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「うーん、ギャル系もいいけどちょっと難易度高いかなあ。やっぱりカジュアル系か清楚系にして……」
「あ、あのっ、直樹くん、まだですか……?」
あれから一時間程あたしは直樹くんの着せ替え人形にされている訳だが、そろそろ限界である。正直、あまり顔を出したくないのだ。早くこの髪留めを取ってしまいたい。
「まだダメ!これとこれを組み合わせて……」
どうやらまだ直樹くんのお気には召さないらしい。何となく恥ずかしくなって常磐先輩の方にちらりと目をやると……めちゃくちゃ不機嫌そうだ。分かりやすい。
きっと彼は彼女がいたとしてもその彼女の服選びを待っていられないタイプだろうな。その時点で付き合う相手としては有り得ない。
まあ、あたしなんかが選べる立場でも無いけれど。
「……何で俺の方を見る。お前の服選びだろうが」
「あう。……ごめんなさい」
だって選んでるのは直樹くんだし、あたしは手持ち無沙汰なんだもの。それにあたしは口出し出来るくらいの美的センスは無い。
「あ!まさか、そういうこと?」
「えっ?そういうことって、どういうことですか……?」
「へえ、ふーん、成程ねえ。正直趣味がいいとは言えないけど……ふふふ」
直樹くんが意味深に笑う。え?何?あたし、何か変なことした……?
「常磐先輩!そんなに暇なら九条ちゃんの服選び手伝ってよ!」
「はあ?何で俺が」
「いいからいいから!ね、これどっちが好み?」
「知らん」
「そう言わずに!そっちの方が九条ちゃん喜ぶと思うし!ね?」
……あれ!?これってもしかして何か勘違いされてる!?
「な、直樹くん!違いますからね!?」
「大丈夫、バッチリ常磐先輩の好みにしてあげるから……!」
ああやっぱり勘違いしてる……!
別に好みになりたくないし寧ろ苦手なのに!さっき付き合う相手としては有り得ないって思ったばかりなのに!
「さあどっちが好み?」
「…………こっち」
このままでは埒が明かないと思ったのだろう。常磐先輩は大きな溜息をついた後に片方選んでくれた。……清楚系が好きなんだ。別にどうでも良いけど。
「その服ならこの小物を付けて……よし完成!試着室で着替えてきて!」
妙にうきうきしている直樹くんに押し付けられた着替えを、あたしは黙って受け取ることしか出来なかった。




