バリスタは突然に
どうも、私はただのサラリーウーマンであります
名前は、南島月波
極々平凡な、社会人です…
趣味程度に自作のラテアートを書いてみたり、最近はカフェ巡りして自分の家で研究してます!
月波「さてさて…ここはどこなんだい?」
どうやら、これは…異世界転生とかいうものをしてしまったのではないか?
はて?私は異世界転生するようなことをしたか?
思い当たることが多すぎて…どれだろう…
仕事のし過ぎで過労死?それとも飲みすぎて溺死…
まぁいずれにしろ、死んじまったから、ここにいるんだろう
まぁ死が異世界転生のトリガーかどうかはわからんけど
月波「さぁ、どうしたものか…まぁ異世界に来てしまったのなら、こっちで異世界転生ライフを充実していけばいい話だけども…どうやら、お金もないし、寝床すらなさそうだ…」
幸先悪いな…まずは金なくてどうやって過ごせというのか…ご飯も食べられないし…
結構お腹空いてるんだよな…
まぁいい感じのレストランで住み込みで働かせてもらろうかな…
そんな店あるはずもないだろうけど…
それに、知らない街だからどこに何があるのか…全くわからん!
月波「まずは、町のマップを探すところからだな」
それにしても、綺麗な街だなぁ…
森と町の融合みたいな、自然豊かないい街だ
空気が、綺麗だし人々の顔もみんな明るい
月波「がしかし、結局お金がないと何もできないなぁ…」
街の人に聞いてみるのが、一番手っ取り早いのだが…いかんせんコミュ障なもので…
月波「うぅ…結構寒いな…」
この街、高くそびえたつ木がたくさん生えてるから、日の光があまり直接的に入ってこない
入ってきたとしても斜陽だけで、そのほかは木の葉を透かした光しか通っていない
だから、少し暗くも感じる
ということは、日が暮れてくるとまずい、ただでさえ暗いのにより暗くなってしまったら、本当に何も見えなくなってしまう…一応街頭はありそうだけど…
夜に街頭の下にいるのは、完全に浮浪者だな…いや浮浪者なのは間違えではないのか…
月波「ただ、前世の社畜よりはましか…仕事から逃げられたのだ、多少大変なのは仕方がないか」
このまま、やみくもに街を歩いても仕方がないので、大きなお城の方に向かいながら歩いてみよう
なんとなく、そっちの方が栄えていて、マップ的なものがありそうな気がする
月波「それにしても、立派なお城だなぁ…でもあれ多分木造建築なんだろうな…この街のイメージは木材だもんな…多分」
街にある建物のほとんどが、コテージのような木造で、温かそうだ
暖かい飲み物が飲みたい…本格的に体の芯から冷えてきた…
月波「うぅ、まじで寒い…このままだと死ぬ…」
やばい、手が凍えてきた…
この街もしかして結構北の国だったりする?確かに、広葉樹もあるけど割合的には針葉樹の方が多いかも…
やばい…異世界転生一日目で死ぬのか…そんなやつ見たことない…
このままじゃ、異世界転生先で一日目で死んでみたになってしまう…
???「おい、大丈夫か?」
はっ!こいつ!まさか、私のことを狙った悪党!来たわねバトル!
???「おいおい、そんなに身構えないでくれ、俺は別に君に危害を加えるつもりはない!ただこの街の夜は冷える。その軽装では死んでしまうぞ、俺はレオン・アルフェルトだ」
まだ、信頼はできないぞ!警戒して…襲われるかもしれない!
月波「ひゃっ!ちょっと放してください!」
レオン「ほら、こんなに手が冷たくなってるじゃないか!俺はカフェをしている、俺についてこい温かい飲み物を飲ませてやる」
とか言って、影に連れ込んであんなことやこんなことをするんだろ!
わかってるんだよ!
レオン「いいから、ついてこい!大丈夫だ何もしないっての!」
ほんとかなぁ…でも結局死ぬ運命なら、まだ助かりそうな方に行った方がいいか…
月波「分かった…その代わり、何かしたら、大声で叫ぶからね!」
レオン「やっと、素直になったな…お前さん名前は?」
月波「月波…南島月波…」
しまった!本名名乗るべきじゃなかったか…
レオン「そうか、少し変わった名だな、ここら辺の者じゃないだろう。この街の夜は危険だ、今日は泊めてやる」
まだ、信頼はできないな…
でも、よく見ると結構イケメンか?それに背もでかいし…まぁ、泊めてもらえるなら付いていかない手はないか…まぁ襲われても最悪、生きていればいいや!
