6-11
「……はっ!!」
どうやら、一瞬意識が飛んでしまっていたらしい。慌てて辺りを見回す。
「お前さん、気絶してたみたいだぜェ」
「そ、それはどうもご迷惑をお掛けしました……。で、常磐先輩の手に持ってるソレは何ですか?」
実は常磐先輩が家に入って来た時から気になっていた小さな包み。
何だろう。ひょっとして引っ越し祝い……とか?でも引っ越してきたのは常磐先輩も同じタイミングなのであたしだけ頂くのは気が引けるような……。
「何を考えている。またフリーズする気か、お前は」
「そ、そんなことないです!ただ手に持ってるそれが気になっただけで……!」
「……随分目敏いんだな」
「うっ……!」
否定は出来ない。意地汚い女だと思われてしまっただろうか。そもそも、あの包みがあたし宛だとは限らないのに……。
「……はあ。分かりやすいんだよ、お前は」
呆れたように溜息をつき、包みを押し付けるようにしてあたしに渡してくる先輩。
「えっ、あたしにですか?」
「他に誰が居るんだ?」
「俺が居るぜェ」
「そうか、即刻出ていけ」
「わー!待ってください!中身何だろうなー!」
雰囲気が悪くなるといけないと思ったので、わざとらしいくらい明るいテンションで包みを開けてみる。するとそこにあったのは。
「……ハンバーグ?」
「何だ、苦手だったか?」
「い、いえ!むしろ大好物ですけど!」
「……ん、そうかよ」
「えっと、でもどうしてこれをあたしに?」
「成程なァ。サヨコに食べて欲しかったと」
「違う!……ただ食糧が無くて喚いているだろうと思っただけだ」
……仰る通りです。今日の晩御飯どうしようかなとか思ってました。
あたしがキラキラした目でハンバーグを見ていると、恥ずかしくなったのか彼は何も言わずに退室してしまった。恐らく、隣の自分の部屋に帰ったんだろうと思うけど。
でも、嬉しいな。偶然だろうけどあたしの大好きなハンバーグを差し入れしてくれるなんて。何処で買って来たんだろう。明日、聞けたら良いな。
「……ん?」
常磐先輩から差し入れて貰ったハンバーグを見つめながら黎一郎さんが首を傾げる。
「どうしたんですか?」
「いや、このハンバーグ……手作りだと思ってなァ」
「ふえっ!?」
……まさかの手作り。
嬉し過ぎてまたキャパオーバーしちゃいそう。
ああもう……隠せないな……。
熱くなった頬を手で抑えながら、あたしは「はぅ……」と息をつくのであった。




