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長老との押し問答

「生憎と、本日も旦那様のお加減は優れず……」

「ここ最近はずっとそうではありませんか。

あれほど、そう私に水をかけに来るほどお元気だったのに、それは納得できませんわ」


場所は長老の部屋へ続く廊下だ。

そこに立ちはだかる執事を、今日こそは通してもらうという決意で見つめ返した。

これまでは相手が老人だし、押し掛けている身であるしと、何だかんだと追い返されてしまったが、そろそろ話をつけたい。


「ひょっとしたらもうお忘れかも知れませんが、私の使命は国王陛下に従うよう長老様を説得することなのです。

このままでは埒が明きません」


国境部の争いはいつ変化するかも分からない。

場合によってはヘリアンサスも移動しなければいけないだろう。

だが、このまま長老を説得できずにカエルムを去るようなことになれば、敵前逃亡のような形になってしまう。

託宣を受けた聖女様も結局神殿嫌いの長老の心を動かせなかった、そう見られてしまうのだ。

今後を考えると、それはできれば避けたいところだ。

だから戦況が動く前に決着をつけたい。


「お手紙をお預け下されば、お届け致しますので……」

「ですが返事が来ないではありませんか。

それほどまでにお悪いということですか?」

「そういうわけでもないのですが。

旦那様も色々とお悩みなのですよ。

聖女様にはお会いしたくないということで……」


それなら尚更畳み掛けねば、ヘリアンサスは内心でそう叫んだ。

悩んでいる者が、会いたくないと言っている。

その理由は一つだろう。会えば心が揺らぐからだ。

ここで攻めずにどうする。


「……とにかく!今日こそは何としてもお会いして頂きます!!」

「――――えええいうるさいわ小娘!!!

老いぼれの部屋の前で飽きもせず連日ぎゃーぎゃーと!!

人が悩んでいるのだからそっとしておけというに!!!」


派手な音とともに張本人が出てきた。

勢いよく開け放たれた戸にしたたか背中を打ち付けて、執事が無言のまま崩れ落ちる。


「やっと出てきて下さいましたね、さあ今日こそ首を縦に振ってもらいます!!」

「しつこいわ貴様!!

……だがまあいいだろう、入れ。

丁度今朝届いた試作品もある……

それもこれも料理長が酔狂だからであって、別に貴様らのためではないがな!!」

「分かっています!それより陛下への尽力を――」


結局問答は数時間続き、その日も答えは出なかった。


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