はじまりの その二
「ヒカエリソウ12本採取おめでとう」
12本目を鞄に入れたところで、パンパカパーン、と煩い音が鳴り、チュートリアル魔法が私にクエスト完了を知らせて来た。だが私はまだ稼ぎたいと次なるヒカリエソウに向かおうとした。
「あ、矢印消えている」
ピープピープ。
「ギルドにヒカリエソウを提出するまでクエストだよ」
小煩い音に小煩い注意である。
アイザックめ。
私はお兄ちゃんが働けなくなった時に備え、お兄ちゃんに内緒でお金を貯めなきゃって思っているのに!!
ピープピープ。
ババン。
あ、目の前にギルドまでの帰り道マップが表示された。
アイザックめ。
お兄ちゃんがギルドに帰還した時に、そこに私がいなかった場合が怖いんだな。
だがしかし、私こそお兄ちゃんに心配する顔をさせたくないから、マップが示す通りにギルドのある町に向けて足を踏み出した。
てくてくてく。
てくてくてく。
ピープピープ。
「だから、ちゃんと言う通りにしているじゃない」
ピープピープ。
「うるさい。もう林だって抜けて、って……え?」
私の目の前に再びマップが映し出されたが、先程のお家に帰ろうマップでは無い。
私が歩いている草原のマップなのだ。
草原の中にアイテムがあるぞ、というお知らせつきだった。
「わあ! 何かの落とし物?」
私は、マップ上にキラキラする黄色の丸があるところ、絶対お宝があるそこへと走りだしていた。
ちゃんと矢印がある。
ヒカリエソウの時みたく、水色の矢印が、ここ、ここって指し示している。
「何だろう。ライライチョウの卵でも落ちているのかな」
ざざざっと草をかき分けながら進み、ようやく矢印の下に出た。
私はほっと大きく溜息を吐く。
宝物はあった。
水色のカバーオールを着た、キラキラの金髪にくりくりの緑色の瞳をした、ふくふくのほっぺの可愛い過ぎる天使みたいな赤ちゃんが。
「捨て子? チュートリアル魔法が気が付かなかったら、きっと夜には死んじゃってたよ」
私は慌てて赤ん坊を抱き上げる
ピープピープ。
「今度は何? 親が近くにいたの?」
私はあるはずの黄色の板へと顔を上げる。
「危険危険。Eランクのモンスター多数出現」
なんですと!!