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……取り敢えず、男性を家に上げてコンビニのお弁当を提供する。するとよっぽど腹が減っていたのかガツガツと食べ始めた。
いい食べっぷりだなあ、なんて思いながらあたしも朝食用のおにぎりを頬張る。……あ、昼御飯どうしよう。
「ご馳走さん。助かったぜェ」
「そ、それは良かったです……」
口から見えるギザギザした歯が妙に迫力があって怖い。しかも体臭も結構酷い。ホームレスなのかな。こういう場合って、どうしたら良いんだろう……。
「……世話になったなァ。そろそろお暇させて貰うぜ」
「えっあ……」
あたしが困っていることを察してくれたのだろうか、男はさっと立ち上がる。
うう。あたしとしてもここで見捨てるのは気分悪いけど、だからと言ってホームレスの世話なんてあたしには出来ない。自分の世話ですらいっぱいいっぱいなのに。
「……!?待って!!」
……と、思っていた筈なのに。あたしは思わず彼を引き止めてしまっていた。
「……ってェ」
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
いきなり強く引っ張ったせいか、彼は顔を顰めて座り込む。……妙な羽織を着ているせいで最初は見えていなかったのだけど、この人……脇腹を怪我してる。
「ち、ちょっと、失礼します!」
無我夢中で男の服を捲り上げる。するとそこには大きな切り傷があった。まるでナイフか何かで切りつけられたような……。
「……見るンじゃねェ」
「だ、ダメです!手当てしないと!こんなの放置したら大変なことになっちゃう!」
「ちっとヘマしただけさ。ンなモン、唾つけてりゃ治らァ」
「治りません!!良いから大人しくしてなさいっ!!」
思わず怒鳴りつけてしまった。だって、つい。
だけど効果があったのか、彼は大人しくなってくれた。……って、なんかちょっと笑ってない?
「あ、あのっ、なんで笑うんですか!あたし、真剣に……!」
「はッ、悪ィな。お前さんの今の怒鳴り方……俺の知り合いにそっくりでなァ。……つい」
ま、まあ、大人しくなってくれたので手当てさせて貰うとしよう。と言っても正しい方法なんて分からないし、素人知識の応急処置レベルだけど。……というかこの家、食料はないのに救急箱はあるんだ……?




