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シン・ヨロズブ  作者: 有氏ゆず
第二話 可愛いは作れるのです
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2-1




「アンタ契約書にサインしたじゃん!どういう改造しても文句言わないってここに書いてあるだろ!」

「そ、そうですけど!でもこれだけは嫌です!絶対に嫌です!」

「僕に任せときゃ問題ないって言ってるんだから言うこと聞いてくんないかな!?それにアイツのこと見返してやりたいんでしょ!?」


……どうしてこんなことになってしまったのか。それは今から一時間程前まで遡ることになる。







「……まだかな」


今日は土曜日で、学校も休みの日だった。

普段は外出もせずに自分の部屋に引き篭っているだけの自分だが、今日はどうして外に居るのかと言うと、例の《よいこちゃん改造計画》を実施する為である。


楪先輩に土曜日の10時にここで待っていて欲しいと言われた。そうすれば担当の部員がやって来るから……って。

でも誰が来るかは聞かされていない。出来れば常磐先輩じゃなければいいな……怖いし。




「何て顔してやがる、鳥女」

「……うわ」

「おいコラ、露骨に嫌そうな反応するな」


あたしの願いも虚しくやって来たのは常磐先輩だった。


「べ、別に嫌とか思ってないですけど」

「顔に出てるんだよ」


そういうあなたも不機嫌なのが思いっきり顔に出てますけど。

常磐先輩と二人とか気まずいなあと思っていたら、どうやらやって来た部員は彼だけではないようで。常磐先輩の後ろからもう一人。




「おまたせ。……ってアンタ同じクラスの」

「あ、えっと……直樹くん?」

「ふーん。アンタが依頼主だったんだ」


現れたのは同じクラスの男子、直樹(なおき)将吾(しょうご)くんだった。彼もよろず部に入ってたんだ。意外。

そして常磐先輩と二人なのはめちゃくちゃ気まずいし正直嫌だなと思っていたけれど……あたしは直樹くんのことも実は若干苦手で。


何かされた訳では無いけれど、彼はその見た目が怖い。

確か一年前は割と普通だったと思うけれど、最近になってピアスをこれでもかというくらいにあけるようになって。制服の時でも怖かったのに今は私服。しかも予想通りのバリバリのパンクファッションである。


……正直、普通に生きていたら絶対に関わろうとは思わないような人種であることには間違いない。


あまり好きでは無い常磐先輩と、苦手意識がある直樹くんか……今すぐ逃げ出したいけれどそういう訳にもいかない。




「ふーん……何となく傾向は分かった。さ、行こっか」


直樹くんはあたしを頭から爪先までジロジロと見つめると、唐突に歩き出した。


「あ、あの。これから何処へ向かうんですか?」

「改造計画なんだからまず見た目からでしょ。とりあえずそのクソダサいファッション、何とかするよ」

「……待て。それなら俺はどうして連れて来られたんだ」

「アンタは荷物持ち。一番新人なんだから当たり前でしょ」


自分がパシられ要員だと分かると更に不機嫌そうになり、舌打ちする常磐先輩。

どうやら彼はよろず部の中ではあまり扱いは宜しくないようだ。思わず笑ってしまうと、思いっきり睨みつけられた。





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