説明1
「まぁ、ほら。麦茶とちょいとした菓子。たいしたもんじゃないが話のつまみ程度にゃなるだろうさ」
そう言いつつ彼女は片手で持ったトレイに麦茶の入ったガラス製のコップを3つを乗せ、もう片方にはスナック菓子を3つほど摘んでキッチンから出てきた。
菓子の1つはカラットチップス《うすしお味》。
薄くスライスしたじゃがいもをカラッと揚げたお菓子だ。
少し硬めの食感で「いい歯ごたえだ!」ということで定評のある商品。
愛好者からはカラットチップスの“カラット”は宝石の大きさを示す単位“カラット”、連想ゲームという意味合いでカラットそのものは宝石の意味を指し、宝石のように硬いチップスではないか?と言う人も存在するが、制作会社カルミーはそれについては何も語っていないためそれは愛好者の想像で行きとどまっている。
次にPacky、細長い板状のお菓子でチョコを間に挟んでいる。割った時の音が“パキッ”と聞こえたことからこの名が付いた。
最後に腹ペコビスケット、お腹がすいた時にはコレ!という定評のあるお菓子。
このビスケットは吸水性が高く喉が乾きやすい、その為水を多く飲むため大体の人がそれで腹が膨れる。
食事前には食べてはいけない代物。
「たいしたもんじゃな…」
「貰っとけ」
恐らく“たいしたものじゃないなら要らない”と言おうとしたのだろう。
そんな失礼極まりないことを口にする前に小鳥の頭部にチョップをかました。
たまにあるんだよな…小鳥の無礼な言動。この前も髪の毛の少ない人を指さして「あ!ハゲの人だ!」とか言ってたし……。
「んー、で、なんだっけ?…あ、私の言ったことについてか」
持ってきたソレをソファの前に置いてある大きめのテーブルの上に置きながら言葉を吐いた。
俺達と対面になるようにそばにあった椅子を持ってきて彼女はそれに座る。
「それじゃあ、話の続きをしよう」
彼女は大袈裟に腕を広げて呟いた。
「えーーっと、お前らに渡したその機械、それの前作の前作……失敗作であったソレが私の姿を女性へと変えた。まぁ、失敗作…1回使ったらソレは使い物にならなくなってしまったんだけどな…」
うむ、簡略的な説明。わかりやすい。
「その失敗作を名称で呼ぶならば性転換機…簡略してTSMとでも呼ぼうか。いやぁ、フォルムといい色といい悪くないものだったんだが、壊れてしまっちゃあそんなプラスも0へと還元されてしまうからな…」
うむ、そんな情報はいらん。
「…じゃあ性別を変えたのは良いが戻ることができなくなってしまった。ということでしょうか?」
話が余計な方へと進む気がしたので質問で話の軌道をもどす。
「ん?あぁ、性別を変えたきっかけは幼女が好きすぎて抑えられない性欲をなんとかして抑えるためにやった為であって、今のところ戻るつもりはないから結果オーライかな。性が同じになったからなのかはわからないけどあの頃と比べて幼女に対する愛情かなり落ち着いたかな」
…………幼女に対する愛情がかなり落ち着いた…?…あれで?
俺の記憶じゃへそを見れるよ思った瞬間かなり急変した覚えがあるし、今でも俺を見る目が怖いんだが…。
「でもまぁ、一人称が俺から私に変えることは難なく出来たけども、全体的な口調がまだ変えることが難しいんだよなぁ…。んー、恐らく兄弟が俺々しい人ばっかで口調が男っぽくなっている幼女がいたから、その子のために口調を変える機械でも作ってみるかな……。ついでに私の口調も変えれるし」
恐らく俺の事だろうが…残念、兄妹は妹だけです。
あと〝俺々しい〟ってなんぞや?男通り越して漢の中の漢っていうことなのかな…?筋肉ムキムキで………。
「待ってて下さいね、真咲ちゃん!絶対……貴女の口調を正してみせるから!治してみせるから!」
彼女は身を乗り出して俺の手を強く握り、勝手にそう誓った。
誓わんでいい。
小鳥が静かに彼女の小指を摘み、強く握る。
「あでぇいっ!」
彼女は大きな声を出し、小鳥の手から逃げるようにして俺から手を離した。
ポキッと変な音が聞こえたが……大丈夫だったのだろうか……。
しかし……何度も思ったことだけども小鳥ってだいぶ変わったよな。
まるで子猫が一夜にして成獣の獅子と化したかのような変容ぶりだ。
親猫もびっくり。
「いっちち……全く、あと少し遅れていたら手の骨が折れるところだった……。やめてくれよなぁ、女の子の骨は華奢なんだから。それに幼子も見てるんだし」
と、言いつつ彼女は何かしらの箱に手を突っ込んだ。
「おやおやァ?幼女ちゃん。“それは何なのかな?”みたいな顔をしているねー。なんと!これは酸素カプセル!怪我したところを突っ込むことで怪我を早く修復できるという優れもの!………まぁ、効果は乏しいんだけどね…」
「いや、酸素カプセルって怪我したところを突っ込むんじゃなくてその中に入って酸素を吸わなきゃ意味無いはず……」
昔テレビで見た記憶を思いだしながら彼女の言った言葉に反論した。
うん、あっている。あっているはずだ。
「…え、まじ?」
「うん、まじ……と思う」
「ああああああ……マジかぁ…でもまぁ幼女に反論されたらそれはそれでいい感じだわぁ……」
ホントにコイツはロリコン度数が減少したのだろうか…。
いや、していないだろう。
「真樹…論点がズレていってる」
途端、小鳥から冷静な一言が発せられた。
昨日までなら話に乗ってそのまま論点が違う方向に向かっていくんだけどな…
「あ、そうだった……。それじゃ酔いしれているところ申し訳ないけど、話の続きお願いします。あの竜について、今起きている現象について知っていることを」