レオン「ここだ、まずは寒いだろう、ふろに入ってくるといい、その間に温かい飲み物を作っておく」
お風呂…湯舟には何日入っていないだろうか…あまりにも疲れすぎて湯舟に入る気力すらなかったからな…でも、今日ははいれそうだ…久しぶりに体の芯から疲れが取れそうだ…って!
だめだめ!騙されない!もしかしたらお風呂に、睡眠薬とか入っててあんなことやこんなことされちゃうかもしれない!
レオン「…おいおい、まだ疑ってるのか?悪いが俺はお前みたいな若いのを取って食うような趣味はない!わかったらさっさと風呂入っててこい!」
まぁ確かに悪そうな人ではないけど…
さすがに人間不信になりすぎてるだけか…これも会社のせいだ!
月波「…わかった、じゃぁお言葉に甘えて…」
レオン「場所は、突き当りを左に行って一番手前の扉だ、着替えは俺のを使ってくれ、悪いな男物で」
まぁ、お風呂に入れて暖かい所にいられれば、正直今はそれでいいか
にしても、ここ…長いカウンターがあって、ぽつぽつとテーブルもある…
よく見ればコーヒーを作るための物が一式そろってる…
ということは、ここはカフェということか?
月波「うわっ…おっきなお風呂…」
お風呂って言われたからユニットバスみたいなものを想像したけど…まさか大浴場とは…
なんなんだここは?カフェ兼銭湯なのか?
月波「さてさて、ゆっくりと入らさせてもらいますか!おりゃぁ!」
???「キャー!ちょっと待ってください!ここは一般のお客様立ち入り禁止ですよ!」
えっ?お客さん?でも…関係者っぽいな…それよりも、めっちゃくちゃかわいい…
月波「ごっごめんなさい、あのこの店の店長さんなのかな…お兄さんにお風呂に入ってきていいよと言われて…あの上がるまでお待ちするので、どうぞごゆっくり…」
???「いや、大丈夫です!多分あなたも私と同じ境遇だと思うので…」
というと?異世界転生してきちゃった人ってことぉ⁉
月波「同じ境遇というのは…どういうことですか?」
???「いや、あの違ったら申し訳ないのですが、身寄りがなく帰る場所もないのではないですか?」
あー…なるほど同じ異世界転生者ではなさそうだな…まぁどの世界でもホームレスはいるか…
でも、こんなにかわいいなら、普通にアイドルとかモデルとか女優とかいろんな仕事できそうだけどな…
月波「はい、そうです…起きたら突然この街にいて…まぁもともと、帰るべき場所なんてないんですけどね…あの、お名前お聞きしても?」
???「あっはい、私の名前はエルナともうします、このお店でホールを担当しています、貴方のお名前もお聞きしても?」
月波「もちろんです!私は南島月波です、私もこのお店で働かさせてもらえるかなぁ…なんて」
多分このお店はカフェだから、私はバリスタになれるんじゃないかな…
あくまで趣味程度に、コーヒーやラテを作ってきた程度だから、あんましうまくないかもしれないけど…
エルナ「とても、珍しいお名前ですね…苗字を持っているということは孤児ではないのですね…あとはこの国の方でもなさそうですね…でもそのようなお名前を持つ方が暮らしている街を聞いたことがありませんね…」
まぁ、日本人なんていないだろうし…苗字か…エルナは持ってないようだから孤児だったということか…
まぁ、この子が元気にしているのだから、レオンは悪い人ではなさそう
エルナ「私はもう上がります、月波さんはごゆっくりどうぞ」
月波「うん、ありがとう」
はぁ…あったまる…本当に何日ぶりのお風呂だろう…
月波「あれっ…」
私の目から涙がこぼれていた
そんなに、社畜極めてたのか私は…
さて、のぼせても大変だから、そろそろ上がるか
月波「レオン、お風呂ありがとう、暖かかったよ」
レオン「あぁ、それはよかった…飲み物作るといったが、注文を聞いていなかったから、今から作るよ、ご注文は?」
そうだなぁ…何がいいかなぁ
コーヒーもいいけど…ちょっと甘いのも欲しいからな…
月波「ウインナコーヒーお願いできる?」
レオン「もちろんだ、お待ちください」
メニューⅠ
ウインナコーヒー
コーヒーの上にホイップクリームを乗せた飲み物
濃厚な味わいで、苦いのが苦手な方でも飲みやすい
見た目が豪華
ウインナコーヒーは、昔母親が作ってくれて、思い出の味だ
初めて名前を聞いたときは、ウインナーが乗ってるコーヒーかと思っちゃった
