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そうして数日後、本当に王太子殿下が婚約者さんと側近さんと侍女さんと一緒に集落に来たよ。

三人でもう100パーセント達成したなーと、ぼけっと、ひよこ見ていたら、王家の馬車がやってきてびっくりした。


「三魔女殿、この度は本当にありがとうございました。」

「いえいえ、ほんの少し協力しただけですよ。上手くいって良かったです。」

「三魔女殿、婚約者のフィーだ。どうしても会いたいというから連れてきた。」

「初めまして、三魔女殿、フィーナ・エトワールでございます。この度はご協力誠にありがとうございました。ありがとうございました。」


うわ、めちゃくちゃ美人さんだ。美人なのに可愛い。ハーマイオニー役の女優さんに似ているかも。ちなみに殿下は凛子曰く〇ィリアム・フランクリン・ミラーに似ているらしい。わたしは、〇ィリアム・フランクリン・ミラーは良く知らないんだけど、キラキラのイケメンであるのは確かだ。


「この11か月間大変だったね。よく頑張ったね。上手くいって良かったね。」

「新年から確かにどこがどうといわれると難しいのですが、空気が変わりました。春が来るのが感じられる、そんな感じです。11か月間本当になんの手ごたえも無く、ずっと冬が続くのではないかと震えていましたが、三魔女様のお陰でようやく前に進むことができました。どれだけ感謝しても足りないぐらいです。どのようなお礼をさせていただければよいのか、何かご希望はあるでしょうか。」

「んー。前に金貨いただいたし、後みんなの笑顔で、お礼はそれで充分なんだけど。あのね。わたしたち春になったら、もうこっちに来ることできないみたい。」

「え、何故だ!あなた達はこの国の恩人なのに!」

「なんていうのか、わたし達、この世界に繋がった扉を開けて遊びに来ているのですが、その扉に有効期限があって、最初から春になるまでと設定されていたので終わりが近いんです。」

「ああ、伝説の“いつの日か冬が留まる時、異国の三魔女がたどり着き春を呼び込むであろう”の一文には春を呼び込んだ後のことは言い伝えられていませんでした。そんな、せっかく三魔女殿にはお世話になって、これから恩返しをさせていただきたいのに。」

「殿下、お返しはみんなの笑顔でそれでいいんよ。ここに来れたのも何かの縁。最初は冬が長いって何のことって驚いたけど、冬の魔女さんが凄かったり、魔法があったり、みんな良い人だったりで、物凄く楽しかったです。」

「そうそう、わたし達しっかり楽しんでいます。だから恩返しなんていらないですよ。」

「ほんと、ここはイケオジがたくさんで煌びやかでどきどきさせていただきました。毎日楽園に来ているみたいでしたよ。」

「ああ、殿下、この集落に大きなお風呂作ったんです。是非入浴していって下さい。」

「庶民が気軽に入れるお風呂です。お貴族様はいつも入られるのかもしれないけど、寒い冬にこういうのがあると気持ちいいっていうのを知ってもらって広げてもらいたいです。」

「ここのみなさんには好評ですよ。」

「トーコ様、ヨーコ様、リンコ様、この国のために本当ありがとうございます。お風呂は貴族の間では1週間に二回ぐらい入っていますが、それとはまた違うものでしょうか。三人様のアドバイスは良いものばかりなので、試してみたいと思います。」

