3-1
「ここ、かな」
直樹くんに指定された通りの場所に着いた。言われた通り、髪は上げている。
でも周りの人が、皆あたしのことを見て嘲笑ってるように見えて怖い。身体の震えが止まらない。
「……ジイシキカジョー」
「ふえっ!?」
突然背後から声を掛けられて、思わず飛び上がる。
「ビビり過ぎだろ」
「と、常磐先輩……」
「お前、自分を有名人だと勘違いしてるんじゃないか?これだけ人が居て、何でお前一人に注目するんだよ」
……確かに。あたしは有名人でも何でもない。ただの普通の女子高生な訳で。そんなあたしが意味も無く注目されるなんて有り得ない訳で。
「……あ、何か落ち着きました」
そう思うと、自然と怖いという感情は無くなっていて、身体の震えも止まっていた。
「ん、そうかよ」
「えっと、ありがとうございます」
「別にお前の為じゃない。あまりにも滑稽で見ていられなかっただけだ、自意識過剰女」
「……あの、あたし九条宵子です」
「……はあ?」
この人はあたしのことをずっと変な呼び名で呼ぶ。それが嫌だったので思わず指摘してしまった。
「いちいち名乗らなくても知ってるが」
「じゃあ何で変な呼び名で呼ぶんですか。失礼ですよ、それ」
「お前に興味が無いからだ、以上」
「興味が無い人には失礼な態度取っていいって教わったんですか」
「チッ……面倒な女だな」
少し雰囲気が悪くなったような気がする。まあ、この人と一緒に居て雰囲気が良かったことなんて今のところ無いけど。
「そうそう!名前はちゃんと呼んであげた方が良いぜ!だってお前ら今日はカップルなんだからさ!」
「そうですよ。不本意とはいえそういうことになってしまったので……って、あなた誰ですか?」
あまりにも自然に会話に混ざって来るものだからスルーしそうになってしまったが……このオレンジ髪の人は誰だろうか。
「やっぱりお前か……」
常磐先輩が頭を抱える。知り合い?まさか、この人のよろず部の一員?
「あ、俺は犬飼零士。《よいこちゃん改造計画》の第二段階の指導者って感じ?シクヨロ〜!」
「よ、よろしくお願いします……」
「緊張しちゃってるかな?まあ俺は何も厳しいこと言わないからリラックスリラックス!そういやすっごい顔可愛いね?MINE交換しようぜ?」
ぐ、グイグイ来る……!この人、あたしが一番苦手な人種かもしれない……!
アレだ、これが噂のチャラいってやつだ……!




