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シン・ヨロズブ  作者: 有氏ゆず
第五話 いざ!コミュ障克服パーティーへ!
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5-8




「はあ……っ」


緊張のあまり息を止めてしまっていたのか。あたしはようやく呼吸することを覚え、その場に座り込む。


「みっともないぞ、早く立て」

「ご、ごめんなさい……」

「まあ、相手が相手だから仕方ないが。……せめて掴んでいろ」

「はい……」


確かにこんなところで座り込んでいたら変に注目されちゃう……。気合いで立ち上がり、倒れないように常磐先輩の腕にしがみついた。


「あの……あの人はいったい……?先輩とお知り合いなんですか……?」

「さあな。あんな趣味の悪い知り合いは居ないつもりだが」


……多分、嘘なんだと思う。

少なくとも相手は先輩のことを知っていた。だけどはぐらかすということは言いたくないということだ。これ以上しつこくして、嫌われるようなことは避けたかった。




「あっ!九条さん、ようやく出会えましたね!というか常磐さん、こんなところに居たんですか!もう、コミュ障を治して貰うって言ってたのに!」


そんなあたし達を見つけて、走り寄ってきたのは寺本さん。知った顔を見て少し安心する。


「知るか。俺には必要無いと言っただろうが」

「用があるって言ったのに勝手にはぐれるなんて酷いです。それとも、常磐さんは "待て" も出来ないワンちゃんなんですか?」

「黙れ。お前こそ父親の躾くらいしっかりしておけ。コイツに援助交際を持ちかけていたぞ」

「おやおやまあまあまあ!お父様が援助交際ですか!まああのクソ……あの人ならやりかねませんけど」


一瞬、寺本さんの黒いオーラが見えたような気がしたが、気の所為だということにしておこう……。




「そんなことよりおふたりとも、この後のダンスパーティーには参加されますよね?」

「しない。帰る」


寺本さんが言い終わるのと同時くらいに先輩が速攻で否定する。いや、あたしだって無理だ。一般の作法すら微妙なあたしがダンスなんて出来る訳がない。


「あ、あたしもむりで……」

「そうですか。仕方ないですね。なら、私が九条さんのお相手になるしかないですよね」

「「はあ!?」」


思わず常磐先輩とハモってしまった。

……って、そんなことより!あたしがダンス!?むりむり!絶対無理だから!!


「おい、何言ってやがる。こんな鈍臭い奴に出来る訳無いだろうが」

「は、はい!そうです!無理です!!」


馬鹿にされている感は否めないが、ここは肯定するしかない。だって、本当に無理なんだもの……!!




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