「お風呂場の石鹸もシャンプーもリンスもわたしたちの世界のものだから良いと思うよ。集落の錬金術師さんが再現しようと頑張っておられるけど。」

「トーコ様、その異世界の石鹸とシャンプーとリンスはこの集落の人がつやつやきらきらしている理由でしょうか。」

「たぶんそうだと思います。みんなお風呂毎日入っているって聞きますから。」

「そうなんですね。再現できたら王宮でも仕入れたいです。」

「あー。引き出物の石鹸の詰め合わせまだ残っているから、フィーナ様に差し上げましょうか。」

「え、良いのですか?!魔女殿の世界のものをいただいても良いのですか?」

「ええ、この集落の人だけあげるっていうのも不公平だしね。欲しいなら持ってくるよ。」

「では、いただきたいです。みなさんつやつやのきらきらでずっと気になっていたんです。」

「じゃ、待っていて取りに行ってくるから。」

「透子家に戻るの?」

「うん、ちょっと引き出物の石鹸の詰め合わせとシャンプーとリンスの買い置き持ってくるわ。」

「じゃ、せっかく殿下がいらっしゃっているから、殿下のお好きそうな本を差し入れるとかどう?」

「いいね。父の本棚にまだ残っていたからそれも持ってくるよ。」

「え、“けんきゃく”まだ続きがあるんですか?」


殿下ぱぁっと顔が明るくなったけど、そんなに剣客シリーズ好きなんだね。


「剣客シリーズかどうかわからないけど、時代物系はあったはずです。いろいろ持ってきますね。」

「家に帰るってどこから帰られるのだ?」

「あー。殿下には言っていませんでしたか?ここから5分ぐらいのところからうちに繋がっているんですよ。」

「魔女殿の家はこの世界にはないのだな。」

「ええ、こっちから見れば異世界でしょう。その繋がりが春までなのです。」

「トーコ様。例の音楽の鳴る箱をこちらで似たものを作っても良いだろうか。あれは凄い。一日音楽が鳴り続けて幻想的な雰囲気になってカップルに好評だったのだ。」

「あーCDラジカセは差し上げますよ。もううちでは使ってないし。電池で動くので電池があれば大丈夫です。電池の買い置きもあったので、持ってきますね。もう聞いていないCDも持ってきますね。お好きなものが見つかるかもしれないし。似たものを作られるのもいいですよ。」

「そ、そんなあんな宝具級のものを!いただいてもいいのですか?似たものも是非作らせていただきます。父も母も欲しいって強請られていますので。」

「ええ、使ってもらえるのであればこっちも有難いです。真似ても似ているのもどうぞ。どうぞ。」


嬉しそうに笑う殿下は子どもみたいだ。といってもまだ十代だと聞いている。十代なら子どもだよね。子ども。その子どもに今回大きな重圧がかかって少し可哀そうだった。無知は罪だってちゃんと学ばれて良かった。育ちがいいからか、素直でいい子だと思う。それに、殿下は煌びやかで美しい人だけど、泣き顔を見ているんで、息子みたいな感じがするのよね。なんかマルちゃんみたいにほっとけないみたいな感じ。

こんなこと思っているとは不敬になるかもしれないので黙っているけどね。


「じゃ、ちょっと家に戻って取ってくるね。」

「「いってらっしゃい~。」」


家に戻って、引き出物の石鹸セットと父の残りの本を全部とCDラジカセ用に乾電池、シャンプーとリンス、あ、そうだ。父の部屋にインスタントカメラがあった。フィルムも30枚ぐらい残っていた。あの当時高いからって節約しながら使っていたのに、父が亡くなって誰も使わなくなったんだよね。わたし達三人はスマホでどんどん写真撮っているけど、向こうの人に写真渡して無かったから、もう最後になるならこれで記念に写真を残そう。


「ただいま~。」

「「おかえり。」」

「フィーナ様、これ石鹸とシャンプーとリンスです。お使い下さい。」

「あ、凄い。使ってもいないのに、なんていい香りでしょう。トーコ様ありがとうございます。うちで再現できるかどうか、うちの錬金術師に調べさせてみます。」

「あと、殿下、これが残りの本です。時代物ばかりですが。あと、CDラジカセ用の乾電池。これでもう少し音楽聴けると思います。あと、洋子と凛子も殿下の横に並んでみて。」

