現世 5
「What!Who you are ? Where am I ? Let me back! Hey!」
「おい、大和。何だ、こいつは?」
隣の武流から超絶不機嫌なオーラが溢れてる。
『聞かれても答えられない事を聞かないで欲しい。』
武流だけでなく、大和も呆然としているのだ。春日と橘花の代わりに鏡召喚陣から出てきたのは、金髪碧眼の美形青年。いやにキラキラした格好をしているが、英語を話しているし、まさか、異世界と思っていたら、実はアメリカとか言うんじゃ無いだろうな。それってかなりハズイ状況じゃあ無いのか?いや、しかし、歴代の神隠しにあった巫女からの手紙は・・・。ひょっとっして混線?などと青くなっていると、美青年の手に握られている物に気が付いた。
「春日のスマホ!」
と言う事は、やはり、こいつは異世界人なのか?
「それにしては、言葉が通じる。英語?」
「何を言っている、大和。これは英語じゃないぞ。フランス語でもドイツ語でもロシア語でもイタリア語でも無い。ましてや中国語や韓国語でも無い。こいつの言っていることがわかるのか?」
御影武流には絶対記憶がある。それ故、彼の学習能力は驚くほど高い。はっきり言って言語は一度、読む・聞くをしただけで、習得してしまう。その武流が、聞いた事のない言語だと言うのだ。
「じゃあ、やっぱり、異世界人!」
大和の発言に武流から殺気が立ち上る。
「どういうことだ。なぜ、橘花じゃなく、こいつがここにいる。」
「僕と春日が構築した転移装置は、スマホで繋がったものを転移させるんだよ。誰でも彼でも転移させないように、たとえ、スマホが奪われても、合言葉が無いと発動しない。そう言うふうに安全マージンを取ったんだ。だから、あのスマホを持って合言葉を言う、までがセット。それで、この人が来たって事は、春日が言わされたか、言った後、スマホを取られたかだよ。」
本当なら、合言葉が発せられると同時に転移が発動するはずなのに、界を渡っての通話でタイムラグが出来たのかな。そう小声で続ける。
「だけど、困った。スマホがこっちに来ちゃったら、もう、春日と連絡が取れない。何か他の方法を考えなくちゃ。」
「No!You Bastard! I'm Prince! Prince Gunter!Do Not Touch Me.」
大和がちょっと目を離したすきに、武流は異世界人を、床にねじ伏せていた。その武流を伊勢一族の精鋭たちが必死になって抑え込んでいる。
取り敢えず、この場を収める事が、今の大和の最優先事項になった。




