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両想いになったばかりの親友を巻き込んで異世界に召喚されました。彼女の超遠距離恋愛はどうなりますか?  作者: ゆうき けい


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異世界 19

白騎士隊二席クラウス・フォン・アインバッハは、全身を緊張させて、王家の豪華な馬車の扉の前に立っていた。

ヨハン王子が神子を神殿地下の仮御座所から連れ出す判断をした時、彼は、自分の意志で、その任務をつかみ取った。

ここは、スタンピードが発生した樹海の中。近衛の任をメインとする白騎士隊のクラウスは、王都を離れる事はほとんどない。それが、スタンピードのど真ん中の樹海でか弱い婦女子の護衛を任されている。護るべき大事な人をこの恐ろしい戦場にいきなり連れてこなければならなかった理不尽に、剣を握る手に不要な力が入ってしまう。

近衛である白騎士は基本、対人戦を中心に訓練している。しかし、魔物討伐の経験が無い訳では無い。剣技には自信はある。だから、大丈夫。そう思っていた。しかし、そんなクラウスの自信は周りの戦いに、己の経験など児戯に過ぎなかったと思い知らされ崩れ落ちた。

数多の魔物との戦いは、人との戦いとは全くの別物だった。相手は剣ではなく、爪で、牙で、角で戦う。体の大きさも様々で、動きも不規則、急所も魔物によって異なる。こちらの戦いのスタイルなどお構いなしだ。

次々と息をつかせず襲ってくる魔物に応じた戦い方を瞬時に選びとって、最も効率よく叩き込まねば、スタンピードに対応など出来ない。


そんな極限とも呼べる状態を維持しながら、彼らは戦い続けていた。その事を素直にすごいと思った。


白騎士隊と赤騎士隊は接点が殆ど無い。白騎士隊は貴族、それも上位貴族であることが暗黙の条件だ。王族の警護と言う任務柄、身元の保証は絶対で、逆に言えば、技量の方はあまり重要視されていない。むしろ女性王族の護衛につくときには見栄えの良い容姿の者の方が喜ばれる。

一方、王国中の魔物討伐をメインにする赤騎士隊は、怪我をする事が前提で組織されている。殉職率が高いのもよく知られていて、それ故、給金も高額だ。必然、上位貴族の子弟に赤騎士隊を志望する者は少なく、下位貴族や平民、場合によっては、犯罪者が数合わせに入隊させられることもあると言う。


白騎士は赤騎士を野蛮な連中と蔑み、赤騎士は白騎士をお飾りの腰抜けと馬鹿にする。

二つの騎士隊の間にある長年の確執だ。

そんな場所に、たった一人の白騎士として立っているクラウスは、認識を改めざるをえない。赤騎士や後から駆け付けた青騎士の戦いぶりから、この二隊は今日が初めての共闘で無い事は明らかだった。特に両隊の隊長であるヨハン王子と赤騎士隊隊長イザーク・プラハ=ハウゼンの連携は見事で、お互いが次に何をすべきかを完全に理解しているように見えた。


「あの二人、すごいな。」

心からの称賛に、クラウスと一緒に馬車の警護を任された年若い青騎士は顔を輝かせた。

「そうでしょう!本当に凄いんです。ヨハン隊長とイザーク隊長がいれば、無敵です!」

キラキラと崇拝に似た感情を向けるその少し高い声に、クラウスはこの青騎士が若い女性である事に気が付いた。

「ヨハン第一王子殿下はいつもああやって最前線で戦うのか?」

「え?」

「あ、いや、いくら青騎士隊隊長と言えど、ヨハン第一王子殿下は、筆頭王族だ。万が一にも危険が及ばないよう、現場に出ても後方支援かと思っていたのだ。決して、悪い意味ではないんだ。」

慌てて弁明するクラウスに、その青騎士は訳知り顔で頷いた。

「あぁ、白騎士様なら当然ですよね。うちの父もそうですよ、王族の玉体にーって、そればっかり。あ、申し遅れました、私はヘレナ・フォン・メテオリンクと申します。昨年、青騎士隊に入隊を許可された若輩者ですが、ご指導、ご鞭撻よろしくお願い致します。」

その名乗りにクラウスは驚いてまじまじと少女を見た。

「メテオリンク?あの侯爵家の?では、父と言うのは、白騎士隊隊長のライゼル・フォン・メテオリンク侯爵閣下?」

「はい、そうです。私はメテオリンク侯爵家の落ちこぼれ三女です。」

いっそすがすがしいほどの笑顔で妙齢の令嬢は笑った。


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