表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/222

異世界 5

急に現れたイケメンがパスポートを拾い上げてから、その場の空気がガラリと変わった。

注意がそれている内に、橘花に伝えなければいけない事がある。春日は、腕の中の親友に声をかけようと口を開きかけ、

「ねぇ、春ちゃん、あの人達の話していることわかるんだよね。今、どう言う状況?」

と、逆に尋ねられた。


佐倉橘花は、見た目詐欺な所がある。

小柄で華奢、白磁の肌に射干玉の髪。少し強い風が吹いただけで、倒れてしまいそうな風情だが、その実、かなり気が強い。何せ、初対面であの又従兄・御影武流を平手で殴ったのだ。

『あの時は、本当に肝が冷えたわー。』

普通、小学校2年生が6年生を殴んないよね。

こんな状況にも拘わらず、あの時の武流のびっくりした顔を思い出して、春日は思わず、遠い目になった。

今も、いきなり、知らない所に連れてこられたと言うのに、戸惑ってはいるものの、取り乱したりはしていない。冷静に春日と周りの様子から、判断材料を集めようとしている。


「ごめんね、”伊勢の呪い”に巻き込んじゃったみたい。うちの一族に時々あるのよ、神隠し。」

「神隠し!?」

つい、声が大きくなった橘花に、春日はしーっと手で口を塞いだ。

「神隠しって、いきなり、人が消えちゃう、あれ?」

「そう、それ。」

しばらく、まじまじと春日を見つめ、「神隠しって、夜逃げや駆け落ちの隠語じゃなかったんだ。」

と呟く。

『うん、通常運用。』


意外と冷静な親友にほっとしつつ、春日は手短に現状と今後の対策を伝える。その間も、イケメン達の会話に聞き耳を立てている。

「あいつらが必要なのは、斎宮巫女としての、私だから、橘花が何かされることはないと思う。でも、こんな所、さっさとサヨナラしたいから、力一杯、抵抗する。橘花にも協力してもらうことになるかも。ごめんね。」

「春ちゃんたら、謝ってばっかり。大丈夫。武流さんがきっと何とかしてくれる。」


橘花は、自分に向かって必死に腕を伸ばす武流の顔が、驚き、絶望し、けれど、次の瞬間に決意の色を浮かべるのを見た。

「むこうには大和ちゃんもいるんだもの、二人揃えば、敵なし、でしょ。」

助けが来ることを露程も疑わない。そんな親友が傍にいてくれることが頼もしかった。巻き込まれたと言うのに文句も言わない親友の、ありがたみをしみじみ感じた。


その時、神子召喚を行った責任者として、ギュンター王子が、後から来た騎士とこちらへやってきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