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俺に身長をくれっ!  作者: 968
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説明6

「あれ、私は何をしていたんでしょう」

数十分後、小鳥に殴られたことで気絶した彼女はやっと目を覚まして起き上がった。

頭にでっかいたんこぶが出来ているが……………気にしないでおこう。

聞くことは聞いた。長居は失礼だろうし個人的にここから早く離れたいと強く思うし…帰るか。

「それじゃ、俺らそろそろ帰ります。情報ありがとう」

そのままもう一度殴りかねない怒りの残った顔つきの小鳥の腕を引っ張て帰ろうとしたのだが目を覚ましたばかりである彼女の言葉に行動を止められた。

そういえば彼女の名前を聞いてなかった。

「能力の逆のことは言った?」

「言った」

「回復できる失ったものに限度があることも?」

「それは知らん」

まだあるのかよ。

彼女がふざけてなければもっと早く終わっただろうに。

俺らもそれに乗らずに制したらよかったんだけどな。

彼女はまだ話せるぞー!と言わんばかりも満面の笑みを浮かべた。

全く…これだけなら可愛い女性なんだが…。

変態だし元男だからか女性らしさは皆無と言ってもいいものだし……残念だなぁ。

「よし、それでは話しましょう。続きです続き!なんだか頭がガンガン痛みますが気にしなー!ガンガン話しますよぉ!」

数十分前とは別の意味でテンションが上がっていく…いや同じテンションかもしれない。

これに反応して再び襲い掛からないように小鳥の服をつまんでおく。

つまんだことで少々体が後退したように見えた。

既に前かがみだったのだろう。

「まず制限について!いまの貴女方ですと今朝起きたときの状態まで。双方それぞれ能力を使用したので、ある程度失っています。その失った分だけ今その逆の力を用いることが可能ですね!」

なんだか毎度毎度テンションで口調が違う感がするが気にしない。

おそらくこれもポストに入ってた手紙の内容なのだろう。

送り主は誰なのやら…。

俺だと身長、小鳥はバストサイズそれらの失った身長分だけ使用可能となるのか。

「そしてこの上限を上げるには先程の竜から手に入れたような核が必要!自分の失ったものと同一のものを核とするものを吸収することで上限開放!なので真咲ちゃんの失ったものが身長であれば上限開放となります!」

「いや、俺の失ったのは身長なのよ……」

言ってなかったけな…?

彼女の言葉に即座に返す。

ちまちま言っておかないと真咲みたく取り返しのつかない事態になるような気がする。

「なんと……可愛らしい口調じゃなかったんですね」

なぜ口調なのやら。

確かにこの外見でこの口調はおかしいだろうが、可愛らしい口調を失ったからと言ってこうにはならないだろうに……。

女性らしい口調ならまだしも。

言っておかなかったら俺の失ったものは口調と覚えていただろう、そんな気がする。

相手はなんだか悲しげな雰囲気となっている。

それほど衝撃的だったのだろうか?

………なんでさ。

そんな悲しげな雰囲気を残しつつ言葉を続ける。

「仕方ない、気を改めて続けましょう……。失ったものと同一の核だけでなく別の核も取り込めます。例えば可愛い口調の核があったとします。そしてそれを取り込むことで真咲ちゃんは可愛い口調パラメーターが上昇した声音に変更します…」

「可愛い声パラメーターってなんだよ!!!」

真面目に質問しているところ失礼と思うが、いきなりそんなこと言われたら聞き返さずにはいられないっすよ!

「え、パラメーターかい?ただのわかりやすいようにした雰囲気だから気にせず。それじゃ続けるよ」

あっさり切り捨てられた。

まぁ考えてみたらわからなくもないか……………いや、わからん。

名を聞いていない彼女は先程にことは頭にないように雄弁に話す。

テンション変わりすぎだろ。

「しかし残念なことにこの事件が終わってしまったらせっかく上がったパラメーターが下がってしまうんだなぁ。幻想(もうそう)が終わったら現実に戻るしかない。幻想で手に入れたものも元の持ち主の手に戻ってしまうんだよ。」

もういいや、残念ながらとか聞こえた気がするけども知らないや。

俺はふと痒くなった左わき腹を右手で掻きながら思う。

そのしぐさを見て彼女の眼の輝きが増した気もするが、気のせいだろう。

摘まんでいる小鳥の服の引っ張りが強くなっている気がするが、気のせい………いや、気のせいじゃない!

微妙に前かがみになっていやがる!

やめとけという意味を込めて強く引っ張てみると前かがみとなっている体を戻した。

「んーー、話したいことはこれくらいかな。もし聞きたいことがあればこちらの私の電話番号に電話を」

そういって彼女は懐から小さな紙を取り出して電話番号を記し、渡してきた。

てっきり「わからないことがあったらいけないので私に電話番号教えてください」というかと思った。

流石にそれはないか、こちらから電話は不可能だし。

「ん、ありがと。もし分からないことがあったら電」

「公・衆・電・話から聞きますね」

しばらく話さなかったと思った小鳥の声が俺の言葉を遮り、俺に軽い注意を投げかける。

「真樹の電話でやったら電話番号バレるでしょ!?不埒な男から守るのが私の役目なんだから…………気を付けてね!」

「お、おう……」

そういう算段だったのか。後々気づいたかもしれないがもう少しで変態の罠に引っかかるところだった…!

「不埒な男って…………なかなか野蛮ですこと。今の私は立派な女性ですわ!」

なぜ今女性風口調…。

今言ったら変な風に見られるだろうに。

実際俺引いたし、小鳥も怒り通り越して唖然としてる。

「ん、んん……まぁ女性やな。中身はともかく。…………とりあえずあと一つだけ聞いていいかな?」

「なんでしょう!!!真咲ちゃん!!!!」

なぜ水を得た魚のように一気に元気になるのやら。

「あなたの名前教えてくれないか?」

「言ってなかったっけ?」

「言ってない」

「あらら…………そちらの名前を聞いてこちらは名乗らないなどと、紳士…いえ、淑女の端くれにもおけませんね。」

「黙れおっさん」

小鳥は静かに冷徹に呟く。

彼女の正体を知っている身だけだったからまだしも、知らない人が聞いたら驚くぜ小鳥さん。

また会う可能性もあるだろうし、ちゃんと言いつけとかないとな。

彼女(おっさん)はそんなことも気にせず小さく照れつつもみあげを耳に掛けて、自身の名を放った。

「私の名前は宗谷(むねたに)希紀(のぞき)、改めてよろしく」

その時の彼女の笑顔は男だったと忘れるぐらい可愛らしいものだった。


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