半殺し兵器。
小鳥が紙に帰ると書いたのち、宗谷さん宅から飛び出した俺たちは当初の目的であった衣服の購入に向かった。
最初の道のりから外れてしまったが、大きく外れたというわけでもなく解らない道というわけでもない。
そこまで時間を取らずに目的地まで向かうことができるだろう。
…再び厄介事に巻き込まれなかったら、の話だが。
因みにフラグではない、決して。
「いやぁ、変態だったね」
彼女の家から出て小鳥の最初の一言がそれだった。
「できればもう会いたくない人だな、ありぁあ」
心の底からそう思う。
だが、今後も会わないといけないと思うと現実って残酷だな…と感じる。
「うん……でも、彼のお陰で分かったこともあった。能力のことや今起きていることの原因」
「あぁ……」
小鳥が宗谷さんのことを彼と言ったのは聞かなかったことにしておこう。
きっと、同じ女と認めたくないのだろう。
「そしてもう一つ………人殴ったことで体感したけど、能力でグローブを発現させることでどんなに本気で人を殴っても与える肉体的ダメージは半分になる……。これが一番の収穫かな」
「…………………」
外に出てから言動ですこしは落ち着いたと思ったら全くだった。
なぜ人を殴ること前提なんだ!?
いやまぁ、さっきみたいな話を聞かないのは力で、ってのであればわかるんだが。
誰誰構わず人を殴りだしたらたまったもんじゃない。
「殴るのか?」
「うん、さっき殴ってみて気づいたんだ思いっきり殴るのって気持ちいいね。スカッとした!普通に殴ってたらケガしてたかもしれないけども、通常の威力の半分なら大丈夫だよね!」
その時の情景を思い出したのか、満面の笑みをこちらに向ける。
どんだけ気持ちよかったのやら…。
「いや、やめとけ」
「どしてさ!」
「気づかないのか!?お前は能力を使うたびに凶暴な性格になっていることに………!!」
「ま…じ………………で?」
無言で頷くと、それを見た小鳥はそれが信じられないというような顔で自分の両手を凝視した。
「このままじゃお前生きた殺戮兵器になるぞ…」
静かにその言葉を聞きいれる半殺し兵器。
意味もなく手を開いたり閉じたり…。
そしてギュッと強く握ってポツリと呟いた。
「…ねぇ、真樹。もう一つの能力…早く見つけないとね」
「あぁ!さて、早く服とか買いに行こう。結構動いたもんだし腹減った」
「うん!」
その後、もう一つの能力がどんなのかとか、学校とかの今後をどうするかとか。
さまざまなことを話しつつショッピングセンターに向かった。
勿論、厄介事には巻き込まれなかった。




