6-3
「お金……無くなっちゃった」
あたしは今日の晩御飯の心配をしなくちゃいけなくなった。
常磐先輩にお願いして、日雇いのバイト紹介して貰わなきゃな……なんて思いながらコンビニから出ると……。
……マンションの入口の前に、倒れている人が居た。
「……ええっ!?」
あたしは思わずコンビニの袋を落として驚いた。そしてそれをすぐに拾うと倒れている人に駆け寄る。
「だ、だだ大丈夫ですか!?」
し、死んでない……よね!?大丈夫だよね!?
恐る恐る倒れている人に近づく。髪が長いから最初は分からなかったけど、どうやら男性みたいだ。……良かった。息もしているみたい。でもなんか苦しそう……?
「あの、えっと……」
こういう時、どうしたらいいかなんて分からない。関わらない方が良かったかもしれない。でも見捨てるなんてやっぱり出来ない。
だとしてもどうしたらいいの?家に上げる?初対面で身元も分からない男の人を?そんなこと出来ない!!
「……そうだ!」
常磐先輩を頼ろう。これはもう、あたしだけで何とか出来る範疇を超えている。
でも時刻は午前6時半……。迷惑、かな。やっぱり。
「うぅ……」
結局どうにも出来なくてその場で立ちすくむ。だけどこのまま放っておいていい訳がない。
「……おい、そこの女ァ」
「ひぃっ!?」
……一人でうだうだ悩んでいると、倒れている方から声が聞こえてきた。よ、良かった!喋れるくらいには大丈夫なんだ!
「だ、大丈夫ですか!何か助けて欲しいことはありますか!?」
でもやっぱりちょっとだけ怖いので、距離を取りながら男性に話しかける。
すると、うつ伏せに倒れていた男性はごろんと転がり、こちらに目を向けて呟く。
「……腹ァ、減った」
……違う。あたしに、じゃない。
あたしの持っているコンビニの袋……それを見てそう言ったのだった。




