7-1
「おい、起きやがれェ」
「ううん……後5分……」
「ダメだ、今すぐだ」
強引に揺さぶられて起こされる。もう、学校に行く時間までまだ先なのに……。
というか、あたしを起こすのは誰……?あたし、一人暮らしの筈なんだけど……?
「……はっ!?誰!?」
不法侵入されたかと思い、慌てて目を開ける。すると目の前にはニヤニヤとした男の顔が。
「……れ、黎一郎、さん……?」
「おう、ようやくお目覚めかィ」
……そうだった、思い出した。
昨日、結局黎一郎さんを病院に連れていく件が有耶無耶になってしまい、うちに泊めることにしたんだった……。
常磐先輩は女の部屋に男が泊まるのはどうかと思うと否定していたけど、黎一郎さんに対してトラウマでもあるのか単純に嫌いなのかは分からないけれど自分の部屋に泊めることは絶対に嫌らしい。
そいつは放り出しておいても死にはしないとは言われたけど、怪我が完治していないまま外に放り出すのは気が引けたので、結局この状態になったという訳だ。
常磐先輩は不服そうだったが一応は納得してくれたようで、食糧何日か分をタッパーに詰めて持ってきてくれた。……ご丁寧にあたしの分と黎一郎さんの分を分けて。
いや、黎一郎さんの分はタッパーにすら詰まっていない。コンビニの袋だ。というかこれ、コンビニで買ってきたおにぎりだよね……?ちょっと可哀想なので、あたしの分を少し分けてあげようと思う。
「……あの、まだ早朝ですけど」
「だから起こしたんだろうがァ。 "会長" から俺宛に改造計画の手紙が送られてきやがったぜェ」
「手紙?随分回りくどいやり方ですよね。今はスマホがあるのに」
「あァ、俺は持ってねェ」
いやまあ、あたしもスマホは持っていないのでそれに関してどうこう言える立場ではないけれど。今時珍しい。
「……というか、えっ、ここに手紙が送られてきたんですか?黎一郎さん宛の?」
「おう」
……ということは、 "会長" さんは黎一郎さんがここに滞在しているのを知っているということになる。なんかちょっと、怖い。




