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俺に身長をくれっ!  作者: 968
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被害者

「ぬぁんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

突如背後から男の叫び声が聞こえたのでそれに引っ張られるように後ろを見る。

そこにはぶかぶかな服を来た男性が地面に尻を付き座っていた。

「あちゃー、目が覚めちゃいましたか」

仮面の男は頭を掻きながら吐くようにそれを口にした。

「何よそれ、なんか目が覚めちゃ悪いことでもあるわけ?死んでないと分かったぶんいいじゃないの」

小鳥は叫んだ男を眺めながら仮面の男に言葉を返す。

「いや、死んでないというのは初っ端から解っていたのでそこら辺は心配はしていないのですが………」

仮面の男は次第に放つ声の大きさを弱めつつ言葉を返してきた。

それから察するにけっこう良くないことなのだろうか。

『あー、なるほど、そーいうことか。それはまずいな』

仮面の男から渡された耳に付ける形の通信機から今竜と戦っている真樹の声が聞こえてきた。

「ちょっと真樹、まずいってどういうことよ」

『ちょっとすまん、そっちに説明してもらってくれ!』

そういった瞬間真樹は背後に大きくジャンプをして竜の尻尾攻撃を避け、続けて放たれた火炎を薙ぎ払って距離を取る。

初めて見る相手によくあそこまで戦えるなと感心を持てる。

「あー、はいはい了解です。まぁ、ざっくり言いますと今の戦闘が一般市民に見られるということですね」

「いや、既に元から火炎を喰らって無かった人達が戻ってきて戦闘を見てるんだから手遅れでしょ、それ」

「へ?………あ」

と、男は周囲を見回し、電柱の後ろや路地の角、植木の後ろに隠れて見物している人々を発見した。

「ああああああああああああああああああ!!!!真咲ちゃんの御身が知らぬ人の視界にいいいいいいいいいいい!」

「そこか!」

「はふっ!」

突如叫び出したかと思えば真樹の体がどうのこうのだったのでツッコミ含めて男の頭を「コツン」と殴る。

第三者から見ればその音は「ドガッ!」だったかもしれないが…。

「だって、だってですよ!あんな可愛らしい真咲ちゃんがもし見知らぬ誰かに盗まれでもしたらどうするんですか!私絶望のあまり業火に焼かれて自殺します!あれは私のです!」

「真樹はあんたのじゃない!黙れ変態男!」

『俺は誰かのものになった覚えはねぇ!!』

真樹、小鳥の双方からのツッコミが入った。

「おい、おい起きろよ三井!」

そんな茶番には目もくれず、先程起きた男性は近くに寝ていた男性──会社の同僚の三井を起こした。

「あれ、上田なんで俺こんなところに寝てるんだ?」

「そんなことよりあれを見ろ!」

寝ぼけた三井の視線を竜と戦闘中の真樹に向かせる。

「え、幼女が………戦っている…だと」

「ああ、幼女が戦っている」

立ち上がって共に幼女?見守る上田と三井、ふと視線が下がっていることに気づいた三井は自分の体を見て目を見開いた。

「……俺の身長が縮んでいやがる……よかった。ずっと俺高い身長がコンプレックスだったんだ。………よかった……よかった」

「そう……だったよな、お前身長縮めてぇとか言ってたもんな。おめでとう。夢がかなって」

見守ったかと思えば2人で泣き崩れた上田と三井。

「なにあれ」

「見ちゃいけません」

白い目で見る小鳥と、いけないものを見てしまった子供に注意するかのように言い、小鳥の目を手で隠す仮面の男。

「なぁ、幼女が戦ってんだ。俺らにも出来るんじゃねぇか?」

「出来るのかよ俺達に」

泣き止んだ二人は何かしらの相談を始めた。

「あぁ出来るさ、俺達にはサラリーマン魂がある。それが燃え尽きない限り俺らは戦える。今までずっとその灯火を太陽のように燃やし、この世の中を生き抜いてきたじゃねえか」

「そうだったな、嬉しさのあまりその魂を忘れるところだったぜ。戦おう、幼女と共に。勝とう、竜に」

二人は強く固く握手を交わし、竜を強く睨んだ。

「あ、小鳥さんこのガスマスクとゴーグル付けてください」

「なんで?」

「念の為です。お願いします」

小鳥はどこからともなく取り出して渡してきたゴーグルとガスマスクを無言の承諾で受け取りそれを装着する。

それを確認した仮面の男は立ち上がり握手を交わしていた2人の男に向かって歩いていく。

そして、懐から何かしらのスプレーを取り出し、男2人にガスを噴出した。

するとすぐに二人の男は崩れるようにその場で倒れ、静かな寝息を立てながら寝た。

「なにしたの?」

「戦いの邪魔をされそうだったので阻止してきました。これは即効性の催眠ガスです。対人用ですので死んだりはしません。戦いに介入してきて殺されたら可愛そうですしね、寝かしておきました」

「もしかしてこれは私が寝ないために…」

自分が装着したマスクに手を添え、男に問う。

「なぁに、真咲ちゃん何かがあった場合助けるのは貴方しかいませんからね、寝てもらっては困ります。」

と言いつつも私のためになんだろうなと彼の優しさを感じつつもう一つ問う。

「周囲の野次馬たちはどうするの?」

「あー、あれは……この催眠バズーカーで眠らせます」

と、懐からバズーカーを取り出して私に見せつけてきた。

………どうやって持っていたのだろうか。

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