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……結局、常磐先輩は五千円近く使ってそのサカバンなんちゃらの巨大ぬいぐるみを獲得することが出来た。
「こいつ、なかなか手強かったな……。ほら、泣くほど欲しかったんだろ」
「は、はい……ありがとうございます……」
彼の手から、ぬいぐるみを受け取る。別にぬいぐるみ自体は欲しくなかったのに彼が頑張って取ってくれたものだというだけで嬉しくて、あたしは思わずぬいぐるみを抱きしめる。
「……まあ、お前も改造計画とはいえ乗り気じゃないデートをさせられてつまらなかっただろう」
「えっ……」
嘘でしょう。先輩まさか、誤解してる?
「俺をわざわざ選んだのも恋人の振りをしているという前提があったからだろう?」
違う。そんなことない。
確かにその前提があるから……ってのもあるけど、それ以前にあたしが常磐先輩が相手が良いと思ったから誘ったのだ。
「悪かったな。お前の貴重な休日を俺なんかと過ごす時間に使わせて……」
「……そんなことないですっ!!」
思わず、声を張り上げてしまった。
「あたし、今日ずっと楽しかったです!たまにちょっと暗くなっちゃったのはあたしに問題があったからというか、あたしなんかがこんなに楽しい思いしていいのかなって自己嫌悪してたんです!」
あたしは更に続ける。
「そもそも常磐先輩を誘ったのは、あたしが常磐先輩とデートしたいと思ったからです!」
口が止まらない。だって先輩に誤解されたくなかったから。
「だってあたし、常磐先輩のことが……!!」
「あーっ!!やっと会えたあ!!」