レオン「お待ちどうさま、ウインナコーヒーだ初めましての君に捧げる初めての飲み物だ」
月波「ありがとう」
温かい…それに綺麗な盛り付け…
月波「いただきます…おいしい…」
コーヒーが苦すぎないのに、深い味わい
ホイップクリームで程よい、温かさになってるし、カップも温めてあるのかな?すごく温かい…
月波「おいしい…」
レオン「おいおい、泣くんじゃねぇよ、びっくりするじゃねぇか…まぁ月波に何があったのか知らねぇけどよ、まぁうちで働いてくれないか?人手が足りなくてな」
おいしいし、温かい…心が芯から温まる
キンキンに冷えていた、氷のような心を溶かしてくれる
月波「ありがとう、もちろん!私バリスタになるのが夢だったのだから、厨房に入らせて」
レオン「あぁ、もちろんだ、だが腕がうまくないと入れないからな、早速で悪いんだがいま俺が注文するものを作ってくれないか?」
なんだろう…だいたい何でも作れるけど…
レオン「単純だ、ゆえに難しいエスプレッソを頼む」
エスプレッソ…コーヒーをただ入れるだけ…まぁドリップコーヒーとは違うんだけど…
月波「わかりました、少々お待ちください」
メニューⅡ エスプレッソ
コーヒーを早く短時間で抽出することで、濃厚でコクのある味わいになる
エスプレッソ…あんまり作ったことなくて、うまくできるか心配だな…ドリップコーヒーはいっぱい作ってきたんだけど…エスプレッソは専用の機械がないとできないからな…まぁなくてもできるらしいけど…
月波「おまたせしました、エスプレッソです」
レオン「ありがとう、それでは失礼…」
我ながら、結構うまくできたと思うんだけど…
レオン「そうだな…月波これが初めてか?」
月波「うん、エスプレッソは始めて、ドリップコーヒーしか淹れたことない…」
レオン「そうか…正直な感想を言うぞ」
月波「ごくり…うん…」
レオン「初めてにしては上出来だ、だがお客さんに出せるレベルではない」
まぁ、そうだよね…趣味でしか作ってこなかったし…
レオン「得意なものがあれば、それを作ってくれないか?得意なものがなければ好きなものでもいい」
得意なものか…ロイヤルミルクティーとか?たぶんこっちの国ではないだろうし…ロイヤルミルクティーは日本製だからね、和製英語だし
月波「ロイヤルミルクティーでいい?結構作ったことあるし、私自身も好きだし」
レオン「ロイヤルミルクティー?聞いたことないな…私も知らないものがあるとは、やはり世界は広いな、それで頼む」
メニューⅢ ロイヤルミルクティー
通常のミルクティーは、茶葉をティーポットで淹れて、それをティーカップに移し、ミルクを注ぐ
しかし、ロイヤルミルクティーは水を鍋で沸かし、そこに茶葉を入れ、蒸らす
そして牛乳をいれて、弱火にかける
そしてそれをこしながら、ティーポットに注ぎ、温めたティーカップに注ぐ
ミルクティーは、滑らかでキレのある味わいだが
ロイヤルミルクティーは濃厚でコクのある味わい
月波「ロイヤルミルクティーは時間がかかるのですが、大丈夫でしょうか?」
レオン「あぁ、かまわない、厨房も好きに使ってくれ」
小さな鍋へ、水を入れ沸かす
沸騰したところで火を止めて、茶葉を入れる
蓋をして1~2分蒸らす
蒸らし終えたら、牛乳を加え弱火にかける
小さな泡が出てきたら、火を止める
そして5分蒸らす
この蒸らす工程が重要で、ここで味が決まる
そして、お湯につけて温めておいた、ティーポットとカップを取り出し
フィルターでこしながら、ティーポットからティーカップへと注ぐ
それで完成だ
月波「たいへん、お待たせしましたロイヤルミルクティーです」
レオン「おぉ、できたかかなり大変な工程に見えたが、大切なのは味だ、それれでは失礼するよ」
どうだろう…工程は間違ってないし、今日みたいな寒い日はとってもいいと思うんだけど…
レオン「これは…ミルクティーに似ているが、口当たりが柔らかく、甘い…紅茶が苦手な人でも飲みやすいかもしれない…」
月波「それで?お店に出せる味なの?」
レオン「あぁ、これはうまい…店で出せる味だ…しかし工程が多くて大変だな…後で作り方教えてくれさすがに一回見ただけじゃ覚えられん」
月波「それじゃぁ…採用ってこと?」
レオン「あぁ、採用だ、だがまだロイヤルミルクティーしか飲んだことがない、常連さんに協力してもらっていろいろなものを作って腕を上げていけばいいさ」
まさか、異世界転生先で夢がかなうなんて…