「あ、透子それインスタントカメラ?よくあったね。」

「はいチーズは通用するのかな?」

「無理ちゃう?一緒に笑ってでいいんちゃう?」

「じゃ、殿下もフィーナさんも、こっちみて笑って下さい。」

「え?なんだ?」

「まぁいいからいいから。」


ぱしゃ。

うぃーん。


「おお、久しぶりに撮ってみたけど、面白いね。このカメラ。殿下、これは写真です。これは殿下に差し上げます。」

「な、なんだ。この精密な絵が!これはわたし達じゃないか。」

「これは写真というものです。このカメラというもので写し取るんです。」

「なんと、これは高度な魔道具か。」

「魔道具ではなく、カメラっていう道具ですね。」

「マルちゃんも一緒に撮ろう。フィルムはセットしましたので、殿下このボタン押してもらっていいですか?」

「あ、何?このボタンか?」

「そうそう。マルちゃん、おばちゃん達三人と一緒に写真撮ろう。」

「まじょさんとマルいっしょ。」

「そう、一緒にね。」

「はい、殿下、今です。そのボタン押してください。」


ぱしゃ。

うぃーん。


「さっきと違って白いぞ。」

「殿下大丈夫。ちゃんと画像が後から出てくるから。」

「あ、出てきた。出てきたぞ!」


はしゃぐ殿下、やっぱり可愛い。三人で微笑ましく見てしまう。絶世のイケメンなんだけど一緒に頑張った思い出があるから世話焼きした部下の気分。


「マルちゃん、この写真はマルちゃんにあげるね。わたし達は元の世界に戻ってもうこっちの遊びに来れなくなるから、これは思い出に持っていてね。マルちゃん小さいから忘れてしまうかもしれないからね。」

「マル、まじょさんのことわすれないよ。でも、これみんないっしょでうれちいです。」


「トーコ様、厚かましいお願いですが、わたしとフィーとお三方で撮っていただいて良いですか。一生の思い出に欲しいです。」

「いいですよ。そこの側近さん、フィルムセットしたので、はい。このボタン押してください。」

「は。どう、どこでしょうか。」

「ここのボタン。みんな配置についたら、押しますよって一声かけてくださいねー。」

「わかりました!」

「さぁみんな並ぼう。」

「では。押します。」



ぱしゃ。

うぃーん。


「トーコ様、ありがとうございました。この写真とともに今回の騒動を後世に伝えていこうと思います。この写真をもとに、王宮で絵師に絵を描いてもらいます。」

「え?そこまでしなくても・・・。」

「絶対描いてもらいます。」


きりりと断言する殿下。

わたし達はもうこっちに来れないから絵を描いてもらっても、見ることないからいいか。洋子も凛子も了解した。

後は、集落でみんなと一緒に写真を撮った。バードさんともナナヨセさん、アランにサムエルさん、洋子と凛子は自分のスマホでも写真を撮っている。どさくさに紛れて凛子はゴランさんと二人で撮ってはにんまりしていた。

こっちの世界では、新年から2週間で春になるという。今日は新年から1週間ぐらい経っているから、わたし達がこっちに来られるのも後1週間ぐらいだ。後悔しないようにやれることしよう。


お風呂を堪能し、冷たい麦茶を飲んだ殿下たちはそろそろ王宮に戻らないといけない。DVDプレーヤーはこの集落に置いていくこと、インスタントカメラ、CDラジカセは殿下に差し上げること。魔道具に出来るなら作ってもいいこと話をした。

リバーシや雪合戦は続けるんだって、大みそかのカップルイベント用の飾りも差し上げることにした。こっちも殿下は毎年続けるらしい。お年玉と感謝の言葉をかけることも非常に王宮で働く人々に喜ばれたので、これも今後も続けると断言された。良い王様になりそうだね。本当いい子だった。

洋子が野菜の種を大量に側近くんに渡していた。凛子は有精卵を50個と、ウイスキー5箱渡していた。本当凛子の家にウイスキー何本あったんだろう。どさくさに紛れて凛子は推理小説を殿下に渡していた。その文化は受け入れてもらえるだろうか。気に入ってもらえるといいな。

わたしはフィーナさんに異世界溺愛系の漫画を押し付けてみた。読めば読むほど照れるような濃いものだ。今後の殿下との幸せな生活のヒントになりますように。


何度も何度も感謝の言葉を受け取った。殿下はDVDプレーヤーもいつか魔道具化するんだと、国の事業にするぞといいながら王宮に戻られた。魔道具化出来るといいね。

馬車の帰りに食べることができるようなお菓子の詰め合わせを侍女さんに渡しておいた。無事に帰って、この小さな集落の人々までも幸せに暮らせる国を維持してください。

本当国のトップクラスとお話なんてする機会こんな時じゃないと無いよね。

遠ざかる馬車を見送り、集落のみんなとほっとした。


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