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俺に身長をくれっ!  作者: 968
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目覚め

やると言ったがどうする、時間を考えても十秒も無いだろう。

やるしかない、男がやったように。

どうやら小鳥の攻撃がそれなりに重かったからだろうか、かなり多くの息を吸っている。

どう考えても先程の火炎よりも遥かに強いものだ、何が何でもそれを防ぎ、小鳥と男を守らなくてはならない。

俺に眠る力…俺に宿った力………どんな形でも構わない、なんでもいいから俺に小鳥たちを守る(すべ)を……、あの火炎を防ぎきる力を。

頼む!俺は守らなくちゃいけないんだ!それが、それが俺の使命だっ!

その思いに力が呼応したという返事だったのだろうか、心臓が大きく鼓動した。

それと共にどこからか光の粒子が俺の眼前で凝縮し始めていた。

その現象と同時に竜の眼光がこちらを鋭く睨んだ。

来るっ!

俺は光の粒子の凝縮体の正体を無意識のうちに理解しながらそれの端を小さな右手で強く握りしめ、構える。

その瞬間竜の口が大きく開き、離れていても解るようなとてつもない熱気を持った豪炎が放たれた。

本能的にあの炎から逃げたいと思ってしまう。

だが後ろには先程まで戦ってくれた小鳥がいる、守るべき人がいるんだ!逃げるわけには行かない!

構えろ、踏ん張るんだ!あの炎をかき消せ!

俺は光の塊を握りしめ、腕輪に願う。

〝あの炎をかき消す力を!〟と。

腕輪が強く輝き始めたのを横目で確認し、そのイマジネーションを崩さないように意識しながら十分近づいた炎目掛けて光の塊を強く振り払った。

炎と剣が衝突し、炎が重みを持っているかの如く光の塊の動きを止める。

光と炎の接合部分から双方が四散して消え去っていく。

しかしこれはいつまで続くかは分からない。

俺が押し負けるか、竜の攻撃が止むか。

負けて…たまるか……!!

コレに負けたら俺諸共小鳥たちも巻き込まれる。

「ぅお、おおおおおおおおおお!」

俺が雄叫びを上げると、それが合図だったからように光が全て解き放たれた。

中から出現したのは目の前の炎と同じような紅蓮の色を基調とした剣。

俺の小鳥を守る力。

雄叫びが効いたのか、剣が出現したからか、次第に炎を押していく。

「裂…け、ろぉおおおおおお!」

力を振り絞って重みのある炎を振り抜くと、剣から放たれた力が炎を発生源まで切り裂き、竜の口元をも深く斬った。

その竜の傷口からは血であろあ赤い液体と、なにやら黄色い粒子が放出されていく。

それは意思を持ったかのように竜の周囲に倒れた人の方に移動し、彼らに吸い込まれていく。

「なんだ………アレ」

『あー、アレですか?先程私が竜に〝捕食された〟と言っていましたよね?』

さっき男から貰った通信機から男の声が流れてくる。

横目でそちらを見てみると手当をしながら話しているようだ。

それに対して竜は傷口が思った以上に深傷(ふかで)を負ったのだろう、その場でのたうち回っている。

「ああ、てっきり焼いて喰うもんかと思ったんだけどこの話の流れからして違うのか?」

『ええ、あの竜は焼くだけで…いや、攻撃をして相手に何らかのダメージを与えさせすれば捕食できます。真咲さんたちは竜に気を取られて気づかなかったと思いますが、焼かれた人々は捕食され外面的変化が訪れています』

名前に対して反論をするのも疲れたので、ため息混じりで焼かれて気を失っている人々を見た。

「!?」

倒れた人々は皆、ぶかぶかの服で身を包んでいた。

ざっくり例えると気を失ったちびっ子がお父さんのシャツを着ているような感じと言えるような状態だ。

『気づきましたか?捕食された人々は身長が縮んでいます。つまり竜は人の〝身長〟を喰らっているのです』

身…長……。

「じゃあ、さっき竜から流れた光の粒ようなのもは、彼らの身長ってことなのか?」

『そうなりますね。奴らは核を主体として生存し、その核を生かす為のエネルギーが必要となります。そしてあの竜は人の身長がエネルギーだったのです』

エネルギーか、俺の身長もエネルギーとしてあの竜…または別の何かに奪われたのだろうか。

「……でもさ、さっきの光景からしてそのエネルギーは取り戻せるんだろ?」

『はいそうです、喰らったソレを完全にエネルギーとして還元するのに大体1日は掛かります。それまでにアイツを倒せば喰われた身長はもとの場所に戻るでしょう。さ、痛みに慣れてきた竜がこっちを見てますよ。頑張ってくださいね』

と、言われ竜を見てみると完全にキレていた。

なんかもう…目が真っ赤に輝いていると言いますか……怖い。

俺、あんなのと戦わないといけないのか……。

でも、身長を取戻すためだ。俺と同じ思いをする人が出ないようにするためにも……!

俺は怒り狂う竜に向けて剣を力強く構えた。

そういや、この話自分のコンプレックスから生まれたんだよなぁ…ってことを思い出した。話を書こうと思ったきっかけはまた別ですが…

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