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「……サヨ、サヨ」
「ん……?」
何処だろう。ここ。
真っ白で、なんか、ふわふわしたような感覚。……まさか、夢?
「お前にしては察しが良いな。ここは夢だ」
「……うぎゃあっ!!」
顔を上げるとそこには常磐先輩が、しかも目の前にいらっしゃったのであたしは思わず変な叫び声を上げてしまう。
「何だそのバケモノでも見たような叫び声は」
「あ、あう。すみません。その、びっくりしたもので」
「……まあいい。お前は……ちゃんと4月まで待ったんだな。流石八万四千人目の九条宵子だ」
「……?何訳分からないこと言ってるんですか」
あたしの問いには答えず、彼はあたしの頭を撫でた。まるでいい子だとでも言うかのように。……なんだかくすぐったい。あたし、別に褒められるようなこと何もしてないのに。
「……あなたは、誰なんですか」
目の前の彼は、外見は確かに常磐先輩なのだが雰囲気が少し違っていた。あの人はきっと、こんな風には笑わない。
だからあたしは聞いた。だけど、彼は答えてはくれなかった。
「どうせ目が覚めたら忘れることだ」
「むう。だったら人の夢になんて出てこないでくださいよ」
思わずぷく、と頬を膨らませる。ちょっと子供過ぎたかもしれない、と思ったがそんなあたしを見て彼は優しそうな目でこちらを見ていた。……うう。なんか変な感じがする。
「……悪い。もう時間だ」
「あっ……待って……!」
何故か、止めてしまっていた。なんとなく、もう少し一緒に居たいと思ってしまったのだ。
だけど、彼は首を横に振る。
「じゃあな。短い時間だったが、会えて良かった」
「……!や、やだ!消えないでください……!」
彼の姿が、どんどん薄くなっていく。やだ。本当に消えちゃうの……!?
「目が覚めると、お前はこの夢を全て忘れている。それを承知で、もう一度言わせろ」
「あ、あたし、忘れたりなんかしません!だから……!」
目の前から消えていく彼を何とか止めたくて手を伸ばすが、その手は空を切る。……どうしても、彼に触れられない。
「ねえ、待って!待ってください、か──────」
「……今度こそ生きろよ、サヨ」




