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俺に身長をくれっ!  作者: 968
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さよなら仮面

「………で?」

「で?と言われましても、何を喋ればいいのでしょうか」

今俺達は先程竜を討伐し、仮面の男を取り押さえ(小鳥が勝手に取り押さえたのだが……)、男からこの事柄について聞き出しているところだ。

なお、周囲の野次馬は男の催眠バズーカーの手により深い眠りについている。

「こんなことになった説明!」

「あ、それですか。てっきり胸部を成長させるためにオススメな食材やブラを教えt」

小鳥は喋っている最中の男の頭部に向かって拳を振るった。

いやぁ、言動が完全に変わっていらっしゃる。

その前に喋ってる最中にその人の頭を強く殴ると舌を噛む恐れがあるから後で小鳥に言っておかないといけないな。

「ぬーーーーーー、マジて痛い。直接的ダメージのない仮面がリアクションという理不尽な理由で割れるかと思いました。」

どういう理由だよ。

「…話しても構わないのですが、まず拘束を解いてくれませんか?あのガスで広範囲の野次馬を潰したのはいいのですが、また新たに来る可能性は十分にありますし、周囲が眠っているの中で唯一起きている私達に目が向けられる可能性は高いです」

言われてみればそうだ。

周囲の人物は竜の攻撃によるショック、またはこの男の催眠攻撃により意識を失っている状態。

その中で起きている者となると何らかの関係者、またはここで起きていたことを見ていた人とまず疑われる可能性の方が高い。

くそぅ、小鳥に急かされるあまりにそのことまで頭が回らなかった。

………いや、小鳥が悪いというわけではないのだが。

「小鳥、拘束を解いてや……」

そういえばこの男の仮面の中どうなっているのだろう。

言えば外してくれるだろうか?

いや、無理矢理外した方がそれはそれで面白い。

無理ならば頼もう。

「解くけども……どした?」

「……ぃた……いたたたたたた!腹がっ…!」

「なんとっ!?」

小鳥が拘束を解く前に自力でその拘束を抜け出して俺にものすごい速さで近づいてきた。

「どこが!?どこが痛いのですか!!!!」

「お、お腹が…おへそのあたりが……!」

試しに可愛らしい声を出してみたが、元々より高くなっていた声だからだろうか、意外と出るもんだな。

小鳥が男を引き剥がそうと肩に手を置きかけたが俺のいつもと違う喋り方に疑問を持ち手を止めた。

おっ、珍しく空気を察してくれたのか!小鳥!

「それは大変だ!女の子のお腹は男の股間部に付着しているゾウさん並に大事に扱わないといけない!!さぁ!見せてくれ!私が視てあげよう!!」

先程まで新たな野次馬を警戒していたが、そんなに大きな声を出して大丈夫なのだろうか。

興奮しすぎで口調変わってるし。

あと“診てあげよう”ではなく、“視てあげよう”というニュアンスだった気がするが………やはりこの男は根から信用しない方がいい気がする。

………いや、そんなことはどうでもいい。

男の後ろに立っている小鳥が怖い。

どこぞのアニメのような気迫だけで地面が割るくらいの恐ろしがあるぞ、小鳥。

「……ぅ、うん」

男の言いなりで服をたくしあげ腹を見せるのは屈辱だが、これも仮面を割るため。

断腸の思いで服をめくる。

「ぉぉおおおおおおおおお!!素晴らしい!マジリスペクト!可愛らしいお腹ダァっ!」

変態だ。

もう小鳥が鬼と化している。

このままじゃ今度こそリアクションという名の理不尽な理由で男の仮面が割れかねない。

「…今だっ!」

俺は服から手を離し男の頭を固定するために両手で挟むようにして押さえる。

「ああっ!お腹が布地の奥にっ!」

マジ変態。

腕輪に願う。“右膝よ、堅く!”

そして堅くなった右膝で強く男の仮面めがけて飛び膝蹴りを喰らわせた。

ジャンプしないと届かない距離……か。

昨日までなら普通に届いていた距離なんだけどなぁ…。

「ぬわぁあああああああああああああああああああ!!!!」

その叫び声と共に音を立てながら男の仮面に大きなヒビが入る。

「リアクションでぇえ!……いや、物理的に仮面がぁっ!」

…仮面は大きなヒビが入ったものの崩れ落ちるまでには至らなかった。

だが、仮面に変音機でも仕掛けていたのだろうか、ヒビが入る前と声を比べると明らかに違う…。

声のキーが数段階高くなったというか…なんと言うか…。

「全く…どうして仮面を割ろうとしたのです?素顔が見たければそう申せばよろしかったのですが…」

「いや、割れろよ」

自らの手でその仮面を外そうとした男の手より先に、後ろに立っていた小鳥が仮面に手を差しのべてそれを掴んだ。

そしてリンゴを潰したという握力でその仮面を粉砕した。

「ふぎゅっ!?」

男の変な声と共に仮面が崩れ落ちていく。

「………は?」

その仮面の奥から出てきたのは茶色い前髪を垂らした可愛らしい女性の顔だった。

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