5-5
「きゃあっ!すごい……!!」
「……ったく、何で俺まで……」
あの後、あたしと常磐先輩は寺本先輩によって拉致され、ちょっといい衣装に着替えさせられ、豪華なパーティー会場へと連れてこられたのであった。
「でも、どうしてこんな場所に連れてきたんですか?」
「単刀直入に言うと、九条さんのコミュ障を治して貰うためですね。後ついでに常磐さんのコミュ障も」
「えっ!?む、無理です!パーティーなんて初めてですし、無理です!」
「俺も要らん、帰るぞ」
「ま、待ってください常磐先輩!あたしも帰ります!!」
「……会長命令です。逆らう訳にはいきませんよね?」
帰ろうとした常磐先輩の足が止まる。そして大きな舌打ち。
「九条さんも。助けて貰うために何でもするという契約でしたよね?」
う。そ、そうだったけど。確かに契約書にサインはしたけど。
……という訳で、あたしたち二人は帰ることは許されず、パーティーに参加させられることになってしまった。
「でもあたし、本当にこういう場の礼儀作法とか知りませんよ?」
「大丈夫です。パーティーとは言いますけど今日は交流会みたいなものです。最低限のマナーさえ守って頂ければ問題ありませんから」
その最低限のマナーさえ教育されて来なかったんだけどな……。
「それでは私と常磐さんは少し用事がありますので、楽しんでくださいね!」
「はあ?おい、こいつはどうするんだ」
「大丈夫ですって!度胸をつけるのも大事なことですから♪」
「ええっ!?いや、ちょっと待ってください!無理です!ひとりにしないで……!!」
止めようとした手は虚しく、宙をかいた。
ほ、本気……?最低限のマナーすらも教育されていないコミュ障のあたしが交流会でぼっちにされるなんて……!!




