしく、悲しげに訴えてくるが無視して足を進める。

だが、俺が無視しても小鳥が反応していまい、

「………そんな腹減ってるんならなんか食べる?軽食程度にデザートとか」

と声が飛んできた。



……結果、クレープを食べることとなった。

俺はチョコバナナクレープ、小鳥はストロベリーバニラクレープ。

クレープ屋近くの椅子に腰かけ、腹が早くと鳴くので大きくそれを頬張った。

やわらかい生地に歯の重圧を掛けると、中からチョコが零れ落ち舌の上に乗った瞬間チョコの甘味と苦みが口内を駆け巡る。

そして脳が美味いと感じ至福の感覚が心を満たす。

生地を噛み千切り臼歯で磨り潰しながら零れでる味と身を舌で受け止めて味覚を脳に伝え、それが何なのかを理解する。

滑らかな舌触りとほのかな甘み…バナナだ。

チョコの苦みとうまく噛み合うことで美味しさが相乗効果で跳ね上がる。

そしてその交わりを邪魔せずうまくそこに合わさっているクリームも素晴らしい。

無駄に目立とうとせず主役のチョコとバナナを引き立て、なおかつ自分の存在を示している。

口に溜まったそれらを飲み込み肺に溜まった空気を勢いよく吐き出す。

チョコバナナの風味が混ざったそれは心に幸せを置いて外に飛び出した。

「ずいぶんおいしそうに食べるんだね。そんなに美味しい?」

俺の幸せそうな顔をみてそんなことを訪ねてきた。

口の各所に残させた残骸を飲み込み話す準備をしてから返答する。

「いつも食べるクレープと変わらないと思うけど、空腹って最高のスパイスだって言葉を言った人は流石だと思った」

「なるほどおいしかったんだ。それじゃ交換しよ」

「お、うん。ちょい待ちあと少し」

毎度のこと。

互いに別のものを頼んで、半分食べて交換する。

一口しか食べてなかったので、二口三口と生地を食い千切る。

「よし、うまし。さて……交換すっか」

そしてもう一つ、小鳥はだいたい半分以上食べている。

「おーけー、バナナは残してるかい?」

「イチゴ残してるだろうな?」

互いに不敵な笑みを浮かべ、互いのクレープに手を伸ばす。

その時だった。

「おや…(あずま)さん?」

聞いたことのある声が聞こえたのでそちらを向く。

千籐燐華、昨日華を守るだのなんだのと言っていた俺らのクラスの組長である。

普段制服しか見たことなかったが、普段着は清楚なものだった。

ピチッと張り付き、引き締まった脚の曲線を見せつけるジーンズ、薄着のシャツの上に薄肌色の羽織物といったシンプルなものである。

「………あ、すみません人違いでした!」

小鳥の姿を見た瞬間、頭を下げて踵を返す。

そりゃあね、胸が違うもの。

「ちょっと待って小鳥だよ!」

「へ?」

その声を聞いて振り返った組長の顔はなんともまぁ、いろいろと読み取れるが簡潔に述べると呆然とした表情………いわゆるマヌケ面だった。

初めて見たなこんな顔。

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