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両想いになったばかりの親友を巻き込んで異世界に召喚されました。彼女の超遠距離恋愛はどうなりますか?  作者: ゆうき けい


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現世 6

「取り敢えず、落ち着こうよ、武流兄。あいつ殺しちゃったら、向こうの世界の様子を知ることが出来ないよ。」

何とか武流を異世界人から引き剝がし、異世界人を座敷牢に入れるよう命じた。拘束され、連行されて行く間、ずっとわめいていたが、意味が分かったのは大和のみ。しかし、大和は彼の姿が消えるまで、無視を決め込んだ。


「神隠しにあった昔の巫女達は言葉も通じない異世界に無理矢理連れていかれたからね。連れさった先の異世界人にも同じ気持ちを味わってもらわなきゃ、不公平だと思うんだ。だから、しばらくは、このまま、かな。

でも、武流兄には、異世界語を習得してもらった方が良いかもね。こっちが理解していないと油断させておいて、情報を引き出す、そういうの得意でしょ。」


そう言って、大和は武流に和綴じの本を手渡した。

「神隠しにあったけど戻ってこれた先代の巫女が書き残した異世界の記録。風習や異世界人の外見・国の仕組みとかも書いてある。でも、一番は、辞書。僕と春日はこれをマスターしてる。あいつの言葉が英語に聞こえるのもそのせいかも。」

武流はパラパラとその本をめくった。

「古語だな。」

「まあね、先代の巫女と言っても、もう1000年近く前の人だから。それでも、歴代の伊勢の人間がその時代その時代の言葉に書き継いでいってるんだよ。そのせいで、ちょっと意味が変わっちゃてる言葉もあるかも、だけど。それは日本語もそうでしょ。」


「うん、理解した。」

「は?」

「文字情報だけだから、現状、発音と聞き取りは自信が無い。あいつの話をもう少し集めれば、わかるとは思う。直ぐにというなら、読む方が簡単だから、書かせる方が情報は取れるぞ。」

「はは、本当に凄いね。」

確かに先代の神子は異世界語の横に発音の為のフリガナを付けていてくれたが、カタカナ英語レベルでなら、聞き取れるのだろう。それにしてもぱらぱらと一度見ただけで、理解するとは、武流の絶対記憶を目の当たりにして大和は、感心しつつ半ば呆れていた。


大和は手元に戻ってきた春日のスマホを見つめる。

「取り敢えず、あの鏡召喚陣が働く事はわかった。後は、召喚陣を起動させる時のエネルギーをどうするかと、起動させるタイミングをどう合わせるか、だね。スマホがこっちに来ちゃったのは拙かったな。」

「なら、もう一度送れば良い。」

「武流兄、簡単に言うけどね、宅配や郵便みたいに簡単にいかないんだよ。そもそも、取り返すための鏡召喚陣なんだから、こっちから送れるかは、わからないんだ。」

ムッとして大和は抗議したが、武流は全く意に介さなかった。

「やってみなければわからないだろう。それに、一度、失敗したら諦めるのか?僕は嫌だ。橘花を取り返すまで、何度でも何度でもやってやる。スマホが送れれば、こちらの世界の物なのだから、きっと春日達の耳に入る。そうしたら再度電話すれば良い。定時にメールを送って、既読が付くかを確認すれば、チャットも可能かもしれない。人の移動より物の移動の方がエネルギーは少なくて済むだろう?一台で足りなければ、十台でも二十台でも送ろう。そうしているうちに異世界との道が繋がるかもしれない。」

決して諦めない、と宣言し、武流は歩き出した。

「ちょ、武流兄、どこ行くのさ?」

「そうと決まれば、早速、準備だ。あの異世界人の座敷牢は、監視カメラが回っているのだろう?言語サンプルを収集するから、後で見せてくれ。」

まっすぐ前をにらむように歩いて行く。そのぶれない背中に、大和は強い憧憬と同時に、寒気も覚えるのだった収集

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